東京五輪・パラリンピック推進本部の設置期限を2021年度末まで延長する特措法改定案が11月18日の衆院文部科学委員会で、日本共産党以外の賛成多数で可決されました。

  反対討論の中で、世界的な新型コロナウイルス感染拡大が続くなか、開催ありきで推進体制を延長することに賛成できないこと、オリパラ推進本部について、五輪精神に反し五輪を名目に都市再開発などを推進するもので、設置期限を延長することには賛同できないことを主張し、今必要なことは、感染拡大のもとで大会の開催が可能か冷静な判断を行うことだと強調しました。

 反対討論に先立つ質疑では、コロナ禍で選手選考のめどもない状況だと指摘すると、橋本聖子五輪担当大臣は、世界で選考大会中止が続き日本選手団の出場枠も確定していない状況だと述べました。

 大会の医療体制について、東京都医師会の尾崎治夫会長が「病院も診療所も疲弊している」「五輪に協力する形になれるか、正直なところ難しい」と発言していることを紹介して認識をただしましたが、橋本担当大臣は「検討を進めたい」と述べるだけでした。

 開催には選手や観客とともに開催都市周辺で生活する全ての人の安全が必要ではないかと尋ねると、橋本担当大臣は、地域の安全がなければ「本当の意味の安心安全の大会にはならない」と述べました。

 

★感染拡大の「第3波」到来を直視し、「検査・保護・追跡」の抜本的強化を志位委員長の提言→https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-11-13/2020111303_01_0.html

【動画】

【議事録】

○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会特別措置法等改正案について伺います。

 十一月十六日、菅義偉首相は、IOCのバッハ会長との会見の際に、人類がウイルスに打ちかったあかしとしての東京大会を実現する決意を述べられました。橋本聖子オリパラ担当大臣も、この間、世界がコロナウイルスに打ちかったあかしとなるべき大会にしていかなければいけないとおっしゃっておられます。

 そこで伺いたいのですが、コロナに打ちかったあかしというのはどういう状況だとお考えでしょうか。

○橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 現在、国内外でさまざまなスポーツ大会が開催をされ、活躍するアスリートの姿に励まされたという声も聞かれるようになりまして、改めてスポーツの持つ力を実感しております。

 来年の東京大会は、世界のアスリートが万全のコンディションでプレーを行い、観客の皆さんにとっても安全で安心な大会として成功させたいと考えておりまして、まさに人類がコロナウイルスに打ちかったあかしとしての東京大会を実現する決意であります。

 来年、東京大会を開催することは、一昨日にバッハ会長が発言されたとおり、コロナ禍において、人類の連帯と結束力、そういったものをあらわすシンボルとなるというふうに考えております。

 政府としては、安全、安心な大会の実現に向けて、引き続き連携をしていきたいというふうに思っております。

 バッハ会長がおっしゃる人類の連携と結束力、まさにそのことが、世界のアスリートの強い、アフターコロナを見据えた、次世代における戦いというものに対してのあかしだというふうに私は考えております。

○畑野委員 そこで伺いたいのですが、橋本大臣にまず伺います。

 安心、安全に開催するために、選手や観客だけでなく、東京や首都圏、北海道、東北などの開催都市やその周辺で生活をする住民、児童生徒、学生、労働者、事業者を含めて、全ての方が安全、安心である必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○橋本国務大臣 御指摘のとおりであると思います。

 このコロナ禍におきまして、大会を安全、安心に開催するということは、アスリートや観客等の安全と同時に地域の安全、この両立が図られることができなければ、本当の意味での安心、安全の大会にはならないというふうに認識をしております。

 九月からの国、東京都、大会組織委員会によるコロナ対策調整会議におきましても、例えば、大会に参加するアスリートに対して検査や行動管理、健康管理など必要な防疫上の措置と、そして大会関係者や外国人観客に対しても必要な行動管理や検査のあり方、そしてホストタウン、国の手引を踏まえて受入れマニュアルを作成いたしまして、感染防止対策を実施することなどの方針を踏まえて提示をしております。

