【動画】

【議事録】

○畑野委員 おはようございます。日本共産党の畑野君枝です。  著作権法改正案では、違法にアップロードされた録音、録画のダウンロードを違法化、刑罰化する規定と、それ以外の著作物全般を対象とする規定とに区別されています。  改正案では、録音、録画のダウンロード違法化、刑事罰化に新たにつけ加えられた内容があると思いますが、それは何でしょうか。どのような趣旨から明文化されたのですか。

○今里政府参考人 本法案におきましては、音楽、映像のダウンロードに関しましては、著作権法第三十条第二項に、前項第三号の規定は、特定侵害録音録画であることを重大な過失により知らないで行う場合を含むものと解釈してはならないとの規定を追加しております。これにより、重大な過失、すなわち著しい不注意があったとしても、侵害コンテンツであることを知らずに録音、録画を行った場合は違法とならないということを明確化してございます。  また、刑事罰に関しましても、第百十九条第四項に同様の規定を追加してございます。  これは、今回、侵害コンテンツのダウンロード違法化の対象を全ての著作物に拡大するに当たり、従来から対象だった音楽、映像分野についても、国民の正当な情報収集等の萎縮防止に万全を期す観点から、知りながらという文言の解釈を明らかにする規定を新たに設けることとしたものでございます。

○畑野委員 明文化されたということを確認いたしました。  萩生田光一大臣にも伺いたいと思います。  本法案について、一昨日の参考人質疑では、著作権の保護と利用のバランスを考えたときのぎりぎりの妥結点との発言もございました。権利者側、利用者側双方から見れば決して百点満点ではなく、双方の立場から要望や懸念が残されているのも事実だと思います。  昨年秋のパブリックコメントには、四千四百三十七件の、個人と五十一件の団体から意見が寄せられ、特に個人からの意見では、文化庁当初案に寄せられた千十三件のうち五百七十八件、五七%が、要件にかかわらず侵害コンテンツのダウンロード違法化自体を行うべきではないという意見でした。  そこで確認ですけれども、これまで以上に、国民の法案への理解を広げるための啓発や著作権教育が必要だと考えます。録音、録画のダウンロード違法化の際にもこうしたことが附則に盛り込まれましたが、これまでどのような取組をしてきたのか。また、今回の法改正を踏まえ、今後どのような取組を進めていくお考えでしょうか。

○萩生田国務大臣 御指摘のとおり、平成二十四年の著作権法改正による音楽、映像の違法ダウンロードの刑事罰化の際にも、附則において、国民に対する啓発等、関係事業者の措置について規定がされました。  これに基づきまして、文科省としては、改正内容をわかりやすく解説したQアンドAの作成、公表や、スマホなどの利用に関する小中学生向けリーフレットへの掲載、週刊少年漫画雑誌への広告の掲載、政府広報によるテレビやラジオ番組の放送、教職員を対象とした講習会を始めとする各種会議等での周知など、さまざまな普及啓発活動を展開してまいりました。  また、関係事業者においても、映画館で有名なノーモア映画泥棒のCMを改定して、違法ダウンロードの刑事罰化に関する注意喚起メッセージを追加するとともに、STOP!違法ダウンロード広報委員会を設立し、キャンペーンサイトの作成やユーチューブの動画共有サイトへの広告掲載、啓発用グッズやポスターの作成、配布など、さまざまな措置が講じられてきたものと承知しています。  本法の附則にも、国民に対する啓発等、関係事業者の措置について規定をされているところ、侵害コンテンツのダウンロード違法化については幅広い国民の行動に影響するものであるため、録音、録画の際の取組を参考にしながら、充実した普及啓発、教育を進めていく必要があると考えております。  具体的な手法については今後検討していきますが、法整備の内容をわかりやすく整理したガイドラインやQアンドAなどを作成した上で、関係省庁や関係団体とも連携しながら、漫画雑誌等への掲載や、CM、SNSの活用など、若者、子供たちにも届きやすい手段の活用を含め、効果的な対応を行ってまいりたいと考えております。

○畑野委員 もう一つ質問です。  海賊版対策の本筋はアップロード対策の抜本強化にあると思います。法案では、附則第七条でも、検討や、あるいは必要な措置を講ずるものとしております。参考人質疑でも、海外のサーバーを使った海賊版サイトのアップローダーを見つけることの困難さとともに、プロファイリングやオンラインプロファイリング等の対策を講じる必要があるが莫大な費用がかかるとの指摘がありました。  大臣に伺いますが、政府として、今後、アップロード対策としてどのような取組を行っていくのか。アップロード対策に取り組む関係事業者の取組を財政的にもこれまで以上に支援する必要があると考えますが、いかがですか。

○萩生田国務大臣 本法案に盛り込んだ侵害コンテンツのダウンロード違法化も海賊版対策としても重要なものですが、御指摘のように、言うなら本丸であります違法アップロードへの対策を強化することは極めて重要だと思います。  違法アップロード対策については、本法案の附則において、より一層充実していくことについて規定しており、政府全体としてさまざまな取組を進めていく必要があると認識しております。  海賊版サイトの収入源を断つための広告出稿の抑制や、情報検索サービスにおいて海賊版サイトが表示されないようにする検索サイト対策、国際連携、国際執行の強化、民間組織との共同など、インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー及び工程表に掲げられた施策を中心に、関係省庁と連携しながら実効的な対策を推進してまいりたいと思いますし、法の実行のために必要な予算も今後しっかり確保していく必要があると認識しております。

○畑野委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。