衆院文部科学委員会は17日、小学校全学年を35人学級とする義務教育標準法改正案を全会一致で可決しました。先立つ質疑で文科省は、2019年度の児童・生徒数を前提にすれば国庫負担1700億円で小中学校全学年を30人学級にできるとの試算を初めて示しました。日本共産党の畑野君枝議員への答弁。必要な追加教職員数は約8万人です。

 畑野氏が小中学校での30人学級の実現を求めたのに対し、萩生田光一文科相は「中学校も含めて、最終的には30人以下が理想だ」と応じました。

 同省はまた、中学校全学年の35人学級化に必要な教職員数は約1万6千人、国庫負担は350億円との試算も示しました。畑野氏が、中学校での検討を求めたのに対し、萩生田氏は「しっかり進めていきたい」と述べました。

 小学校の35人学級について同省は21年度から5年かけて実現する計画。畑野氏が法案上は前倒しも可能かとただすと、滝本寛初等中等教育局長は「(法案は)具体的な整備のスケジュールまで規定していない」と認めました。

 畑野氏はまた、教室不足が少人数学級実現の壁になっている地域があるとし、学校統廃合の見直しと使われなくなった校舎の再活用の検討を要求。滝本氏は、文科省が自治体に統廃合を求めることはないとし、少人数学級の実現に「廃校施設を利用することも考えられる」と述べました。

 委員会は法案可決後、中学校全学年での35人学級や高校の学級編成について検討する、少人数学級実現と引き換えに必要な加配定数を削減しない、教員免許更新制の大幅な縮小や廃止を検証・検討する―ことなどを政府に求める付帯決議を全会一致で可決しました。

(しんぶん赤旗2021年3月18日付)

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【議事録】

○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正案について、萩生田光一文部科学大臣に伺います。
 少人数学級の実現については、保護者、教職員、地方自治体の関係者の皆さんが、長年にわたって、少人数学級、三十人学級を求める運動を続けてこられました。小学校の学級規模は、一九八〇年に四十五人から四十人に引き下げられて以来、二〇一一年に小学校一年生の三十五人学級への引下げが実現されましたが、その後大きな逆流にさらされました。
 二〇一五年二月の予算委員会で、私は、更に全小中学校での三十五人学級への前進を求めた際、当時の安倍晋三総理大臣は、三十五人学級実現へ向け努力したいと答弁されましたが、それから六年かかりました。
 本法案は、四十一年ぶりに小学校二年生から六年生までの学級規模を四十人から三十五人に縮小するものでありまして、幅広い国民の皆さんの運動による前進です。
 そこで、萩生田大臣に、今回の法改正の意義について伺います。
○萩生田国務大臣 ソサエティー五・〇時代の到来や、子供たちの多様化の一層の進展、今般の新型コロナウイルス感染症の発生等も踏まえ、ICT等を活用した個別最適な学びと協働的な学びを実現するとともに、今後どのような状況においても子供たちの学びを保障することが不可欠です。
 このため、今回、義務標準法改正案において、国が定める公立小学校の学級編制の標準を現行の四十人から三十五人に引き下げることにより、一人一人のニーズに応じたきめ細かな指導を可能とする指導体制と、安全、安心な教育環境を整備してまいりたいと思います。
 今回の法律を通じて、GIGAスクール構想による学校におけるICTの活用と、その効果を最大化する少人数学級を車の両輪として、誰一人取り残すことなく全ての子供たちの可能性を引き出す令和の日本型学校教育の構築に取り組んでまいりたいと思います。
○畑野委員 そこで伺いますが、附則第二条の経過措置では、「第二学年から第六学年まで段階的に三十五人とすることを旨として、」としています。前倒しして実施することも排除されていませんね。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 附則第二条の規定は、経過措置期間を設けて、令和七年度までに小学校における三十五人学級を整備するものであり、具体的な整備のスケジュールについてまで規定しているものではございません。
 一方で、少人数学級の整備に当たっては、児童の数の推移等も考慮し、地方公共団体が見通しを持って計画的に教職員や教室の確保に取り組むことができるようにすることが極めて重要なことであると考えております。このため、第二学年から第六学年まで学年進行により五年間かけて段階的かつ計画的に三十五人学級を整備していくこととしております。
