【議事録】

○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法一部改正案について伺います。  昨日の参考人質疑で、神奈川過労死等を考える家族の会の工藤祥子代表と日本労働弁護団の嶋崎量弁護士の双方から、一年単位の変形労働時間制を公立学校の教員に適用できるようにすることに厳しい批判が寄せられました。  そこで、まず最初に厚生労働省に伺います。  そもそも一年単位の変形労働時間制は労使協定が必須とされていること、また、恒常的な時間外労働がないことなどを前提とした制度とされております。その理由は何でしょうか。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。  一年単位の変形労働時間制は、休日の増加による労働者のゆとりの創造、時間外・休日労働の減少による総労働時間の短縮を実現することを目的としてございます。一カ月を超える一年以内の期間を平均して一週間当たりの労働時間が四十時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じて労働時間を配分することを認める制度でございます。  本制度は、設定できる変形期間の最長期間が一年と長く、弾力化の度合いが高いということがございますので、その観点から、制度導入に際しましては、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合におきましてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合におきましては労働者の過半数を代表する者との書面での協定を必要としているものでございます。  また、本制度は、あらかじめ業務の繁閑を見込んで、それに合わせて労働時間を配分するものであることから、突発的なものを除きまして、恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度設計となってございます。

○畑野委員 きょうは、資料の一について伺いたいと思います。  今おっしゃっていただいたように、この一年間というのは、非常に弾力化される、つまり、いろいろな変動が起こる。それは労働者への不利益になるということで、労使協定が必須だというふうにされているというふうに理解をいたします。  また、そういうふうに長きにわたって変更するわけですから、恒常的な労働時間がない、よほど突発的なこと以外は。前の日になって突然とかその日になって突然とか、そういうことはない制度だという理解でよろしいんでしょうか。確認です。

○吉永政府参考人 御指摘のように、今ほど申し上げましたとおり、基本的には、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度となってございます。  ただ、一方で、一年単位の変形労働時間制を採用した場合におきましても、法律上の時間外労働となる時間というものは認められているものでございまして、これにつきましては少々複雑でございますが、これから申し上げる三点のいずれかに該当するものというものでございます。  一つ目は、一日単位で管理する場合でございまして、労使協定で所定労働時間が八時間を超える時間と設定されている日につきましてはその所定労働時間を超えた時間、また、所定労働時間が八時間以内とされている日につきましては八時間を超えた時間というものが一つでございます。  二つ目が、労使協定で所定労働時間が四十時間を超える時間とされている週につきましてはその所定労働時間を超えた時間、また、所定労働時間が四十時間以内とされている期間につきましては四十時間を超えた時間とされております。ただ、先ほどの、日単位で所定労働時間となるものにつきましてはこれを除くということとされてございます。  また、全体として、例えば一年という対象期間におきます法定労働時間の総枠を超えて労働した時間というものはございます。これにつきましては、先ほどの日単位あるいは週単位のものを超えた時間という形になってございます。  その上ででございますけれども、一年単位の変形労働時間制を採用している事業所におきましても、法律上の時間外労働を行わせる場合におきましては、労働基準法第三十六条に基づきます時間外労働、休日労働協定の締結、また労働基準監督署への協定書の届出ということと、あと労働基準法第三十七条に基づきます割増し賃金の支払いというものが必要となるものでございます。

○畑野委員 ここは文部科学委員会なものですから、一つ一つ丁寧に伺わせていただいておりますので、よろしくお願いをいたします。  それで、一番最初にお答えしたことにかかわって、今、割増し賃金の話も少ししていただいたんですが、そこに行く前に、この資料なんです。  つまり、一年単位の変形労働時間制というのは、いろいろと政府の方はおっしゃるんですが、実際このグラフを見てみますと、例えば十月、一カ月当たりの法定労働時間は百七十七時間なんだけれども、二百十九時間まで働くと、この差というのは時間外労働が発生する、こういう理解でよろしいですね。厚生労働省、いかがですか。確認です。確認だけです。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、時間外労働の時間の算定はやや複雑ではございますが、一日単位、あるいは週単位、あるいは総枠というものの枠を超えたものにつきましては、時間外労働に該当するというものでございます。

