21年6月9日文科委 日本共産党の畑野君枝衆院議員は9日、文部科学委員会で東京五輪・パラリンピックの選手らが治療、入院等を行う「指定病院」についてただし、東京都以外の20病院の確保が進んでいない実態とコロナ対応の危うさが浮き彫りになりました。

 指定病院の確保状況について、組織委員会の布村幸彦副事務総長は「都外20カ所の病院と調整をすすめている段階」と答弁。依然、確保にいたっていないことがわかりました。

 畑野氏が「選手がコロナに感染した場合、指定病院以外にいくのか」と問うと、布村副事務総長は「各自治体の入院調整の仕組みの中で対応することが基本」と答弁。指定病院以外での対応となるだけでなく、収容する病院を事前に確保せず、発症した時点で地域の保健所の判断によって対応するという、危うい実態が判明しました。

 畑野氏は、丸川珠代五輪担当相が大会ボランティア7万人に新型コロナウイルスワクチン接種をすすめるとした発言の裏付けについて問いました。

 丸川氏は「実務的なことをいま検討してもらっている」と発言の根拠の乏しさが判明する一方、布村氏は「ワクチン接種については、いただいている特別な枠(IOCからの2万人分)以外にも大規模接種会場などを活用できるかも含めて検討している」とするなど、国や自治体頼みの考えを示唆しました。

 畑野氏は「大会まであと44日。こういう状況で本当に五輪をやるのか。早く中止を決め、開催ありきでない検討をすべきだ」と指摘しました。

(しんぶん赤旗2021年6月10日付)

 

【動画】→https://www.youtube.com/watch?v=_EwtjANQMh0

 

【2021年6月9日衆議院文部科学委員会議事録】

○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。 

まず、東京オリンピック・パラリンピック大会について伺います。  六月二日の当委員会で、二〇一九年八月時点で、東京二〇二〇ライブサイト、十九自治体、三十会場、コミュニティーライブサイト、百四十五自治体、二百二十七会場との御答弁をいただきました。コミュニティーライブサイトの一覧を出していただきたいと思います。

 また、六月一日から予定のパブリックビューイングの応募は現在何件でしょうか。

 

○布村参考人 自治体が主催いたしますコミュニティーライブサイトにつきましては、大会の延期前、百四十五自治体から二百二十七会場につきお申し込みをいただき、各自治体で実施準備をしておりました。大会が延期になったことから、現段階では、コロナ対策のガイドラインに沿ってコロナ対策を検討していただいているという状況で、現時点ではまだ数字が固まっていないところでございます。  また、パブリックビューイングにつきましては、ガイドラインは公表しておりますけれども、競技放映スケジュールが確定前であり、六月中の申請という形で今準備を進めているところでございます。

 

○畑野委員 東京二〇二〇ライブサイトの方は名簿を出していただきました。よく分かりました。コミュニティーライブサイトも、かつてどういう計画があったのかというのも重ねて出していただくように要望をしておきます。

  ライブサイト中止の動きが広がっております。埼玉県でも、ライブサイトを中止してパブリックビューイングだけにしたんだけれども、それも中止するという発表がありました。井の頭公園でのライブサイト中止を求める声も上がっておりますし、神奈川県でも中止を求める声が上がっていると伺っております。

  次に、国内の関係者約三十万人が通訳、警備、運転、清掃などに携わると伺いました。  この内訳、それぞれ何人でしょうか。また、ワクチン接種ができるのは何人と見込んでおられますか。

 

○布村参考人 国内の大会関係者の数でございますけれども、オリンピックは、全体で約十九万人、職員が八千人、ボランティアの方が五万四千人、コントラクターは約十二万人というような内訳でございます。

  パラリンピックにつきましては、全体で約十一万人、職員が六千名、ボランティア約二万六千名、コントラクターは約七万人という状況でございます。

 ワクチン接種につきましては、ちょうどアスリートの方々が六月一日からワクチン接種が始まったところでございます。IOCとファイザー社との、特別の御配慮によりまして、二万のワクチン接種が可能になっておりますので、アスリートに近い大会関係者から急ぎワクチン接種を進めていきたいという状況でございます。

 

○畑野委員 ですけれども、丸川珠代大臣が、昨日、ボランティアの皆さんも全員ワクチンが接種できるように進めていくというふうにおっしゃったんですが、布村さん、具体的にどうなんですか。