 先ほど委員から言及のございました、前回の、四十五人から四十人に学級編制の標準を引き下げた際も、児童生徒の数の推移、あるいは学校施設の整備状況等を考慮して、低学年からの学年進行により計画的に教職員定数の改善を行ったものと承知をしているところでございます。
 以上です。
○畑野委員 長い長い時間がかかってのこの到達でございますので、私は、スピード感を持って更に進めるべきだ、自治体への支援も、独自の努力もされておりますけれども、行うべきだと申し上げておきたいと思います。
 昨日の参考人質疑の中で、三人の参考人の方が一致して求めていたのは、中学校への少人数化でした。
 二月十五日の予算委員会で、この法案について、中学校での三十五人学級を進めるよう求めた私の質問に対して、菅義偉総理大臣は、望ましい指導体制の在り方について、中学校を念頭に検討すると答弁されました。
 確認です。附則第三条の検討事項に中学校も含まれていますね。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 一人一人に応じたきめ細かな指導は、小学校のみならず、中学校においてもその必要性に変わりはないと認識をしております。
 今回の学級編制の標準の引下げを計画的に実施する中で、学力の育成その他教育活動に与える影響あるいは外部人材の活用の効果について実証的な研究を行いますとともに、質の高い教師を確保するために教員免許制度等の在り方について検討を行っていくこととしており、これらの検証等を行った上で、その結果も踏まえて、学校の望ましい指導体制の在り方については検討を進めてまいりたいと思います。
 委員から御指摘のあった昨日の参考人質疑では、多くの方が少人数学級の必要性について述べられ、理想的にはということですが、三人とも二十人という意見を言っておられたということについては私も報告を聞いて知っているところでございますが、今はまず目の前の、四十人学級を何とか三十五人にさせていただく法案をお願いをし、その上でしっかりとした検証を進めさせていただきたいということでございます。
○畑野委員 大臣に一言。この間も聞きましたけれども、これは当然、総理もおっしゃられたので、中学校についてもこの法案を実現する中で検討されるということで、もう一回確認です。
○萩生田国務大臣 私、予算委員会はちょうど総理の後ろに座っておりまして、畑野先生が今日と同じように、一度総理が答えているのに、もう一回確認すると言って、中学校を念頭にで間違いありませんね、そのとおりですと答えたのをよく聞いておりましたので、私も同じ思いでしっかり進めてまいりたいと思います。
○畑野委員 今日は法案審議なので、改めて確認をさせていただきました。ありがとうございます、大臣。
 今回の小学校三十五人学級のために、一万三千五百七十四人、国費約三百億円が見込まれるということを伺っております。そうですね。
 それでは、中学校で三十五人学級を実施する場合、必要な教員数、国負担の経費はどれぐらいになると見込んでいますか。また、小学校、中学校での三十人学級を実施する場合の必要な教員数、国負担の経費はどれぐらいになると見込まれるのか、お答えください。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員が述べられた少人数化をどのような計画で何年間かけて実施するかによって人数や費用は異なるわけでございますけれども、仮にということで、令和元年度の児童生徒数を基に、今委員から御指摘のあったそれぞれについて直ちに実施した場合に必要となる教職員定数とそれに係る義務教育費の国庫負担金の追加経費の試算をいたしますと、中学校の三十五人学級化については約一万六千人の教職員の数が新たに必要になりますし、これに係る義務教育の国庫負担金の追加的な額は三百五十億円。また、小中学校同時に三十人学級ということを仮に試算をいたしますと、約八万人の教職員の増と千七百億円の国庫負担金の追加的な経費が必要になるということでございます。
○畑野委員 今局長からも昨日の参考人質疑の御紹介がありましたけれども、本田由紀参考人は、四十人、論外です、三十五人ですら少人数とは言えません、三十人でようやくぎりぎり何とかという、全世界的な、特に先進国における趨勢があると指摘をされました。
 今、少人数化に更に向けていく上での具体的な数字が今日初めて示されたというのは、これは大変重要でして、私は、この間萩生田大臣がおっしゃってこられた、小中三十人学級へと、この決意を引き続き持っておられるのか伺いたいんですが、多分お持ちだと思いますが、いかがですか。