○畑野委員 そして、その場合は、おっしゃっていただいたように、普通は、法定労働時間を超えた分については時間外労働が発生するし、そしてさらに割増し賃金も発生する、こういう理解でよろしいですか。確認です。

○吉永政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

○畑野委員 それでは、資料の右手の方です。  一年単位の変形労働時間制、十月が二百十九時間働くというグラフです。この場合は、通常の労働時間制度の場合のような割増し賃金というのも払われないし、普通の労働時間というふうにカウントされるということですね。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。  この表におきましては、御指摘のとおりでございます。

○畑野委員 つまり、結局、この一年単位の変形労働時間制というのは、割増し賃金を使用者は払わなくても済む、こういう制度なんです。  ですから、現場でどうなっているかというと、ブラックのような状態がもう本当に広がっているというのが実態だというふうに言わなくてはならないし、きのうの嶋崎参考人からも、そのことが厳しく、私は指摘されていたというふうに思います。  では、加えて、一年単位の変形労働時間制でも割増し賃金の支払い義務が生じるケースはあると思うのですが、それは、どのような場合でしょうか。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど御説明いたしましたとおり、一日単位八時間、あるいは週単位の四十時間、あるいは全体としての対象期間における法定労働時間が総枠を超えた場合という形で若干の計算式がございますけれども、これを超えた時間につきましては時間外労働に該当しますので、それにつきましては時間外労働の割増し賃金を払う必要があるというものでございます。

○畑野委員 そうしますと、この資料の右側の一年単位の変形労働時間制、例えば十一月は、一カ月当たりの法定労働時間よりも少ない百二十九時間というふうになっているんですが、これを超えてしまった場合の残業代の支払い、あるいは割増し賃金の支払いについてはどうなるのでしょうか。

○吉永政府参考人 先ほど御説明いたしましたとおり、この期間につきましては、一日単位八時間を超えるということはないものと思われますけれども、トータルで週四十時間を超えるということになれば、それにつきましては割増し賃金を支払う必要が出てくるということでございます。

○畑野委員 つまり、問題のある制度だと私は思います。しかし、それでもなおかつ、短くなったときに延びたら残業代が出る、あるいは、長くされているときでも、これは当然残業代が出る、割増し賃金が出る、こういう制度が一応民間の中では常識と、問題点はあっても、そういう制度で担保されているし、それは労働者の不利益になるわけですから、労使協定でしっかりと結ばれることが必須になっているということだと思うのです。  それでは、最初に申し上げたように、いろいろな問題がある一年単位の変形労働時間制での脱法行為の事例はつかんでいらっしゃるでしょうか。また、あわせて伺いますのは、これを導入している事業所数、そして直近の指導監督件数はどうなっていますか。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。  ちょっとお答えの順番が逆になってしまいますけれども、一年単位の変形労働時間制を採用している事業所数という形では把握をしてはおりませんけれども、一年単位の変形労働時間制を行う場合につきましては、これは三カ月以上という形になりますけれども、届出書をいただくという形になってございます。この届出書の提出は、三十八万件を御提出いただいているということでございます。  全体の事業所数ですけれども、経済センサスの基礎調査により算出した数字は、四百十二万の事業所という数になってございます。  また、指導監督につきましては、全体としての法定労働時間違反の件数ということにつきましては、大体年間で二万八千件という形でございますが、一年単位の変形労働時間制に係るものというものを区別して集計してございませんので、お答えすることができないというものでございます。  あと、具体的な例といたしましては、個別の事例になりますけれども、例えば、一年単位の変形労働時間制に係る指導に当たって、例えば、一年単位の変形労働時間制を導入するに当たりまして、大体カレンダーをつけていただく、この日はこの時間という形のカレンダーがございますけれども、このカレンダーで定める所定労働時間を超えて時間外労働を行わせていたというような事例がございます。  また、実際には、変形労働時間制をとる場合に、時間外の三六協定を結んでいない事業所も多いんですけれども、そういう事業所の中で時間外が行われているような事例も散見されるという状況でございます。