 引き続き、来年の夏の大会の安全、安心な開催に向けて、しっかりとこの両立というものが図られるように、緊密な連携をして準備に取り組んでいきたいと思います。

○畑野委員 萩生田光一文部科学大臣にも伺います。

 大臣は、十一月十一日に当委員会で、「人類がウイルスに打ちかったあかしとして安全、安心に開催するため、文部科学省としても全力で取り組んでまいります。」と述べられました。

 そこで、安全、安心に開催するというのは、選手や観客だけでなく、東京などの開催都市やその周辺で生活する住民の皆さんを始め児童生徒、学生など、教育関係の皆さんを含めて、全ての方々が安心、安全であるということが必要だと思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

○萩生田国務大臣 先生の御指摘のとおりだと思います。

 さっき、笠先生との質疑の中でホストタウンの話が出まして、ああいう方針ですと、やはり萎縮しちゃって、やはりイベントは控えておこうということにもなってしまうと思います。

 そのためにも、多くの皆さんが同じ共通認識を持って、この感染症にしっかりと対応できる環境づくり、これは例えば、ワクチンや抗ウイルス剤の開発も待ちたいと思いますけれども、こういったものを含めて、感染症は別に肩書や属性でかかるわけじゃなくて、全ての皆さんに罹患する可能性があるわけですから、おっしゃるように、ボランティアの人たちも大事ですし、運送機関の人たちも大事ですし、選手村を支えていただける職員の皆さんも大事ですし、あらゆる皆さんのしっかりとした健康管理というものをしながらこの大会を進めていかなきゃいけないと思っています。

 水際対策、検査・医療体制、関係自治体での対応など、幅広い課題を総合的に検討、調整をしてきたところでありまして、年内に中間報告を行いたいと思っております。

 いずれにしましても、橋本大臣と連携しながら、文字どおり安心、安全な大会に向けて、文科省も全力を尽くす覚悟です。

○畑野委員 小池百合子東京都知事は、パラリンピックの成功なくして東京大会の成功はないと述べられ、橋本オリパラ担当大臣も、パラリンピックの成功が大会成功の鍵であると当委員会で述べられました。

 IPC、国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長が、競技と種目、選手の数を減らすことは考えていないとして、アスリートの安全に対して保証できないなら開催できるかどうかを考えなくてはならない、オリンピックとパラリンピックは一体であるとして、選択肢は二つしかない、オリンピック、パラリンピックともに開催するか、いずれも開催しないかだと、この間述べられておられます。

 橋本大臣の認識は、このパラリンピックの開催についてどのようにお考えでしょうか。あわせて、パラアスリートにとって感染症対策がとりわけ必要だと思うんですけれども、どのような対応が必要か伺います。

○橋本国務大臣 東京大会においては、パラリンピックの成功なくして東京大会の成功はなし、この認識のもとに、大会組織委員会、東京都等の皆さんと連携をして全力で取り組んでおります。

 まさに、パラリンピックとオリンピックというのは一体のものです。ナショナルトレーニングセンター、先ほど萩生田大臣からもお話がありましたけれども、イーストもパラアスリートに練習をしていただけるような構造にもなっておりまして、トレーニングも、今はパラアスリートとオリンピアンと、ともに練習をするという競技も出てまいりました。まさに一体のものだと私は思っております。

 新型コロナウイルス感染症対策についても同じことでありまして、基本的にオリンピック、パラリンピック共通ですけれども、パラアスリートについては、障害の種別によって、必要となる感染防止策、例えば、ソーシャルディスタンスを保つことや手指の消毒が困難な方もいらっしゃいます。

 そういったことにおいて、基礎疾患を抱えるパラアスリートや呼吸機能が弱いパラアスリートに対して、感染による、急速に重症化するリスクもあると言われておりますので、こういったことを踏まえて、パラアスリートの具体的な感染症対策について、組織委員会そして日本オリンピック委員会等と検討を進めてまいります。

 特に、やはり現場の声、河合委員長を始めパラアスリートの皆さんが、今、何を、困難な状況で支障があって、そして何に不安を持っているのかということ、こういったことを一つ一つ丁寧に声を聞きながら、世界のパラアスリートが万全のコンディションでプレーを行って、観客の皆さんにとっても安心で安全な大会に向けて、引き続き、開催都市の東京都と組織委員会と連携して準備を進めたいと思います。

