日本共産党の畑野君枝議員は26日の衆院文部科学委員会で、政府が「いわゆる従軍慰安婦」という用語の使用を不適切とし、教科書を書き換えさせようとしていることを批判しました。【議事録はこちら

 政府は4月27日、「いわゆる従軍慰安婦」の記述について、旧日本軍の関与や強制性を否定する狙いから「単に『慰安婦』という用語を用いることが適切である」との答弁書を閣議決定。萩生田光一文科相は、政府統一見解に基づく記述を求める教科書検定基準を根拠に、「いわゆる従軍慰安婦」との教科書記述を「慰安婦」に改めさせる趣旨の答弁を繰り返しています。

 畑野氏は、答弁書が「いわゆる従軍慰安婦」と記述した河野官房長官談話(1993年)を「継承している」としたことについて、「河野談話」は「慰安所」への軍の関与やそこでの強制性など五つの事実を認めていると指摘し、「これらの事実認定を継承するのか」とただしました。安中健内閣官房内閣参事官は「『河野談話』全体を継承している」と認めました。

 畑野氏はまた、教科書検定基準の「政府の統一的な見解または最高裁判例に基づいた記述」とは「一言一句同じでなくてもよいのか」と質問。文科省の瀧本寛初等中等教育局長は「必ずしもそのまま記載することまで求めるものではない。それらの内容を踏まえた記述になっているかだ」と答えました。

 畑野氏がさらに、「軍隊慰安婦」という用語が最高裁判決(2004年、「アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求訴訟」)にあることを紹介したのに対し、安中参事官は「承知していない」と述べ、萩生田文科相も「存じ上げない」と答弁しました。

 畑野氏は「文科省の教科書検定基準にあるにもかかわらず、最高裁判例の存在も知らないとは驚きだ」と批判し、調査を要求。左藤章文科委員長は「調べさせる」と応じました。

 その上で畑野氏は、検定基準と答弁書の撤回を求めました。

(しんぶん赤旗 2021年5月31日付)

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