来年度予算編成で最大の焦点の一つとなっている少人数学級の実現をめぐり、11月13日の衆院文部科学委員会で、新型コロナウイルスで強いストレスを感じている子どもたちの願いに応えるためにも来年度から実施を、と訴えました。萩生田光一文科大臣は「不退転の決意で臨む。勇気をもらった」と応じました。

 公立小中学校の学級編成標準は、義務教育標準法で1クラス40人(小学1年のみ35人)と定められています。新型コロナで社会的距離の確保が求められるなか、文科省は概算要求で義務教育標準法の改正も視野に少人数指導体制の整備を金額を明示しない「事項要求」として盛り込みました。

 国立成育医療研究センターの「コロナ×こどもアンケート」の10月の中間報告で、子どもたちが引き続き強いストレスにさらされ、「学校でもっとたくさん話を聞く時間を作ってほしい」などの声が寄せられていることを示しました。子どもたちの声に寄り添うためにも法改正による少人数学級実現が待ったなしだと迫りました。

 萩生田大臣は「30人が望ましいと私は思う。みなさんと協力しながら頑張りたい」と答弁。財務省の青木孝徳主計局次長は「われわれおとなが、児童・生徒の声にしっかり耳を傾けていくことは大変重要だ」と述べるとともに、社会的・経済的困難を抱える子どもが多い学校などでは少人数学級に効果があったことを示す研究があると認めました。

 

【議事録】

○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  まず初めに、少人数学級について伺います。  萩生田光一文部科学大臣は十一月十一日の当委員会での挨拶で、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備について、学級編制の標準の引下げを含めしっかり検討してまいりますと述べられました。  この学級編制の標準の引下げとは、義務標準法を改正し少人数学級を進めるということでよろしいでしょうか。

○萩生田国務大臣 新たな感染症の発生など、今後どのような状況においても子供たちの学びを保障するとともに、ICTを活用した個別最適な学びを実現することが必要です。そのため、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備について、学級編制の標準の引下げを含め、しっかりと検討してまいります。  学級編制の標準を引き下げる場合は、義務標準法の改正が必要となりますが、いずれにせよ、新しい時代の学びの環境の姿についてしっかり検討してまいりたいと思います。

○畑野委員 法律改正をぜひ進めていきたいというふうに思うんです。  大臣は、三十人学級を目指すとテレビ番組で発言をしていらっしゃいますが、そういう決意で頑張っていかれるのでしょうか。

○萩生田国務大臣 そのときもやや前置きをしたんですけれども、あくまで個人的な意見で、三十人を理想だなと思ったので。  少人数のあり方については、これは専門家のさまざまな御意見もありましょうし、スペースから逆算することも考えていかなきゃならないので。できれば三十人が望ましいと私は思います。

○畑野委員 実は、きょう、地方議会から寄せられた意見書をこの場所に持ってまいりました。  教員定数改善や義務標準法の改正など、少人数学級を求める地方議会からの意見書です。既に国会に届いているので四百三十五自治体、本当に分厚いものが来ております。さらに、それぞれの地域で採択されておりますものを含めると、五百三十四の自治体にも上ります。その中には、北海道、岩手、茨城、神奈川、新潟、山梨、長野、三重、和歌山、香川、高知、佐賀、大分、宮崎、熊本、鹿児島の十六道県議会も含まれております。  山梨県では、伺いますと、全ての二十八自治体の議会が少人数学級推進を求める意見書を採択されている。三十人学級を実現する会などの運動で、現在、小学一、二年は三十人、三年以降は小中全学年で三十五人学級で、二十五人学級を目指して取り組んでいると伺っております。  また、東京都八王子市議会でも、全会派が提案し採択がされたということで、少し御紹介いたしますが、「新型コロナウイルスの影響を受けた学校一斉休業からの再開直後、分散登校が実施された。この中で教育現場からは子どもたちの様子がよく分かり、勉強も丁寧に教えられるなど少人数学級の実現を求める声が高まっている。子どもたちからも分散登校時には勉強がよく分かると好評で、不登校が減ったという報告もされており、少人数学級が子どもたちにとって豊かな教育につながっている。」として、「少人数学級を早期に実現するよう強く求める。」と言われております。  また、きょう、資料につけさせていただきましたが、子供の心への影響はどうなっているのかということで、国立成育医療研究センターが、十月八日に発表した「コロナ×こどもアンケート」の第三回中間報告です。子供たちが引き続き強いストレスにさらされている様子がうかがえます。五月十二日の中間報告、四月三十日から五月五日の回答では「コロナのこと考えるとイヤだ」が三九%だったのが、十月八日の第三回中間報告、九月一日から九月二十二日の回答では「コロナのこと考えるとイヤだ」が四〇%になっております。同じく、五月の報告のときは「すぐにイライラしてしまう」が三二%、十月の報告では三〇%、ほとんど変わらない状況が続いています。本当に子供たちが大変なストレスの中に置かれていると思うんです。  次の二枚目のところに、その中で、「おとなたちへのおねがい・アドバイス」というのがありまして、「学校へ」の項目にこのように書かれています。「学校でもっとたくさん話を聞く時間を作ってほしい」、「学校が生徒の気持ちを知って欲しい」、「話し合える場が欲しい」という声です。子供たちのこうした願いに応えるために少人数学級が必要だと思います。  萩生田大臣は、このような地方議会の意見書や子供たちの声をどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