○萩生田国務大臣 国会でも繰り返し申し上げてきましたので、そこを理想として追求をしてきました。決して高めのボールを放って三十五に落ち着けたわけじゃなくて、様々な交渉の中で、小学校の三十五人までしか今回はたどり着けませんでした。しかし、これで終わりじゃありません。中学校も含めて、そして、最終的には私も三十人以下が理想だと思っております。
○畑野委員 前向きな御答弁をいただきました。
 さて、もう少し詳しく伺ってまいります。
 四十一年前に義務標準法が改定され、第五次教員定数改善計画が一九九一年に終了すると、一九九三年には高校標準法が改定され、四十五人学級から四十人学級になりました。なぜ高校標準法が改定されることになったのか。その意義、目的は何か。そして、今後、高校の三十五人学級化、更なる少人数学級化も検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 一九九三年、平成五年の高校標準法の改正については、生徒の興味、関心、能力、適性等、一人一人の個性に応じたきめ細やかで多様な教育が展開できるようにということで、それまでの四十五人であった全日制の普通科等の学級編制の標準を四十人に引き下げたものでございます。
 高校についてもきめ細やかな指導が必要なことは同様でございますが、高等学校の場合、授業形態の多様性をより踏まえて考える必要があろうかと考えております。
 いずれにしましても、今回の小学校の学級編制の標準の引下げを計画的に実施する中で、そこにおきます学力の育成その他の教育活動に与える影響、外部人材の活用の効果についての実証的な研究等を行うこととしておりますので、これらの検証等を行った上で、その結果を踏まえて、学校の望ましい指導体制の在り方については検討を進めさせていただきたいと思っております。
 以上です。
○畑野委員 是非、高校の少人数化を進めていただくよう、検討を求めます。
 次に、国立、私立の学級編制基準について伺います。
 今回の法律は、公立の義務教育諸学校が対象となっています。国立、私立の小学校、中学校は、小学校設置基準、中学校設置基準で、一学級の児童生徒数は、法令に特別な定めがある場合を除き四十人以下とされています。
 子供の教育条件の整備という点では、国立、公立、私立にかかわらず、ひとしく整備されるべきだと考えます。本法案で四十人学級が三十五人学級へと引き下げられることに伴い、同様に設置基準を引き下げるべきではありませんか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 国立、私立の義務教育諸学校における学級編制については、小学校設置基準及び中学校設置基準において一学級四十人以下を標準としております。ただし、その上で、国立、私立の小中学校については、それぞれの教育方針に沿って運営が行われているものと承知しております。
 公立の小学校における学級編制の標準は、今後五か年をかけて計画的に三十五人に引き下げていく予定でございます。一方の、国立、私立の小中学校の望ましい指導体制の在り方については、この五年間の取組の状況や、国立、私立の取組の状況等も踏まえつつ、今後検討させていただきたいと考えております。
○畑野委員 是非検討を求めます。
 次に、幼稚園の学級編制は、幼稚園設置基準で、三十五人以下を原則とすると定められています。現場の先生からは、小学校一年生が三十五人で、三歳児も三十五人ですか、三歳児は十五人、四、五歳児は二十人以下にしてほしいという声を伺っております。
 幼稚園設置基準の引下げについても検討すべきではありませんか。また、少人数化すると園の負担が増えるというふうに言われるのですが、経常費助成補助の増額をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 幼稚園の学級の編制については、幼稚園設置基準において、御指摘のとおり、「一学級の幼児数は、三十五人以下を原則とする。」とされているところでございます。
 一方、幼稚園の職員配置につきましては、子ども・子育て支援新制度の公定価格において配置基準を超えた充実が図られているところでありますが、幼稚園設置基準の改正については、幼稚園教諭の人材確保の観点なども踏まえながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。
 また、私立の諸学校の経常的経費に対する補助でございますが、経常的経費に対する補助は現在行っているところでございますし、令和三年度の予算案においては、児童生徒等一人当たりの単価の増額により私学助成の充実を図ることとしております。
 以上です。
○畑野委員 これもしっかりと検討していただきたいと思います。
 次に、特別支援学校、特別支援学級についてです。
