図書館書籍のメールでの提供を可能とすることや、放送番組と同様のルールをインターネット同時配信にも適用する著作権法改正案が18日の衆院本会議で、全会一致で可決されました。

 法案は、図書館書籍のメール送信について、正規市場への影響を考慮し補償金制度を創設します。畑野君枝議員は14日の文部科学委員会で、補償金額の水準を質問。文化庁の矢野和彦次長は「逸失利益を補てんできる水準が適当と考える」と答えました。

 現行では、放送番組の初回放送で実演家の許諾があれば、再放送は報酬を支払えば無許諾で行えます。法案は、放送番組の同時配信も同様の扱いにするもの。畑野氏は、再放送分の報酬が実演家に適切に支払われていない現状を指摘し、対応を求めました。矢野次長は、「放送事業者と権利者の協議が円滑に行われるよう努力する」と答えました。

 また畑野氏は、著作権法上、DVD化など映画の二次利用に実演家の権利が及ばないと指摘。日本も批准する「視覚的実演に関する北京条約」が報酬を受ける権利を保障しているとして改善を要求。矢野次長は、「実演家に適切な対価が支払われるよう取り組む」と答弁。萩生田光一文科相は、「法改正で(実演家の現状が)いい方向に向かうようにしたい」と答えました。

(しんぶん赤旗2021年5月26日付)

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【議事録】

○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 著作権法改正案について質問します。
 まず、図書館関係の権利制限規定の見直しについて伺います。
 この法案は、第三十一条第二項を新設し、特定図書館等が、図書館資料の複製、その複製物の公衆送信、メール送信を可能とするものです。提供できるのは、非営利、調査研究目的、著作物の一部分とされています。
 メール送信されるデータは、受信先でのダウンロードと不可分であり、著作物の一部分、二分の一未満とはいえ、現に販売されている書籍が利用者にデータで所有されることになりますから、正規市場との競合を回避する措置が焦点となります。
 この点で、法案は、ただし書を設け、著作物の種類、用途、公衆送信の態様に照らし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、複製や複製物の公衆送信ができないこととしています。
 ただし書の具体的内容は、幅広い関係者により作成するガイドラインで定めると聞いていますが、関係者の中には、当然、出版社や権利者が含まれるべきだと考えますが、いかがですか。
○矢野政府参考人 委員御指摘のとおり、改正案におきましては、著作物の種類や電子出版等の状況に照らし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合には送信ができない旨の要件を設け、民間事業を阻害しないよう担保することといたしております。
 この要件の対象となる資料の範囲が明確になるよう、文化庁の関与の下、幅広い関係者や中立的な第三者を交えて、具体的な解釈、運用を示すガイドラインを作成する予定でございます。
 このガイドラインの作成に当たっては、今御指摘のありました出版社や権利者を含めた関係者から、実情を踏まえた御意見を丁寧に伺う必要があると考えており、文化庁といたしましても、適切に対応してまいります。
○畑野委員 コロナ禍で、メール送信など、本当にありがたいという声もある一方ですが、出版関係者、権利者の方の要望も出てくるわけですから、しっかりとガイドラインの中に加えていただきたいと思います。
 図書館等による図書館資料のメール送信については、新たに図書館等公衆送信補償金制度が新設され、相当額の補償金の支払いを図書館等に求めることとしています。補償金は、指定管理団体、権利を有する者の利益を代表すると認められるものが、一、図書館等の設置者の代表から意見聴取し、二、補償金額案を決定し、三、文化庁長官に認可申請を行う、四、文化庁長官は、文化審議会への諮問を経て、五、適正な額であると認めるときは補償金の認可を行うというプロセスが考えられていると聞いています。
 指定管理団体が決定する補償金額案は、具体的にどのようなものが想定されているのでしょうか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 補償金の決定手続については今委員から御紹介のあったとおりでございますが、補償金の額につきましては、図書館資料のメール送信等がされることによる権利者への影響の大きさに鑑み、基本的には権利者の逸失利益を適切に補填できるだけの水準とすることが適当であるというふうに考えております。