○畑野委員 つまり、一年単位の変形労働時間制がきっちりと行われていない、つかんでいない部分もあるということですよね。これはきちっとつかんでいただきたいと思うんですが、いかがですか。

○吉永政府参考人 一年単位の変形労働時間制につきましては、制度導入から二十数年を経ております。必要なものについては、申告等の監督を行っているところでございますが、引き続き適切な監督に努めてまいりたいと思います。

○畑野委員 委員長、資料提出を求めたいと思いますので、後で諮っていただけますか。今の件についてです。

○橘委員長 後刻、理事会で協議します。

○畑野委員 例えば、一つだけ例を挙げておきますけれども、ヤマト運輸で、この間、是正も入って、数百億とも言えるような未払い残業代の支払いがあった件で、皆さんも御存じだと思うんですね。  例えば、ここではどういうことがあるかということで、これは五月二十一日に提訴された件です。時間外労働をしたのに、残業代が一部しか支払われていないという訴えです。  ドライバーの方ですけれども、運転前の荷物の仕分作業で午前六時台に出勤しても、タイムカードは朝八時に押すように上司に指示されたほか、忙しくて休憩時間がないことが常態化していた。さらに、同社は、他の勤務時間を短縮することで、一日八時間を超えても残業代を支払わずに働かせることができる変形労働時間制を採用しているが、ほかの日の勤務時間を短縮できていないと言っている。多い月では百二十時間以上の残業があったということで、未払い残業代約二百六十万円に加え、労働基準法で制裁金に当たる付加金約百万円の支払いも求めている。こういう事例ですよね。  また、やはり問題になっているのは、この会社でいえば、シフトが組まれている、それ自身が、上限を超えてシフトが組まれているという例なんですが、途中でこのシフトが変わった、そういう運用もされていたということで、こういうことだと、変形労働時間制をそもそも導入することはできない、無効になる、そして残業代もしっかりと払われる、こういう事例があるというふうに伺っているんですが、承知されていらっしゃいますか。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。  個別の件につきましては答弁を差し控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、一年間の変形労働時間制につきましても時間管理をきちっとしていただく、必要なときには必要な所定外の残業の手当、割増し手当を払っていただくということが原則でございますので、いずれにいたしましても、きちんとした時間管理を行っていただくように、必要な指導は行ってまいりたいと考えてございます。

○畑野委員 変形労働時間制でもいろいろなケースがあると思いますけれども、大手でこういう状況が出ているんです。ですから、もう中小企業でいったらどうなるかということです。  デパートで、年末商戦の時期は忙しいということで、一定期間だけ残業代を支払わずに残業することができるようになる、働く側は余りメリットがない、そういう声も出ているわけです。まさにサービス残業にもつながりかねない、未払い残業代の問題はもちろんですけれども、こういうことが言われているんですね。もう残業代は出ないよと言われている会社もあったり、サービス残業が長く続いているという事例も伺っております。  さて、こういう状況の中で、厚生労働省にもう一つ伺いたいんですが、きのうの参考人の発言でもありましたけれども、長時間過密労働と過労死の関係について伺いたいと思います。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。  長時間労働と過労死の関係ということでございますけれども、現在、脳疾患、心臓疾患につきまして、労災の認定基準というものが定められてございます。これは、医学的専門家により構成された検討会で取りまとめていただいたものでございますけれども、業務による明らかな過重負荷を受けたことで発症した脳・心臓疾患等を労災認定の対象疾患としているものでございます。  その認定要件といたしましては、発症直前から前日までの間に異常な出来事に遭遇した場合でありますとか、発症前一週間程度の時期に特に過重な業務に従事した場合というのがございます。  それに加えまして、発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したことというものが挙げられてございまして、具体的には、発症前一カ月間におおむね百時間を超える時間外労働があった場合、又は発症前の二カ月ないし六カ月間にわたりまして一カ月当たりおおむね八十時間を超える時間外労働があった場合などを定めているものでございます。