○萩生田国務大臣 地方六団体始め、自治体や学校現場から、少人数学級の効果や必要性の声は大きく、ニーズは高いというふうに考えております。  残念ながら、先ほどの議論の中であったように、そのエビデンスの評価をする方がいらっしゃるんですけれども、畑野先生などは中学校の教壇に立たれていたから、そういう方が四十も三十も変わりないんだと言うなら、それはまた一つ説得力があると思うんですけれども、今、外に向かっておっしゃっている方は、大学で教鞭とっている方で、小学校や中学校の教員経験がある方はいないんですよね。  ですから、私、ぜひ、畑野先生、昔を思い出して、四十より三十の方が効果があるということを内外に言っていただくとありがたいなと思います。これは、多分、多くの皆さんが望んでいるところだと思いますので、ぜひ、皆さんと協力しながら頑張りたいと思います。

○畑野委員 ありがとうございます。  本当に四十人って、端から端まで、中学校だと、後ろ、男子の生徒も大きくて、なかなか苦労したことを思い起こしました。ぜひ、そういう声を全国でも一緒に上げていきたいと思います。ありがとうございます。  それでは、財務省に同じことについて伺いたいのです。  今紹介したように、教員定数改善義務標準法の改正など少人数学級を求める地方議会からの意見書が多数、きょうも、これだけ、これは一部ですけれども、届けられております。国立成育医療研究センターが十月八日に発表した「コロナ×こどもアンケート」の第三回中間報告からは、子供たちの引き続き強いストレスにさらされている様子がうかがえます。本当に胸が痛くなります。財務省として、このような状況をどのように受けとめられますでしょうか。  また、十月二十六日の財政制度等審議会歳出改革部会に提出されました財務省の資料には、社会経済的背景が低い学校の生徒には有意な学級規模効果が確認されたとする研究結果も存在すると、少人数学級の効果を認める研究も紹介されていると思いますが、そうでしょうか。これは確認です。

○青木政府参考人 お答えいたします。  地方六団体などから少人数学級を求める御提言をいただいているということは承知いたしております。また、御指摘の、きょう資料でお配りいただいています「コロナ×こどもアンケート」の中間報告において、子供たちの不安、ストレスや、大人に話を聞いてほしいといった声が上がっているということにつきましては拝見をさせていただきました。学校の先生を含む周囲の我々大人が児童生徒の声にしっかり耳を傾けていくということは大変重要なことだというふうに思っております。  また、財政制度審議会の資料についてお尋ねがございましたが、資料の中で紹介しておりますとおり、最近の新しいデータを使った研究ほど、学級規模の縮小の効果はないか、又は、あっても小さいということを示しているという研究が多いというふうに指摘がございます。他方で、今御紹介ありましたけれども、社会経済的背景が低い学校の生徒には有意な学級規模効果が確認されたという研究結果が存在していることも承知しております。  いずれにいたしましても、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備や、ICTの活用など新しい時代の学びの環境の整備につきまして、関係者の間で引き続き丁寧に検討をしてまいりたいと考えております。