 具体的には、年額のような包括的な料金体系ではなく、個別送信ごとに課金する料金体系とすること、一回当たりのような一律の料金体系ではなく、著作物の種類、性質や、送信する分量等に応じたきめ細かな設定を行うことなどを想定しているところでございます。
○畑野委員 補償金の額について、著作権分科会法制度小委員会の報告では、権利者の逸失利益を補填できるだけの水準とすることが適当としています。図書館資料の利用促進と権利者の利益を保護することとのバランスを考えれば、こうした考え方は極めて重要だと私も思います。
 一方、支払い主体、実質的な負担者としては利用者が想定されるわけですが、公立図書館の無料公開の原則、図書館法第十七条との関係も当然考慮されなければならないと思います。
 その点で、補償金の料金体系や金額についてどのように考えていますか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的な金額の設定に当たっては、先ほど御答弁申しましたとおり、著作物の種類や性質や送信する分量のほか、送信形態や利用者の受ける便益、国内市場における使用料の相場、諸外国における同様のサービスの相場を参照するとともに、図書館等における事務負担、円滑な運用への配慮といった点も加味しながら、総合的に検討されるべきものと考えております。
 もちろん、今委員から御指摘のあったとおり、利用者というものの観点も当然必要でございまして、幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら、合理的な基準が策定される、著作権と利用のバランスの取れた判断が必要だというふうに考えております。
○畑野委員 逸失利益の補填、そして利用者の状況、是非、全体的、総合的によく勘案していただきたいと思います。
 次に、放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化について伺います。
 現行では、放送で著作物等を利用する場合、権利者から放送の許諾を得る必要があります。また、同時配信等を行う場合にも許諾が必要です。
 しかし、この法案では、権利者が同時配信等への特段の意思表示をしていなければ、放送の許諾を得ることで同時配信等への許諾も行ったものとみなす規定、許諾推定規定を創設するとしています。
 このような規定を設ける趣旨、立法事実はどういうものでしょうか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の改正内容に関する文化審議会の検討におきまして、放送事業者から、放送番組に用いられる多様かつ大量の著作物につきまして、放送までの限られた時間内で異なる相手と利用条件等についての詳細な交渉を行うのは極めて困難であり、同時配信等の権利処理に当たっての負担となっている旨の御指摘がございました。
 このような現状における課題を踏まえ、放送番組に用いられる著作物等の権利処理を円滑に進め、放送と同時配信等の権利処理のワンストップ化を図る観点から、本法案の許諾推定の規定を設けることとしております。
○畑野委員 放送の許諾と一緒に同時配信等の許諾を得れば済む話なのではないかということもあります。
 この規定では、許諾をしていないことを権利者が証明する必要があるというのが法案の内容だと思います。同時配信まで許諾したつもりがなかったのに勝手に配信されても、権利者がそれを覆すのは非常に困難になるわけです。権利者の利益よりも、放送事業者の都合が優先されかねないということもあると思います。
 著作権法は、著作物の利用に関して著作権者の許諾を得ることが大原則になっておりますから、許諾推定規定の創設によって、こうした通常の権利処理がゆがめられてはならないと考えますが、その点はいかがでしょうか。
○矢野政府参考人 全く御指摘のとおりでございまして、著作物の利用に際して著作権者の許諾を得ることは、著作権法の大原則でございます。
 今回新たに創設される許諾推定規定は、例えば、時間的な制約により同時配信等の具体的な契約を交わすことができなかった場合や、同時配信等の可否を明示的に確認できないような場合など、同時配信等の権利処理が困難な場合に利用されることを想定した規定でございます。
 このような事情がない場合には、御指摘のとおり、同時配信等で用いることを明示した契約を明確に締結していただくという原則に立ち返ることが重要であるというふうに考えております。