 

○布村参考人 先ほど申し上げましたように、アスリートの方がまずワクチン接種がスタートし、アスリートに近い競技ボランティアなどについては、優先的に枠の中で早めに始めるように今準備を進めているところでございます。

  ワクチン接種については、いただいている特別の枠以外にも活用できる大規模接種会場ですとか職域接種もございますので、そういったところとも、活用できるかどうかも含めて、今後検討していくことになろうかと思います。

 

○畑野委員 丸川大臣に伺いますが、そうすると、昨日おっしゃったこととちょっと違うんですけれども、それはもう見込みというか思いだけで、裏づけがないということでよろしいですね。

 

○丸川国務大臣 昨日の質問というのは、是非やってくださいという意見だったので、誰かが反対しているわけじゃなくて、その方向で進んでいるという話をしておりました。

 他方、布村さんがさっきからおっしゃっているのは、とにかく、まず海外から来る選手の周りを先に打ちたいという話をさっきからずっとおっしゃっていまして、もうそれはそのとおりであります。  この大会ボランティアの方たちというのは、色合いが幾つかありまして、全くフリーで応募されている方もいれば、多少関係のあるところからおいでになっている方もいらっしゃる。それなりの、例えば、語学の技能がなきゃいけないとか、運転の技術がなきゃいけないとかいろいろありますので、そういう方々は、元の職域の接種ということも考えるわけであります。あと、都の職員の方も当然おいでいただいている分があると思いますので、例えば都市ボラはその自治体で打っていただくことができないだろうかとか、職域で打たれる方は職域で打っていただけないだろうかというようなことの調整の中で、どこでどのくらいの人がいつ打てるのかという実務的な課題を今検討していただいているという状況にあります。

 

○畑野委員 あともう四十四日ですよね。今どきそういうことをやっているんですかというのが、声が上がっているわけです。しかも、希望的観測だけで言われても、何の根拠もないわけです。

  伺いますけれども、バブル方式を選手に対して取るというふうに言っております。選手に行うとしている唾液による抗原検査あるいはPCR検査について、どのように進めるんですか。

 

○布村参考人 海外から日本に入国後の検査につきましては、唾液によるPCR検査又は抗原定量検査を外部に委託して実施をしていくということを基本としています。

 また、選手に関しましては、最初の検査は唾液抗原検査を実施、その検査結果が不明確あるいは陽性の場合には、同じ唾液の検体を活用して、唾液PCR検査を実施するという予定でございます。

  また、二回目の検査の結果が不明又は陽性の場合には、選手村内に設置される発熱外来において、鼻咽頭PCR検査による再検査を実施するという予定でございます。

 

○畑野委員 これについても、大丈夫ですかという声が上がっていますよね。そもそも、唾液というのは非常に難しいです。

  というのは、専門家からは、十分間は口をすすいだり、飲食をしたり、そういったものをしないでください、そうじゃないとウイルスがなくなってしまうと。あるいは、厚生労働省含めて、十分あるいは三十分、その間に何もしないようにと。そういう監視体制をどういうふうにつくるんですか。

 

○布村参考人 選手村においては、発熱外来とともに検査センターを設置しております。また、選手村外の専門エリアについても同じような、まあ、同じ規模にはなりませんけれども、監視下に置いて、それぞれの監視下において御自身で唾液検体を採取いただくということです。検体はその場で回収する、そういう医療関係者の存在の中で検査を実施していただくという体制でございます。

 

○畑野委員 いや、私は前に、レクのときに、不正が起こるんじゃないですかと言ったら、じっと見ていると言うんですよね。でも、その見る前の十分間あるいは三十分間、口に物を入れていないかどうか、そういうのをきちっとやらなかったら、いや、それは隠す、ごまかすということもあるんじゃないですか。そういうのも今のところではちゃんと検討していないということが分かりました。

  それから、医療の問題です。

  この間、大会に必要な医療従事者を一万人から七割に削って七千人ということで聞いてまいりました。医師、看護師、理学療法士、検査技師等ということで伺っているんですけれども、今確保できているのはそれぞれ何人ですか。