○畑野委員 財務省からも、地方議会の要望あるいは子供たちの状況なども受けとめてくださるというお話がございましたし、確認をさせていただいた資料、社会経済的背景が低い学校の生徒、格差にかかわる問題なんですけれども、これはコロナの後で本当に深刻な状況に私はなっていると思います。萩生田大臣がおっしゃったように、エビデンス、何をもってするか、それは学力だけではないでしょう、いろいろなファクターがあるでしょうということだと思います。  きょうの資料の三枚目のところに、かつて文部科学省が調査した「少人数指導と少人数学級の評価」という資料がありますけれども、それは、学習のみならず、生活や指導方法、その他、多岐にわたって、現場の声、まさに大臣がおっしゃった、現場の皆さんどうですかと、まさに、分散登校して少人数学級になったら本当によかったというのは、今までにない、全国が体験されたわけですよね。これは本当に大きなエビデンスじゃないでしょうか。こういうことで、私は、こういう資料も使わせていただきましたが、今の実態に合わせて進めていく必要があると思うんです。  この今の資料なんですけれども、こう言っているんですね。全国の小学校四百七十七校、中学校四百七十校へのアンケート調査結果として、学級編制人数を引き下げた方が効果があるについて、小学校では、「とてもそう思う」四三・四%、「そう思う」三八・四%、合計八一・八%なんですね。大臣の、言ったら、これが実感じゃないでしょうか。一方で、「少人数指導・ティームティーチングの方が効果的である」というのについて、「とてもそう思う」というのは一四・七%、「そう思う」というのは一五・九%、合計三〇・六%にすぎないんですね。  私は、これでもう、既にはっきりしていたというふうに思うんですが、今の新たな状況で、格差も広がる中で、一層少人数学級を進めていくことが大事だというふうに申し上げておきたいと思います。  そこで伺いますが、OECD諸国やそれ以外を含めても、四十人以上の学級編制というのは、日本、そしてOECD加盟国でいえばチリ、ここは初等中等教育、六歳から十八歳まで、上限四十五人、またOECD未加盟の中国、小学校、四十人から四十五人、初級中学、四十五人から五十人など、ごくわずかだと思います。そういう御認識はございますでしょうか。

○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  日本の公立小中学校の学級規模は、OECD諸国においても最も大きい国の一つであり、御指摘のとおり、学級編制の標準が諸外国と比較し大きいと認識をしております。  このような点も踏まえながら、新たな感染症の発生など、今後どのような状況においても子供たちの学びを保障するとともに、ICTを活用した個別最適な学びを実現することが必要だと考えているところでございます。

○畑野委員 世界の状況については、そうした国々について、学級編制基準について資料をつけさせていただきました。  そして、後ろの方になるのですが、資料の五として、「コロナ禍における学校再開に当たっての身体的距離の確保と学級規模」という資料もつけさせていただきました。  そこでは、「学級規模が小さい国では、ソーシャルディスタンスについての新しい制限に対応することが容易である。」、「チリ、コロンビア、日本のように前期中等教育段階における学級規模が一クラスあたり三十人を超える国では、机を安全な間隔に配置するため学生を小さいグループに改めて構成するといった困難に直面するであろう。」というふうに述べております。  これまで長きにわたって少人数学級を進めてこなかったことが、今のコロナ危機、また、これからの新しい社会のあり方のもとで、世界から見ても困難に直面するだろうというふうに言われてしまう状況です。何としても少人数学級を実現しなければならないと思います。  実はきょう、私の部屋に少人数学級化を求める教育研究者有志の方々がパンフレットを届けてくださいまして、皆さんの、各国会議員の方々にもお届けになっているんじゃないかと思いますけれども、少人数学級を求める署名、早急に三十人そして二十人程度の少人数学級を求める署名が十八万人まで集まっているというふうに思います。この大変な中で、党派の違いを超えて、ぜひ子供たちに少人数学級を手渡ししたいと思います。  大臣に最後に申し上げたいんですが、ぜひ来年度概算要求に予算をしっかり盛り込んで、義務標準法の改正で、少人数学級をぜひ来年度から一刻も早く実施するように求めたいのですが、いかがでしょうか。

○萩生田国務大臣 きょう、主計局も来ていますので、余り踏み込んだお話をするのもあれなんですけれども、少なくとも事項要求ではしっかりお願いする準備はしています。  それで、先ほど申し上げた、適正規模が何人なのかとか、その後の運用の仕方はどうあるべきか、これは考えていかなきゃならないと思いますし、先ほど財務省の答弁を聞いていて私はちょっと安心したんですけれども、そうはいうものの、ここは文科委員会ですから、完全アウエーで来ていますから、そういう意味での遠慮もきっとあったと思います。うちの職員が隣に呼ばれると、もっと厳しいことを言われるんだと思います。  ただ、その中で、例えば、財務省から私に対しても指摘が来ています。例えば、加配のあり方。もちろん加配は加配で重要だと思っていますけれども、自治体によっては正しく使っていない実態もあるんじゃないかと言われれば、襟を正さなきゃならない部分もありますので、こういった調整をきちんとしながら、すなわち、関係各省と丁寧に話合いをしながらとはそのことでございまして、その上で、先ほどから申し上げているように、不退転の決意で臨みたいと思います。  畑野先生とこんなに息の合ったやりとりができたのは大臣になって初めてでございまして、勇気をもらったところでございます。