○畑野委員 やはり、橋本大臣、萩生田大臣からもおっしゃっていただきましたように、地域の人たちも含めて、現場の人たちも含めて、安心、安全と思ってこそ、開催が保証されるというふうに思います。

 裏を返しますと、国内外の感染状況によっては安心、安全でないということになった場合、中止や再延期をせざるを得なくなるのではないかという声もたくさん寄せられているんです。

 きょう、資料につけさせていただきましたけれども、産業能率大学が調査した十月二十日発表のものです。これは、スポーツのファンの皆さんから聞いた声です。

 「現実問題として、来年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催も難しいと思う」というのが八四・八%です。「コロナ禍が収まって、来年無事に東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されてほしい」というのが七四・七%です。これは本当にスポーツが大好きな人たちのアンケート調査で、大変心配をしておられます。

 それから、資料のその下ですけれども、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査、十月二十七日発表のものですけれども、「来年夏の東京オリンピック開催についての考え」ということで、「予定通り開催する」一二・六%、「規模を縮小して開催する」一八・八%、「予定されている期間よりも期間を延ばす」三・三%、「無観客で開催する」七・二%、「観客を減らして開催する」一一・八%。つまり、条件付でという開催は四一・一%です。

 一方で、「さらに延期して、開催できるか検討する」というのも九・〇%、「中止する」というのは一九・三%、こういう率直な声が寄せられています。

 そして、先ごろのNHKの、東京大会の国内スポンサー企業に行った調査、十月ですが、十二月末で契約が切れるスポンサー契約を延長するかどうかという問いに、決めていないと回答したのが六一%だったということが今話題になっております。さらに、大会を成功させるために必要なこととして、感染症対策、国民の同意を得られること、開催を前提とした機運醸成の広報に傾注するだけでは本当の一体感を醸成できないという指摘もあります。これは資料につけておりません。

 そこで伺いますが、橋本大臣、こうした懸念の声が上がるのは一体なぜだとお考えでしょうか。

○橋本国務大臣 やはり、この否定的な御意見に関して申し上げますと、現在の内外の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえて、来年の開催への不安というものが示されたのではないかというふうに思っております。

 この資料を示していただきました中で、「コロナ禍が収まって、来年無事に東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されてほしい」という声が七四・七%あったということは、まさに、こういったスポーツを日ごろ愛していただいている方だからこそ、コロナ対策というものが万全でなければいけないというあらわれだというふうに認識をいたしております。

 東京大会の新型コロナウイルス感染症について、国と東京都、大会組織委員会によるコロナ調整会議で、実効的な対策の検討、これを年内を目途に中間整理を行う予定としております。

 こういった不安を払拭するために、来年の開催が可能であるということの思いを強くしていただけるように、引き続き、IOC、大会組織委員会、東京都、連携を密にして丁寧に進めていきたいと思います。

○畑野委員 橋本大臣がおっしゃるとおり、スポーツのファンだからこそ心配している、もう本当に、アスリートたちが感染したり苦しんだりしてほしくない、最大のパフォーマンスを発揮できる条件をやはりしっかりと見きわめてほしいという声だと思うんです。

 なぜならば、この間、日本における新型コロナ感染者の新規感染者、きのうも千七百人ですよ。過去最多という状況がこの間もありましたけれども、千人を超すという状況が繰り返し続いています。それから、米ジョンズ・ホプキンス大学の調査、五千五百一万人が感染して、亡くなった方が百三十二万六千九百九十一人と、アメリカ始め、また新たな波が今出てきている状況、大臣がおっしゃるとおりだというふうに思います。

 それで、おっしゃったように、国内の感染状況、あるいはそれへの対応が本当に国内で大丈夫かという、不十分だと感じているからそういう声が私は出るというふうに思います。

 こうした不安の声に応えるためには、まず国内での徹底した感染症対策をすることが必要だと思います。我が党も繰り返し提案をしてまいりましたし、今月十三日にも政府に対して緊急な対策を求める提言を出してまいりました。