 特別支援学校の小学部、中学部について一学級六人を五人に、高等部八人を七人に、幼稚部はありませんので三人にという要望が、設置基準の策定とともに寄せられております。さらに、特別支援学級も、八人を六人にという要望もございます。
 これらも検討すべきではありませんか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 特別支援学校の学級編制の標準の引下げについては、また、小中学校の特別支援学級の御要望も含めて、現場からの要望として受け止めつつ、引き続き必要な教職員定数の確保に努めるとともに、障害の特性等に応じた、よりきめ細やかな支援が実施されるように、文部科学省としては取り組んでまいりたいと思います。
 以上です。
○畑野委員 設置基準を策定されるということですが、併せてこういう教員配置についてもしっかりと検討していただきたいということを強く申し上げておきます。
 いろいろな検討課題があるということが明らかになってまいりました。
 更に伺います。加配教員についてです。
 昨日の参考人質疑の中で、清水秀行参考人は、各学校で必要な学年、必要なクラス、必要な子供に加配の対応をするというのが一般的、非常に幅広く各学校で活用することができる、引き続き置いてほしいと述べられました。
 三十五人学級のための基礎定数化と、一方で、指導方法工夫改善加配など加配定数の維持拡充の両方が必要と考えますが、いかがですか。
○瀧本政府参考人 お答えします。
 今回、小学校について、学級編制の標準を五年間かけて三十五人に引き下げ、必要となる教職員定数の計画的な改善を図ることに応じて、現在自治体独自の少人数学級を実施するために措置しているものなど、加配定数の一部を含む合理化減等を活用することとしておりまして、少人数学級の加配のほか、少子化の影響による児童生徒数の減少に伴いこれまでも合理化してきた少人数指導加配についても財源として活用することとしております。
 いずれにしましても、学校現場で必要な加配教員、学校現場に支障が生じないよう、個々の教育課題に応じた加配定数を含めまして、必要な教職員定数については引き続き確保してまいります。
 以上です。
○畑野委員 大臣、確認です。必要な教職員定数、加配も含めて確保していく、大臣にも重ねて確認をしたいと思います。
○萩生田国務大臣 午前中の質疑でもお話ししましたけれども、ここで定数をきちんと見直すということがありましたので、加配の運用の仕方については、襟を正すところは正していこう、しかし、必要な人員配置はしっかりやっていく、これを基本姿勢にしたいと思います。
○畑野委員 続いて、附則第三条、外部人材、これは具体的には何を指すのか、伺います。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 附則第三条の外部人材、これは教員以外の教育活動を支援する人材ということでございますが、複雑化、多様化する学校現場におきます課題への対応、あるいは、教員の働き方改革の推進のためには、教師が教師でなければできないことに注力できるような環境を整備していくことが重要であると考えておりまして、そのためには、この教員以外の教育活動を支援する人材の配置が必要不可欠と考えております。
 具体的には、これまで、教師の業務負担軽減のための学習指導員やスクールサポートスタッフ、さらには部活動指導員の配置、また、様々な課題を抱える児童生徒を支援するためのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった方々の配置について支援を行ってきたところであり、附則第三条の外部人材については、こうした方々、こうした人材を指すものでございます。
○畑野委員 そこで、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについて、それぞれ常勤、非常勤の割合を簡潔にお答えください。
 学校での心理相談業務を行う、あるいは、福祉の専門家として児童生徒が置かれた環境への働きかけや関係機関等とのネットワークの構築、連携、調整などを行う専門職の方々です。
 前回の私の質問で、養護教諭の必置、複数配置の質問もいたしましたが、そうした学校現場とのよりよいコミュニケーションを取るためにも、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの皆さんを常勤化していくことが必要だと思いますが、文科省としてどのような検討がされていますか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、御質問の前段ですが、スクールカウンセラー等の雇用形態としては、令和元年度の実績として、スクールカウンセラーの常勤者は全体の一%、非常勤が九九%でございます。また、もう一方のスクールソーシャルワーカーについては、常勤が四%、非常勤が九六%となっております。