○畑野委員 実演家に伺いますと、演技をしているその休憩時間にどうですかみたいな話で、とてもゆっくり考える暇がない、そもそも紙の契約もされないと。この間も少し取り上げましたけれども、そういう状況で今の契約が行われているわけですね。
 だから、急にとかと今おっしゃったんだけれども、そもそもの原則が十分にちゃんといっていないという実態があるということも申し上げておきたいと思うんです。
 そこで伺いますが、許諾推定規定の運用に当たっては、関係者間で具体的な適用条件等に係るガイドラインを策定すると聞いています。この策定に当たっては、放送事業者は、放送番組出演の際に、同時配信等の許諾が原則であることを明記するなど、権利者の不利益にならないよう十分配慮されるべきだと思いますが、いかがですか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 許諾推定規定につきましては、不意打ちや不利な契約を助長するのではないかと、権利者側の懸念、今委員から御指摘のあったとおりでございますが、そういった懸念を払拭しつつ、放送事業者による安定的な利用が可能となるよう、放送事業を所管する総務省と連携いたしまして、関係者間で具体的な適用条件等について定めるガイドラインを策定する予定でございます。
 放送番組への出演の際に適正な契約を締結するといった配慮事項については、この規定を円滑に運用する上で重要な観点と考えておりますので、ガイドラインにおいてその趣旨が反映されるよう、関係者の御意見を丁寧に伺いながらガイドラインを作成してまいりたいと考えております。
○畑野委員 そもそもの著作権法九十四条、放送のための固定物による放送は、実演家の放送に関する許諾を得て、録音、録画されたものを放送する権利を放送事業者に認め、同条第一項第一号では、初回放送に関する許諾があれば再放送に関する許諾は不要とする一方で、この場合に、実演家の報酬請求権、第九十四条第二項を規定しています。
 現行法上、報酬請求権が付与されている映像実演の再放送については、パブリックコメントでも、既存のリピート放送に係る報酬については集中管理されておらず、必ずしも実演家に対して相当な報酬が支払われているか確かではない、リピート放送に対する相当な額の報酬として、実演家に対し適切な対価が確実に支払われるような制度(集中管理を含め)を検討すべきだと、芸団協実演家著作隣接権センターからも指摘されています。
 こうした指摘をどのように受け止めておられますか。映像実演の再放送に関する適切な対価が実演家に支払われる仕組みを検討する必要があると思いますが、いかがですか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 映像実演の利用に当たっては、再放送の報酬も含め、適正な対価が実演家に還元されることは、将来にわたって良質な作品を継続して生み出す環境を維持する観点も重要であると考えております。
 委員から、実演家の方々からそのような意見がある、御指摘があったことについては私どもも聞いておりまして、今回の改正により、同時配信等について、報酬の徴収、分配が、より実効的に行うことが可能になりますので、まずは、今回の改正に伴う対価の支払いについて、放送事業を所管する総務省とともに、放送事業者と権利者の協議が円滑に行われるよう、私どもとしても努めてまいりたいと考えております。
○畑野委員 そこで、少し話を進めたいんですけれども、映像実演に関する実演家の権利を考える上で、映画の著作物に関する著作権法上の規定の問題を考えたいと思います。
 著作権法第九十一条は、実演家が、実演に関する、映画の著作物への録音、録画を許諾すると、原則として、当該映画の二次利用、映画のビデオソフト化、DVD化、テレビ放映等について、実演家の録音権、録画権、放送、有線放送権、送信可能化権等が及ばなくなるんですね。いわゆるワンチャンス主義と言われる規定です。また、同第二十九条では、映画の著作物の帰属が映画製作者とされています。
 伺いますが、なぜこのような規定が設けられているのか、その理由は何でしょうか。
○矢野政府参考人 著作権法第九十一条は、第一項で、実演家の録音、録画権について定めるとともに、第二項において、いわゆるワンチャンス主義、委員御指摘のとおりでございますが、定め、映画の著作物の制作時に実演家が自分の実演を録音、録画することを了解した場合には、例えば、DVD化やテレビ放送、ネット配信等のその後の実演の利用について、原則として権利が及ばないということとなっております。