 そこで、厚生労働省に伺いますけれども、感染拡大の第三波到来と言われておりますが、どういう認識でいらっしゃるんでしょうか。そして、この間提案してまいりました検査、保護、追跡の抜本的な強化、あるいは、それとの関連で、言葉の壁のある外国人の方々への対応、さらに、今、医療機関の減収補填など大変な危機的な状況にある、こうした感染症対策を、宿泊療養施設の確保なども含めてですけれども、やる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスの感染状況につきましては、新規感染者数が過去最高となるなど、極めて警戒すべき状況が続いていると認識しております。引き続き、自治体と緊密に連携して、めり張りのきいた効果的な対策に全力で当たることが重要と考えております。

 具体的には、医療機関や介護施設等の、重症化リスクの高い場の検査の徹底、また、クラスター対策の専門家の派遣、保健師等の広域的な派遣調整など、感染拡大防止対策を講じていくこととしております。

 また、御指摘の、外国人への対応につきましては、これまでも、予算事業によりまして、医療通訳や外国人患者受入れ医療コーディネーターの配置、電話通訳の利用促進など、医療機関が外国人患者を受け入れるための支援を行ってきましたほか、新型コロナウイルスに対応するため、臨時的措置として、新型コロナウイルス感染症の外国人患者を受け入れる医療機関に対して電話通訳サービスを無料で提供するといった対応を行っているところであります。

 また、御指摘いただきました医療機関への支援につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応や患者数の減少による収入の減少などに対応するため、補正予算と予備費を合わせてこれまで三兆円の措置を行ってきたところでございます。

 今後とも、医療機関の類型ごとの経営状況も把握しながら、国民の皆さんに必要な地域医療が確保できるよう、必要な取組や支援を継続してまいりたいと考えております。

○畑野委員 ですから、認識としても大変危機的な状況だということだと思います。

 そして、それは、これまでやってきたことでは足りないということのあらわれだと思うんです。私はこの間、萩生田大臣にも当委員会で、学校など含めて対策を進めていただきたい、そういう話も要望しておりますけれども、国を挙げて、厚生労働省を先頭に、ぜひ一層予算もつけて対策をしないといけない状況に今なっているんだということを全体の共有の認識にする必要があると思います。

 そこで、橋本大臣に伺いますけれども、医療体制についてです。菅首相は、保健医療体制の確保などを検討するとおっしゃっております。今現在、組織委員会ではどのような医療体制を確保されていますか。

○橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 大会期間中における医療体制については、組織委員会は、アクレディテーションを保持する全ての大会関係者とチケットを保有する観客に対して、医療を提供することとしております。選手村には総合診療所、各競技会場には選手用、観客用の医務室を設置、運営をし、これらの施設の機能を超える治療、検査が必要な場合は大会指定病院に搬送するというふうに伺っております。

 大会期間中に選手村総合診療所や競技会場内の医務室で活動する医療スタッフについては、一部の責任者を除きまして競技会場の周辺の医療機関等を通じての参加となるため、組織委員会が人員確保のための調整を医療機関や関係団体等との間で進めていると承知をしております。

 医療スタッフの確保については、組織委員会からは、コロナ禍の中においても来年の東京大会に引き続き御協力をいただける医療機関等と調整を進めていくと伺っておりますが、政府としても、大会期間中の医療体制を万全なものとするために、組織委員会や東京都と関係者としっかりと連携を図って充実に努めてまいります。

○畑野委員 資料の二枚目につけさせていただきましたけれども、「医療スタッフの配置(標準的な会場医務室)」ということで、これは昨年の二〇一九年七月三十日に示されたものですね。それを今、検討をし直されているというふうに思うんです。去年の七月三十日なんて全くコロナ対策のないときですから、もうそれは当然御承知のことだと思いますが、大変な事態になると。しかし、同時に、これを支えるのは地域の医療なわけです。ですから、東京医師会の尾崎治夫会長は、病院も診療所も特に東京はかなり疲弊している、経営状況が悪いところもふえている、夏の暑い時期の熱中症対策も含めてオリンピックに協力するという形になれるのかどうか正直なところ難しいと、会見で述べられておられます。