 それから、もう一つ、指定病院の話をこの間聞いてきました。都内十か所に置く、内諾は九病院ということですが、現在、コロナ患者を受け入れている病院あるいは受け入れる能力がある病院は幾つでしょうか。東京以外の二十の指定病院についても同様に伺います。

 

○布村参考人 お答えいたします。

 大会における医療体制については、地域医療への影響を極力なくすという対応で取り組んでいるところでございます。

 まず、医療体制でございますけれども、組織委員会において当初の計画から見直しを行った結果、当初計画の三割程度の削減は可能になってございます。それを前提に、医師はおおむね九割程度、看護師はおおむね八割程度の確保の見通しが立っているという状況でございます。

それから、指定病院についてでございます。

 指定病院においては、アスリート等への外傷などを中心とする治療に当たること、あるいは熱中症対策のお客さんということになろうかと思いますが、大会指定病院を確保することとし、現在、都内九か所の病院からおおむね内諾をいただき、また、都外二十か所の病院とも、これは調整を進めているという段階でございます。

 大会時のコロナ対応については、各自治体が行っておられる入院調整の仕組みの中で御対応していただくことを基本として、現在、それぞれの自治体の意向も踏まえつつ、丁寧に調整を行い、コロナ対応をしている病院に限定せず、また、アスリート専用の病床の確保を求めたりということはない形で調整を進めさせていただいております。

 

○畑野委員 布村さん、そうすると、指定病院だけじゃなくてその他の病院にも、コロナに選手などが感染したら、そこに行くということなんですか。指定病院だけじゃなくて。そういうことですか。

 

○布村参考人 大会指定病院として指定させていただく外傷者あるいは熱中症者を受入れいただく病院を自治体と調整をさせていただいているということでございます。(畑野委員「そこでコロナも診ると」と呼ぶ)いえ、地元のコロナ対策を中心に行っていただいている病院とできるだけ役割分担できるような形での地元自治体の調整をさせていただいているということです。

 

○畑野委員 そうすると、今調整している指定病院なんですけれども、コロナ感染者を、患者を今受け入れている病院なんですかというのを聞いているのと、これから受け入れる能力がある病院なんですかと言っているのはなぜかというと、その指定病院に、けがとか熱中症だけでなく、コロナの感染された方が来るでしょう、そういう方もその指定病院で受け入れるんですかということをシンプルに聞いているんだけれども、そういうことですよね。感染者が増えたら違うところにも受け入れてもらおうということなんですか。どういう意味ですか。

 

○布村参考人 地元自治体で医療体制に責任を持っておられる部署との調整により、コロナ対応の病院に限定せずに、またアスリート専用の病床の確保も求める形ではない形で、極力地元の、地域医療のコロナ体制に影響を与えない形での指定病院を確保していくという方向で、自治体との調整を進めているところでございます。

 

○畑野委員 県の頭越しに組織委員会からやるのはやめていただきたいという声も聞いています。これは引き続き聞いていきたいと思います。  丸川大臣に伺います。  先ほども議論になりましたけれども、尾身茂政府分科会会長の、今の状況でやるというのは普通はない、このパンデミックでということに対して、全く別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらいとおっしゃられました。

  通じづらいというのは、誰に対して通じづらいというふうに思われたのか。私は、大臣がそれを言ってはおしまいだと思うんです。だって政府の、大臣なんですから。尾身さんが言ったことをちゃんと関係者にしっかりと徹底するのが丸川大臣の仕事じゃないかと思うんですね。

 だから私は、こういう発言というのはあってはならない、撤回をして、しっかりと尾身さんからも話を聞く、正式に聞く、そういう態度をオリパラ担当大臣として示すべきであると思うんですが、いかがですか。

 

○丸川国務大臣 もう個別には既によく会話させていただいているので、別の地平から言われているから聞こえないとか聞かないとかいうことでは全くなくて、こちらの説明の言葉が至らなくて通じない部分もあるのかなと思いますし、尾身先生のおっしゃっていることは本当にみんなよく理解をした上でどうしようかという議論をしているんだという理解をしております。

 

○畑野委員 全く理解が進まない御発言だったので、まだまだ、先ほど議論がありましたが、きちっと正確にお述べになった方がいいと思います。

  こういう状況の中で本当にやるんですかと、やはり私は中止をして、開催ありきでない検討をするべきだというふうに申し上げておきます。