○畑野委員 きょう、資料の二つ目につけさせていただきました。厚生労働省、「STOP!過労死」というリーフレットです。「毎月十一月は「過労死等防止啓発月間」です。」ということで、今、十一月十三日になっております。  二枚目のところで、「過労死等とは?」ということで、過労死等の定義がされております。「業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡」「業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡」「死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害」。  「長時間労働と過労死等」ということで、その次に書かれております。脳・心臓疾患に係る労災認定基準においては、週四十時間を超える時間外・休日労働がおおむね月四十五時間を超えて長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まるというふうに書かれているわけですね。  そういうことでよろしいですか。確認です。

○吉永政府参考人 私どもの検討会の報告書でもそのように記載されているところでございます。

○畑野委員 つまり、八十時間とか百時間とか言われるんですけれども、もう四十五時間を超えたらそういう危険性が高まっていくという、ここは私は大事な指摘だというふうに言いたいと思うんです。  さて、今、厚生労働省からいろいろとお話を伺いました。それでは、文部科学省に伺いたいと思うんです。  これだけ大変な一年単位の変形労働時間制、どうして学校現場に、公立学校に導入できる前提があるのかということを萩生田光一文部科学大臣に伺いたいと思います。  この間、文科省が調査をしてきたように、一日十一時間を超える、平均です、一年間の、超える超過勤務で、小学校で約三割、中学校で約六割が過労死ライン。この過労死ラインというのは、八十時間、複数月、あるいは百時間ということになると思う。八十時間以上ということで、私たちも聞いた。過労死ラインを超えるほどの状況、恒常的に超過勤務があるんですよ。持ち帰り仕事を含めれば、小学校で約六割、中学校では約七割を超して八割に近い状況が、過労死ラインを超える超過勤務があるんですよ。  ですから、この状況で、厚労省が言ったような、この問題のある一年単位変形労働時間制、入れる前提がないじゃありませんか。大臣、いかがですか。

○萩生田国務大臣 まず、御指摘のとおり、平成六年に一年単位の変形労働時間制が導入された際の労働省の通知においては、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度であることとされています。これは、一年単位の変形労働時間制は、あらかじめ見込んだ業務の繁閑に合わせて労働時間を配分するものであり、あらかじめ予想される繁忙による対応等は、本制度による労働時間の配分で対応することを前提とする制度の趣旨を述べたものと承知しています。その上で、この一年単位の変形労働時間制を導入する場合でも、労働基準法の規定により時間外労働があり得るものとされています。  公立学校においては、まずは業務の削減を徹底した上で、学校行事等に伴いあらかじめ予想される時間外勤務について、一年単位の変形労働時間制の活用により勤務時間を延長し、それを一時間単位で積み上げて、長期休業期間中に休日のまとめどりを行うこととしており、あらかじめ予想される恒常的な時間外労働はないことを前提とする制度の趣旨に合致しております。  他方、休日のまとめどりを導入しても時間外勤務が生じることはあり得るものですが、今回新たに策定する指針における在校等時間の上限を踏まえ、業務の削減を徹底的に進めてまいりたいと思っております。