 また、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の病院経営調査の結果、四月から九月の半年間で大幅な赤字で、年度内で取り戻せることはあり得ないということです。つまり、オリパラの対応だけでなく通常の業務もある、そして新たなコロナの感染者の対応もしなくちゃいけないんですね、当然。これは今ふえているという状況を含めて。その中でどういう対策を進めようとしていらっしゃるのか、伺います。

○橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 九月から行われておりますコロナ対策調整会議、ここで医療体制の確保についての議論も進めているところでありますけれども、アスリートへの医療提供を行う大会指定病院等の人的、設備的な負担を軽減することについて、これも検討する必要があるというふうに考えております。

 今後とも、組織委員会や東京都を始めとする関係者と連携を図りながら、大会における医療保健体制の確保に向けた支援のあり方も検討していかなければいけないと思っております。

 東京医師会の御意見もしっかりとお聞きをしながら、組織委員会や東京都、そして今行われているコロナ調整会議において検討を進めていきたいというふうに思います。

○畑野委員 コロナ調整会議には岡部信彦川崎市健康安全研究所の所長も参加をされておられて、ブリーフィングなども読ませていただきました。大変専門家の立場から対応をしていただいていると思うんですが。

 それでは、世界の選手、あるいは国内の選手がどういう状況かということで伺います。

 代表選考が終わっていない競技団体は全体のうち幾つなのか、割合を含めて教えていただきたいと思います。

 また、感染症対策と大会出場について懸念の声が上がっております。ワクチン接種の話がありますが、これはまだ完成されてはおりません。選手によっては打ちたくないという人もいて、それも保障されなくてはいけないと思います。PCR検査を複数回実施してほしいとか、あるいはそれも大変だとか、いろんな声も言われています。

 そこで、ワクチン接種やPCR検査などの検査、コロナ禍でのドーピング体制など、大会出場にかかわるルールをしっかりとつくっていく、そのために、スポーツ界、アスリートの意見を聞く場はあるのかどうかということとあわせて、競技が行われる地域の住民の皆さんの意見を聞く場があるのか、その点について伺います。

○橋本国務大臣 このコロナ禍におきまして、選手の代表を決める大会、あるいはランキングですとか、それぞれの国別のエリア、ブロックでの選手選考が行われる予定の競技大会が中止や延期というものがまだ続いておりまして、まだまだ全体的に、オリンピックやパラリンピックの出場権を確保したというふうな、数においてですけれども、この国内においては、各競技団体が発表している日本代表への内定選手というのは、オリンピックが今、計百名程度です、そしてパラリンピックが大体六十名程度ということになります。

 日本選手団は、今、想定では五百名ぐらいの選手、それ以上になるというふうに思いますけれども、自国開催のために出場枠がふえるというところもありますので、全体的にはまだ決まっていない状況ですけれども、この状況におきまして、やはり選手が安心、安全を確保できなければいけないというメンタルの面においても私は考えておりますので、いち早くこのコロナ対策について、延期か延期ではないかというふうな、まだ決まっていない段階の三月でありましたけれども、総合対応推進チームをつくらせていただきました。

 これは、競技団体とそしてアスリートの方々のさまざまな意見を頂戴いたしまして、競技会場の所在する自治体とも定期的に意見交換を行う、こういったことが、情報の共有ですとか、いつ、どんなときにどうすればいいのかといった問題、短、中、長期的な計画のもとでアスリートたちは動きますので、そういったことの情報が一度にしっかりと聴取できる部分をつくるということで、総合対応推進チームを活用させていただいております。

 これもしっかりとそれぞれの団体の声を連携強化を図りながら対応するということで進めてまいりたいというふうに思っております。

○畑野委員 経費について伺います。

 延期に伴って追加の経費がかかるということですけれども、どれぐらいの経費で、誰がどれだけ負担をすることになるのかということと、簡素化に伴って経費の削減もされるというのですが、どれぐらい削減されるのか、伺います。

○河村政府参考人 お答えいたします。

 東京大会の開催経費につきましては、これまでも大会運営の実施主体である大会組織委員会から、毎年年末に大会経費としてその全体像が公表されてきております。昨年ですと、十二月二十日にV4予算として示されております。