○畑野委員 ありがとうございます。  ここが委員会であることを忘れてしまうような、熱い、先ほどから、午前中から、朝からいい議論が進めていけるのではないかと思います。  ということで、財務省の方、アウエーのところに来ていただきましたが、ぜひ戻ってからも、この熱い思いを持ち帰っていただいて、ともに頑張ってまいりたいと思います。  退席されて結構ですので、ありがとうございました。

○左藤委員長 では、青木次長、御退席、よろしくお願いします。  畑野君枝君。

○畑野委員 それでは、ここから少しトーンを変えまして、強く求めてまいりたいことが学生の問題です。学生の実態、本当に深刻な状況、危機的な状況です。  困窮する学生に対して、ことしの春以降、全国百カ所以上で、学生や自治体やNPOや、この間、日本民主青年同盟の皆さんも国会に来られたんですけれども、食料支援、食料や日用品を準備して無料で配布するという取組が広がっております。延べ一万人以上の学生が支援を受けているということなんですが、リピーターも多いというんですね。バイト先が潰れたために収入が減ってしまった、バイトができなくなって親からの仕送りもないので二、三日食事抜きも普通になっているという声がたくさん寄せられています。  きょうの資料に、その後つけたんですけれども、全国大学生活協同組合連合会のアンケートがあるんです。九千八十六人の学生が回答しているんですが、アルバイトをやりたいがまだ一度もできていない学生が二千四百二十三人で、最も多いんです。二六・七%。収入が大きく減っている、少し減っている、新たなバイト先を探しているが見つからない、これらを合わせると八二・九%、八割方が収入が減っているという、これは七月の状況です。聞きましたら、八、九月、夏休みで稼ごうと思ったらそのバイトがなかった、それで秋を迎えているという実態なんですね。  ですから、十月十二日に中京大学の大内裕和教授と労働者福祉中央協議会が合同で行った記者会見で、大内教授から、オンライン授業が多かった前期は経済的に厳しい状況にある学生も実家を頼ることができたが、対面授業が始まった後期は下宿先に出てくる学生も多くなる、学費の支払いが前期より厳しくなる危険性が高いと、警鐘を鳴らされていました。本当にそうだと思うんです。  高学費のもとで、頼みの綱のアルバイトを奪われた学生の生活困窮は深刻な状況ですので、私はぜひ、全学生を対象とする授業料半額免除、含めて学費値下げに踏み込んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○伯井政府参考人 まず、基本認識として、経済的に困難な学生が修学、進学を諦めることがないよう、しっかり修学支援策を講じていくというのは我々重要であるということで、“学びの支援”緊急パッケージを示し、学びの継続のための学生支援緊急給付金、さらには各大学が授業料減免措置を行うための補正予算、あるいは修学支援新制度における家計急変への対応などなど取り組んでいるところでございます。  いずれにせよ、こうした学生の状況、中退の状況につきましては、現時点では昨年度と比較して特段大きな変化はないということでございますが、これは予断を許さないので再調査を実施しているというところでございますが、引き続き、さまざまな状況をしっかり把握しながら、学びの継続の支援というのを着実に行ってまいりたいと考えております。

○畑野委員 実態をよくつかんで、今のアンケート結果なども示されているんですが、相当深刻です。  学生支援緊急給付金なんですが、対象が四十三万人と、そもそも学生の一部に支援が限定されていました。しかも、大臣は目安ですよとあのときはおっしゃっていただいたんだけれども、実際には要件を見て諦めた学生がたくさんいるというんです。  日本私大教連が私立大学の法人理事長や学長に対して行ったアンケートで、弾力的に運用した大学は六二・九%、三四・三%は要件をそのまま適用していると回答しているんです。対応にばらつきがあったために、同じような経済状況にある学生が、通う大学によって、対象になった学生とそうでなかった学生も出てきているという不公平があります。  それで、私、この秋になっても引き続き困難なわけですから、ところが、来年度概算要求に、この学生支援緊急給付金の要求が入っていないんじゃないかと思うんです。これは入れていただきたい。そして、予備費も活用して、今、学生支援緊急給付金を継続して、支援要件も緩和するなど、必要とする全ての学生に行き渡るようにしていくことが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○伯井政府参考人 来年度予算におきましては、高等教育の修学支援新制度あるいは奨学金事業など万全を期してまいりたいと考えておりますが、この学びの継続のための学生支援給付金につきましては、これまでは学校が推薦すべきと判断した全ての学生に、約四十二万人ですけれども、支給を行ってきました。  一方で、先ほど言いましたように、大学の中退者数についても、現時点では変化が見られないですけれども更にこれがどうなるかということで、予断を許さないと思っておりますので、そうした、追加で実施している中退者に係る調査、あるいは新型コロナウイルス感染症の状況、学生の修学の状況など、しっかり把握して対応を検討していきたい、注視していきたいというふうに考えております。