 また、著作権法第二十九条は、映画の著作物の著作権の帰属については、原則として、監督等の著作者から映画製作者、映画会社や製作委員会等でございますが、に帰属することを定めている、これも委員御指摘のとおりでございますが。
 映画の著作物については、多数の関係者が制作に関与するとともに、多額の投資が必要であるということ、多数の関係者が制作に関与するので、なかなか権利処理が、その後、例えばDVD化とかテレビ放送、ネット配信、非常に権利処理が難しくなるということと、多額の投資を映画製作会社がしている、投資が必要であるということで、円滑な流通の確保、投資回収等の観点から、このような規定が設けられたと承知しております。
○畑野委員 そうおっしゃるんですけれども、しかし、今や状況は大きく変化しています。映画制作のほとんどは製作委員会方式に移行して、多数の会社の出資により制作が行われているというのが、多く行われている実態だと思います。
 今おっしゃった規定が設けられた一九七〇年代というのは、映画会社が専属契約で俳優や監督を管理していたわけです。ところが、今や、俳優も監督もフリーランス化している状況が広がっています。
 一九七〇年代当時は、映画大手企業の協定で、テレビ放映は制限されるという状況もありましたが、今や、地上波での放送、ビデオ化、BS、CSでの放送、カラオケ、CMなどでの部分利用、インターネット配信、ゲーム化など、これだけでも二次利用の内容というのは多様化していますし、増大しているんですね。そして、今、コロナの中で多くの人がこうしたものを利用するということです。
 にもかかわらず、実演家には、録音権、録画権、放送、有線放送権、送信可能化権等がそもそも認められていない。驚く状況だと思うんですね。それで正当な対価が還元されないというのが実態です。
 レコード実演や放送の実演に認められている実演家の権利と比較しても、劇場用映画の実演家の権利は余りにも現状にそぐわないと思いますが、どのように認識されていますか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 やや繰り返しになって恐縮でございますが、映画の著作物については、いわゆるワンチャンス主義を採用しておりますけれども、これは、映画の著作物は多数の関係者が制作に関与するとともに多額の投資が必要であり、円滑な流通の確保、投資回収等の観点から、法律上、映画製作者に権利を集中するとしたものでございます。
 これは、実演家が最初の録画の際にその後の二次利用も含めて対価を得ることを前提とした制度でございますが、実演家の方々からは、適切な対価が支払われていないのではないかという御意見があることは承知しておりまして、まずは、我が国の契約慣行であるとか著作権に関する意識啓発などにより、実演家に適切な対価が支払われるような取組を進めてまいりたいと考えております。
○畑野委員 御認識はあるということですよね。
 今回の法改正は、放送番組をインターネット配信する際の権利処理を、放送のルールに合わせ利用を拡大しようというものです。
 しかし、実演家にしてみれば、利用の拡大そのものは歓迎すべきことだとしても、放送番組のリピート放送に認められている報酬請求権も十分機能していない、映画についてはワンチャンス主義で、権利がほとんど保障されていないという現状をどうにかしてほしいという声があるわけです。利用拡大に見合った対価の還元をしっかりやってほしいという気持ちではないかと思います。
 日本俳優連合などからは、映画の二次利用に関して、実演家に適正な利益還元が行われるよう著作権を改正してほしいとの要望も出されています。
 先ほど日本映画のことについてお話がありましたが、アメリカやイギリスでは映画製作者の団体と俳優団体の協約によって、また欧州各国では法律によって、映画の二次利用に係る報酬が実演家に還元されるようになっていると聞いています。
 日本も批准している視覚的実演に関する北京条約は、第十二条(1)で、実演家が許諾した場合、実演家の複製権、譲渡権、貸与権、利用可能化権、放送及び公衆への伝達権の権利は、映像実演の製作者に移転することを定めることができるとしていますが、同時に、同第十二条(3)では、こうした権利の移転に関わりなく、実演家に対し、実演の利用についてロイヤルティー又は衡平な報酬を受け取る権利を、国内法令又は個別の、共同の若しくはその他の契約によって与えることができるとしています。
 視覚的実演に関する北京条約の趣旨を踏まえ、映画の著作物に係る実演家の置かれている現状を改善していくことは重要な課題だと考えますが、いかがですか。
○矢野政府参考人 事実関係について、全て委員御指摘のとおりでございます。