 他方、東京大会の延期に伴う経費については、六月のIOC理事会において示された、安全、安心、費用節減、簡素化という基本原則に沿った精査が進められ、十月のIOC理事会において大会組織委員会より、これまでの簡素化による効果が約三百億円であったと報告されたところであります。

 大会の簡素化については、大会組織委員会において不断の取組を継続すると伺っておりますので、引き続き取組を進めていただきたいと考えております。

 また、東京大会における新型コロナウイルス感染症対策については、九月以降、コロナ対策調整会議で検討が進められており、その役割分担について今後議論が進められるものと承知しております。

 その上で、これら追加の大会経費に係る役割等の分担につきましては、IOCや大会組織委員会を中心とした、延期に伴う経費の精査状況や、コロナ対策調整会議における議論の整理なども踏まえつつ、今後、東京都や大会組織委員会を中心に、国も加わったところで検討をしてまいりたいと考えております。

○畑野委員 立候補ファイルのときは計八千億円だったんですよね。すごく広がってきているということです。しかし、そういう細かいことも出てこないということが問題だと思います。

 最後に伺います。

 法案について、オリパラ大会の外国人関係者の税制の特別措置の期限が本年十二月末となっております。法律が成立しなくても各居住国で確定申告などの手続で控除は可能だと思いますが、確認です。

○益田政府参考人 お答えいたします。

 非居住者などに係る課税の特例措置が本年十二月三十一日をもって失効することとなった場合、例えば非居住者に対しまして日本国内で支払われる給与は原則として課税の対象となります。日本国において支払う所得税につきましては、当該非居住者の居住地国におきまして、税額控除などを通じまして所要の調整が行われることが一般的ではあると考えられます。

 ただしながら、こうした国際的な二重課税調整に係る制度は各国においてさまざまでございまして、居住地の国においてどのような調整が行われるかにつきまして確定的にお答えすることは困難な状況でございます。

○畑野委員 新型コロナウイルス感染症がこれだけ危機的な状況で、収束もいまだ見通しが立っていない。そういう中で、今国会であえて急いで成立をする必要はない。そして、本当にコンパクトにしていこうということでやってきた大会ですから、まず何よりもコロナ対策を政治の責任として最優先で行うことを強く求めて、私の質問を終わります。

 

【反対討論】

○畑野委員 私は、日本共産党を代表して、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 本法案は、全大臣を構成員として設置した推進本部や専任の担当大臣を置く推進体制を二〇二一年度末まで一年延長することを中心とするものです。

 そもそも、五年前に制定された本特別措置法は、オリンピック開催を我が国が活力を取り戻す弾みとなると位置づけ、大臣を増員して専任の担当大臣を配置し、オリンピックを名目として、都市再開発や大型公共事業をより強力に推進する体制をつくろうとするものです。

 我が党は、こうしたやり方は、オリンピック精神に照らしても、また、簡素で無理のない取組を求める国民や都民の声、そして、IOCが二〇一四年十二月に発表したオリンピック・アジェンダ二〇二〇の精神にも逆行するものだとして反対しました。その推進本部の設置期限を延長するとした本法案には賛同できません。

 しかも、本年三月、東京大会の開催は、新型コロナウイルス感染症の拡大のもとで、来年七月に延期されました。新型コロナの感染は、今世界で第三波が拡大しており、日本国内でも世界でも収束のめどはいまだ立っていません。開催のためには、大会に関係する全ての人に安全、安心な環境が保障されることが必要不可欠です。菅内閣は、人類がウイルスに打ちかったあかしとして東京大会を開催するといいますが、安全、安心な開催のあかしを示すことができていません。

 大会開催の条件が全く整っていないにもかかわらず、開催ありきで推進体制を延長することには賛成できません。

 今必要なことは、新型コロナの感染拡大のもとで大会開催が可能なのかどうか、専門家の知見や国民、都民の意見を聞き、冷静な判断を行うことではないでしょうか。何よりも新型コロナの感染拡大を防止し、人々の命と暮らしを守ることを最優先にするのが政治の責任だと申し上げ、討論を終わります。