 こうした方々の常勤化に向けては、スクールカウンセラー等が正規の職員として採用された場合を想定し、その効果や職務内容等について検証するための調査研究を実施をしてきているところでございまして、これまでの調査研究、検証の中で、常勤配置は生徒指導上の諸課題の未然防止活動や組織的な対応が行いやすくなることなどが分かっております。
 令和三年度の予算案におきましても、常勤の職として求められる職責や担うべき職務の在り方等の検討に関する調査研究を三年度の予算案に盛り込んでいるところでございまして、文部科学省としては、まずは、実態として日常的に相談できる体制の整備に向けて、引き続き、スクールカウンセラー等の配置時間の充実や教職員と連携した組織的な対応の推進を図るとともに、将来的な常勤職としての確立に向け、検討をしてまいりたいと考えております。
 以上です。
○畑野委員 常勤化の検討、是非早く進めてください。
 教員免許更新制について伺います。
 二〇二一年二月八日、中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会において、次期教員養成部会への申し送り事項として、教員免許更新制や研修をめぐる包括的な検証についてという資料が提出されました。この中で、免許更新制について厳しい評価がなされたと述べられております。どのようなものかお示しください。
○義本政府参考人 お答えいたします。
 これまで中央教育審議会におきましては、免許更新制や研修をめぐります制度について包括的な検証を進めてきたところでございます。前期の中央教育審議会におきまして、教育委員会ですとか校長会、各教育関係団体からのヒアリングをさせていただきまして、その中で、いろんな形で課題が指摘されたところでございます。
 例えば、この更新制の趣旨としましては、最新の知識、技能の修得ということについて一定程度の効果がある一方、費やした時間や労力に比べて効率的に成果の得られる制度になっているかという点においては課題がある。さらには、学校内外で研修が実施されていることに鑑みれば、十年に一度の更新講習の効果については限定的であるというふうな御意見があったところでございます。
 さらには、ヒアリングの中においては、課題としまして、教師の勤務時間が増加している中において、講習に費やす三十時間の相対的な負担がより高まっている。その上で、時間的、あるいは費用、あるいは手続面において、教師に負担が生じている。さらには、臨時的任用等の確保に影響を与えているということで、退職教員の活用に懸念があるというふうな御指摘もいただいたところでございます。
 中央教育審議会における次期教員養成部会への申し送り事項、これは委員が御指摘のところでございますけれども、これらの意見を踏まえて、教員免許更新制につきましての厳しい評価ということについていただいたことを承知しております。
○畑野委員 非常に率直な意見だと私も読ませていただきました。加えると、こういう意見もございました。教員免許状の更新手続のミス、いわゆるうっかり失効が、教育職員としての身分に加え、公務員としての身分を喪失するという大変重い結果をもたらすことについては疑問があるなどなど、そういう率直な意見でした。
 こうした問題に加えて、先ほどありましたように、育休等の代替教員を見つけようとする際に、免許更新されていない方から断られることが多々あるとか、本当に足かせになっているということを、臨時的任用教員の採用などに当たっても伺っております。昨日の参考人質疑の中でも、免許更新制については廃止、見直しが求められました。
 こうした現状から、教員免許更新制は廃止すべきだと思います。抜本的見直しには免許更新制の廃止も含まれておりますか。
○義本政府参考人 お答えいたします。
 前期中央教育審議会の議論におきましては、免許更新制について厳しい評価がなされております。その中で、教師の資質、能力の確保、教師や管理職等の負担の軽減、教師の確保を妨げないことが両立できるような抜本的な検討が必要であるというふうなところにおいて見解が一致したところでございます。
 今月の十二日に、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について中央教育審議会に諮問したところでございまして、免許更新制につきましては、必要な教師の確保とその資質、能力の確保が両立できるような抜本的な見直しの方向について先行して結論をいただくように求めたところでございます。