 北京条約の規定では、実演家が報酬を受け取る権利を国内法や契約によって与えることができると定められております。
 我が国におきましては、多くの映画が現在のルールの下で作成されている現状や、映画製作者、実演家といった関係する権利者が多数に上ることなどを踏まえると、まずは、契約慣行や著作権に関する意識啓発などにより、実演家に適切な対価が支払われるような取組を進めてまいりたいと考えております。
 文化庁におきましては、今年度予算におきまして、芸術家等の活動基盤強化及び持続可能な活動機会の創出という事業を開始しておりますけれども、この中で、芸術家等の契約等に係るひな形、ガイドラインの調査、策定、アーティストや関係者の持続的な活動機会を促進ということで、まさに、今の我が国文化芸術界の契約慣行についてどう見直していくか、フリーランス等に対する支援をどうしていくか、そういったことをしっかりと文化庁としても考えていきたいというふうに考えております。
○畑野委員 文化庁としても考えていくと。すごく大事な御答弁だと思うんですね。
 是非、こうした条約があるわけですから、それについて国内の整備もしっかりとやっていく必要があると私も思います。
 萩生田光一大臣、最後に伺います。
 この間ずっと、大臣も文化芸術の支援に取り組まれてこられました。
 この間、実演家の方から、先ほどの再放送の報酬の問題なんですけれども、例えば、プロダクションが移ると、もうその報酬を支払うというところのリストから、載らなくて、本当に、いつの間にか自分が出たものが再放送されているという状況があるんですというお話も伺ったんです。
 ですから、これはいろいろな体制を強化していく必要があると思うんですけれども、映画の著作物に関する実演家の権利を、先ほど文化庁も考えていかなくちゃいけないというふうにおっしゃっていただいたんですが、再検討していくという上で、実演家の権利処理を委託されている権利者団体や実演家の協同組合など、関係する団体からの意見を十分酌み上げることが大事だと思うんです。
 あわせて、私も伺っているんですけれども、実演家の皆さん、そういう方からも直接実情や要望を聞くことが必要だと思っております。この間も、ウィー・ニード・カルチャーのお話をいたしました。俳優や映画やライブの皆さんなど、それぞれの分野でやっていらっしゃる方、あるいは音楽家の方たちとか、いろいろな方たちからのお話を聞いています。
 芸能従事者の方からのお話、古典芸能などを含めての方々からのお話も伺っておりますけれども、是非、そういう実態を文化庁としても聞いていく、そういうものを強化していただきたいと思うんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○萩生田国務大臣 今回、コロナを経験して、特に文化芸術に携わっている皆さんが、家計を支えるだけの収入を得るような、本業としてその分野にいる人から、本当に、幾つかかけ持ちしながら、しかし、結果として日本文化を下支えしていただいているポジションで働いている人まで、多様な労働形態があることがすごくよく分かりました。
 今のお話は、将来的には法律をきちんと整備していくことは更に必要だと思うんですけれども、逃げて言うわけじゃないんですけれども、要は、日本のしみついた業界のルールみたいなものがあって、それは、今お話ししたように、所属事務所が変わることによって非常に冷ややかに扱われてしまったりとか、若いうちは、そんな自己主張よりは仕事に呼んでもらうということの方が将来の仕事を広げる上でのチャンスだということで、きちんとした契約行為に基づかないで、監督さんから電話一本あれば飛んでいって、ちょい役でも何でもやるというような人たちが結果として日本の芸術を支えてきたのも事実だと思いますので、業界の方もやはり意識改革をしていかなきゃいけないんだと思います。
 したがって、ここに携わる、文化に携わる人たちが適正な報酬を将来にわたって安定的にしっかりもらえることになれば、よりよい作品を作っていくというマインドにもつながると思いますので、まさに、我々行政側も、あるいは業界側も、一人一人の俳優さん、演者さんも、ここでこの法律が変わることで、また、コロナを経験したことでいろいろ浮き彫りになったことがありますので、その辺を含めて、みんなでいい方向に向かってしっかりと一歩を踏み出していく、そういう法律にしていきたいなと思っております。
○畑野委員 以上、是非進めていっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。