○畑野委員 先ほどの全国大学生活協同組合連合会のアンケートでも、国の学生支援緊急給付金を受給できたのは千四百二十六人、九千八十六人のうち一五・七%、いろいろな制度で何も受給していない学生は五千三百八十人、五九・二%に上るんです。半分の学生が何の支援もないというのが出ている。ぜひ早急に対応していただきたいと思います。  さて、後期の授業実施に当たって、対面授業の割合が少ないところは大学名を公表するなどと、対面授業を再開、進めようとされていますけれども、しかし、大学には対面授業を復活させたくてもなかなか踏み切れない事情もあります。  特に、私立大学の支援について、来年度概算要求で、空調・換気設備など感染症対策のための施設整備に百八十四億円が要求されていますが、消毒、検温、三密を防ぐためのパーティション、あるいはPCR検査も含めてですが、感染予防対策に対する国の支援は一円もありません。私学助成で賄えということです。先ほどの私大教連のアンケートに、こうした国のやり方に、回答した大学の七五・四%が不当であるというふうにおっしゃっています。  今、全国各地で新型コロナウイルス感染者、陽性者はふえています。きのう、新規陽性者数は千六百六十一人で最多になりましたね。一日千人を超える日がたびたびある。春の一波、七、八月の第二波に続く第三波というような状況が今起きています。検査、保護、追跡の抜本的な強化が必要だと私たち申し上げていますが、そういう点でいえば、医療機関、介護福祉施設、幼稚園、学校、保育園、学童クラブなどに定期的な社会検査をする必要があるんですね。  大学ですが、本当に、先ほど言った支援を必要だと、私学助成とは別の予算で私立大学への支援を行うべきではないかと思いますが、いかがですか。

○白間政府参考人 お答え申し上げます。  今先生御指摘の、大学における授業の実施につきまして、大学によっては学内の予算また施設面の工夫をみずから行うことにより、感染の防止策等を講じながら対面による授業を実施している事例もあると承知しております。  文部科学省としましては、まずはこうした事例の収集、情報提供などを通じまして、学生が納得できる質の高い教育が行われるよう取組を促してまいりたいと考えております。  また、資金繰りについてですけれども、各大学の資金繰りに困難を来すことがないように、毎年、私立大学経常費補助金については二回に分けて配分をしておりますが、今年度は、資金繰りを懸念いたしまして、もう既に約七百五十億円を前倒し、支払いを行っているところでございます。  大学において授業を実施するために必要となる施設又は経費については、一義的には各大学の責任において確保、措置するべきものと考えているところでございます。

○畑野委員 コロナですから別枠で早急に対策をとっていただきたい、国公立大学もそうです。強く求めておきます。  時間が参りましたので、文化芸術について伺います。  二次補正予算に文化芸術活動の継続支援事業が盛り込まれました。日本俳優連合、セーブ・アワー・スペース、全日本商工団体連合会は、十月七日に行った要請で、申請期日の二〇二一年二月末までの延長、補助上限額の引上げ、自己負担金の軽減、廃止などを求めました。  これらの要望をどのように対応されていらっしゃいますでしょうか。

○矢野政府参考人 お答え申し上げます。  文化芸術活動の継続支援事業につきましては、当初想定していたよりも新型コロナウイルスの影響が長引いたことを踏まえ、事業の実施期間を令和三年二月二十八日まで延長を行いつつ、新規募集を十一月二十五日から十二月十一日まで実施することとしております。  また、新規募集に当たっては、既に申請している又は採択された方でも、九月三十日までの申請における補助額が百五十万円以下である場合には、百五十万円との差額分を上限に、十一月一日以降の計画として申請するということを可能としました。  また、共同申請については、団体のサポートを受けながら個人のみで申請を行うことを可能とするとともに、申請書類の簡素化を図ることとしております。  引き続き、この事業を多くの方に活用いただけるように、積極的な周知に努めてまいりたいと考えております。

○畑野委員 時間が参りましたので、スポーツも含めて大臣に伺おうと思っていたところがあるんです、それはまた次の機会に質問をしたいと思いますので、それまでにぜひ前進をさせていただいて御答弁いただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。