 この見直しの方向性につきましては、中央教育審議会でまさに今後議論を行う予定と承知しておりますけれども、何らの前提を置くことなく、抜本的な検討が求められるものと考えておるところでございます。
○畑野委員 前提をなしにとおっしゃるんですけれども、多くが廃止というふうに、現場で言っているんです。
 萩生田大臣、今後、現場の皆さんからアンケートを取ろうというふうにされていると思います。是非、そのアンケートで出された現場の教員の声を尊重していただきたいと思いますが、いかがですか。
 では、まず局長から。その後、大臣もよろしくお願いします。
○義本政府参考人 失礼いたしました。
 これまでの包括的検証の中で教育委員会の関係者等からヒアリングで得た事実認識が現場の教師の認識と一致しているかどうか裏づけるために、今後、現場の教師を対象とする一定規模の調査、アンケートを行うこととしております。
 免許更新制が、全ての教師が十年に一度定期的に知識、技能を刷新し、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目的としたものである以上、最終的に現場の教師の認識というものを適切に把握することが検証の完了において不可欠だと認識しているところでございます。
 この調査の結果をしっかり踏まえながら、できる限り早急に検証を終了し、中央教育審議会の審議を踏まえて、制度の見直しに関する具体的な検討に着手してまいりたいと考えております。
○畑野委員 大臣がこの問題に取り組んでいらっしゃるので、廃止も含めて、否定しない、廃止も含めることも含めて、現場の声を尊重していただきたいと思うんですが、どうですか。
○萩生田国務大臣 コロナ禍でこの一年、教育現場、先生方、本当に大変な思いをさせています。しかし、歯を食いしばって子供たちの学びを守っていただいたこと、本当に感謝を申し上げたいと思います。
 その中で、少しでも先生方の負担軽減ということで、先ほどお話があった学習支援員ですとかスクールサポーターというものを募集しまして、全国から、もう本当に二万人を超える多くの皆さんが応募してくれました。その中の圧倒的多くがOBの皆さんでありました。
 問合せは、免許更新が切れているんだけれども、手伝いに行っていいかと言われたんです。誤解を恐れず申し上げますけれども、免許を持っている一年目の先生と、免許の切れた四十年経験を積んだ先生だったら、それは後者の方が現場は本当に助かるというぐらい、やはり実績に裏打ちされた経験をお持ちでございます。
 私は、この更新制度、やはりいろいろ課題があると思います。もう既に中教審にお願いをしていますので、私の方であらかじめ結論を導くような発言は控えたいと思うんですけれども、少なくとも、文科省でやる、さっきちょっともめていたのは何でかというと、中教審の方もちゃんと現場の声を聞くことになっていて、文科省も別のアンケートをやるということになって、その必要があるのかなと、済みません、そこで、今気づいたのでそんなことを言っていたんですけれども、やる以上は、その声をしっかり聞いて、中教審の先生方と合致できるような結果を導いていきたいなと思っております。
○畑野委員 最後に、学校統廃合について一言だけ伺います。
 附則第二条では、例外的に四十人学級を認める特別の事情として教室不足を想定しているということです。統廃合の見直しが必要だと考えますが、いかがですか。使われなくなった校舎の再活用なども検討すべきでありませんか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 学校の統廃合については、文部科学省から地域に求めているものではなく、各地域の学校の在り方については、地域の実情に応じて設置者である各自治体において主体的に判断されるべきものではございます。
 なお、この少人数学級を進めていく上で、公立学校施設については、全体としては、少子化の進行に伴い教室数には余裕が出てきているわけですが、一部地域で様々な事情を抱えているところもございますので、既存施設の有効活用の観点から、余裕教室の転用等のほかに、現在の学校からの距離を含め、教育環境として適切な場合には、統廃合等により生じた廃校施設を利用することも考えられると思っております。
 以上です。
○畑野委員 私も、二十二年前の国会議員としての初質問は三十人学級でした。世界の流れは、三十人学級、そして二十人程度の学級ですので、更なる推進を求めて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。