○畑野委員 前提がやれていないのに、こういう法案を出すこと自身がおかしい、間違っていると私は申し上げたいと思うんです。  ガイドラインの話も、上限、特例は一カ月百時間未満、こう言っているんですよ。連続する複数月の一カ月当たりの平均が八十時間を超えない。こんな特例まで含めて、何の歯どめがあるんですか。  先ほど厚労省からもお答えがありましたけれども、月四十五時間は、業務と脳・心臓疾患との関連性が徐々に高まるとされるラインなんです。結局、そこまで超過勤務があるということを前提にしているじゃありませんか、四十五時間というんだったら。  一年単位の変形労働時間制は、恒常的な残業はない、残業があれば割増し賃金の支払い義務も生じる。しかし、教員というのは恒常的な超過勤務があり、しかも割増し賃金を払う必要がないんですよ。前提はないというふうに申し上げなくてはなりません。  しかも、更に問題なのは、労基法で一年単位の変形労働時間制導入に必須とされる労使協定がないまま、条例で導入を可能とすることです。  きのう、嶋崎参考人は、一年単位の変形労働時間制は、労働時間の弾力化に伴う、しかもスパンが長い、一年という長い期間なので、現場の意見を聞かなければ混乱が生じる、望まない時期に超勤を強いられるということで、労使協定が必須になっていると指摘をされています。それを条例にかえて導入することについては、条例を決めることと労使協定と、単純に意思決定権者も違いますので、合意抜きというのは、労基法で定められた要件、最低基準、憲法に由来する労働基準法で定められた最低基準を条例で許すことで、ここに風穴をあけてしまうものだと嶋崎参考人は指摘をされています。  伺いますけれども、労使協定抜きに条例で制度を導入することと憲法、労基法との整合性についてどうお考えですか。

○萩生田国務大臣 憲法第二十七条第二項では、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」とされています。  ここで言う「法律」の一般法が労働基準法であり、地方公務員についての特例法としての地方公務員法が、さらに教育職員についての特例法としての給特法が存在しますが、憲法の規定は必ずしも全てを法律で定めることまでも求めているものではなく、詳細を政省令や条例に委ねる場合もございます。  地方公務員の勤務条件については、地方公務員法第二十四条第五項で、「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」とされており、住民自治の原則に基づき、住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によって決定することとされております。  公立学校の教師も地方公務員であり、休日のまとめどりの推進のための一年単位の変形労働時間制は勤務条件に関する制度であることから、勤務条件条例主義にのっとり、労使協定ではなく条例により導入することが必要であると考えており、今回の法改正によって、労働基準法を直接適用するのではなく、労働基準法において労使協定で定めるとされている箇所について、条例で定めることとする読みかえ規定を整備しております。  なお、地方公務員法においては、職員の勤務条件に関する事項は職員団体との交渉事項であり、法令等に抵触しない限りにおいて、書面による協定を結ぶことができる旨が規定されております。  本制度の導入についても、この勤務条件に該当することから、導入に当たっては、各地方公共団体において、職員団体との交渉を踏まえつつ検討されるものと考えております。

○畑野委員 労働協約と労使協定というのは全く性格が異なります。労働基準法の原則から逸脱する労働条件は、本来であれば違法行為となるものを、一定の条件を満たして、労使の合意を条件として使用者を免罰するのが労使協定です。  厚労省に確認したいんですけれども、労基法の最低基準を上回る労働条件を労使で決める労働協約で、この労使協定というのは代替できるものではないと思うんですが、よろしいでしょうか。  ちょっと、最初に言っておきます。  しかも、地方公務員は労働基本権が制約されているために、団体協約の締結権を奪われています。書面による協定が可能といっても、それは法的拘束力がないんです。厚労省、どうですか。

○吉永政府参考人 変形労働時間制におきます労使協定は、過半数を代表する労働組合がある場合につきましては過半数労働組合と、ない場合につきましては過半数を代表する労働者の方と協定を結んでいただくということで、御指摘のとおり、それを超えた場合につきましては免罰効を与えるというものでございます。  さらに、その協定書につきましては、各労働基準監督署に届け出いただくという形になるものでございます。  労使協定の内容と直ちに一致するものではございませんけれども、いずれにしても、労使で話し合って決めていただくという性格のものであろうと思ってございます。

○畑野委員 ですから、憲法に基づく労基法の最低基準さえ守られない、こういう労使協定抜きの制度導入はやめるべきだというふうに申し上げておきます。  時間が来てしまいました。  実は、ここで半分しか終わっていないんです。でも、やはり、一年単位の変形労働時間制を、そもそもどういう制度なのか、これをよく文部科学委員会でつかんだ上で進まないと物事はいい方向に進まないということで、私は、更にたくさんの時間をいただいて次回も質問できるように、委員長にもお願いを申し上げまして、きょうの質問を終わります。