少人数学級の拡大を

衆院委 畑野氏、教員増求める

 畑野君枝議員は10日の衆院文部科学委員会で、義務教育での少人数学級拡大に向けた教職員の拡充を求めました。

 畑野氏は、全国の小中学校の35人以下学級の割合を質問。文科省の藤原誠初等中等教育局長は、小学校34年生で87.4%、小学校3年生から中学校1年生まで8割以上、一番低い中2でも65.5%に上ることを明らかにしました。

 畑野氏は、公立小中学校の教職員数を拡充する法改正案に盛り込まれた「少人数指導等の推進のための基礎定数の新設」について少人数学級の拡大にも活用できるか確認。藤原局長は「ご指摘の通りだ」と認めました。

 松野博一文科相は少人数学級について、「よりきめ細やかな指導が可能となり、有効な施策だ」と述べました。

 畑野氏は、少人数学級が全国に広がる一方、必要な教員数を非常勤でまかなう自治体も多いとして、財政的に国が責任をもつ「基礎定数」の改善で35人以下学級を進めることが不可欠だと指摘しています。

 同法改正案で、日本語指導が必要な外国人児童・生徒らに対応する教員も拡充されます。畑野氏は、拡充を促進するために10年計画の前倒しを求めました。

2017313日付 しんぶん赤旗より転載)

 

【会議録】

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部改正案について伺います。
 教職員定数の改善について、まず、外国人児童生徒等の教育の充実ということで、日本語指導が必要な児童生徒への対応が強く求められております。
 きょうは、お手元に資料を配らせていただきましたけれども、こちらの資料ですが、自治体における加配教員の配置状況の例というのが文部科学省から出されております。一つは、日本語指導が必要な児童生徒が最も多い愛知県の例を見ても、日本語指導が必要な児童生徒の在籍が十人未満の自治体の場合、担当教員が措置されにくい状況、二、ある横浜市立小学校の例を見ると、日本語指導が必要な児童生徒数が百人を超える学校の場合も担当教員数は不足している状況ということが述べられております。
 その資料の下の二のところで、日本語指導が必要な児童生徒数と加配教員数(ある横浜市立小学校の事例)ということで、要日本語指導児童数百五十七人、加配教員五人、括弧、うち市費が三人、担当教員一人当たりの児童数三十一・四人、こういう状況が事例として紹介されております。
 また、資料の二枚目のところですけれども、都道府県別に見ると、日本語指導が必要な児童生徒は愛知県、神奈川県、東京都等に多いということで、全国の一覧が小学校など含めて載っているところでございます。
 そこで伺いたいんですが、今回の法律案による改正はどのようになるのか、また、なぜそのようにされるのか、理由について伺います。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 日本語指導が必要な児童生徒につきましては、この十年間で約一・六倍に増加しておりまして、日本語能力に応じた特別の指導を行うための教員を安定的に確保し、きめ細かに対応することが非常に重要な課題となってまいりました。
 こうした特別の指導を担当する教員につきましては、これまでは加配定数という形で毎年度の予算の範囲内で措置をしておりましたが、当該指導が必要な児童生徒のうち、約二割につきましては必要な指導を受けることができていないという実態がございました。
 こうした課題を踏まえまして、今回の法改正では、日本語能力に応じた特別の指導を受けている児童生徒十八人につき教員一人の定数を算定することとしたいということでございます。現状においては、大体、児童生徒二十一・五人に対して教員一人の定数しか配置できていないという現状でございましたので、それなりの改善を図るという狙いがございます。
 この基礎定数化によりまして、対象児童生徒数に応じて、今後は自動的に教員の数が算定されることになりますので、各地方自治体においては担当教員の安定的かつ計画的な採用、研修、配置を行うことができるというふうに考えております。
畑野委員 現場からは、一体今後どうなるんだろうか、本当に配置してもらえるんだろうかという声もあるわけです。
 それで、今後どのような計画で定数改善を進めていくのか、また、来年度についてはどれほどの定数改善になるんでしょうか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたとおり、今回の定数改善につきましては、対象児童生徒十八人に一人の基礎定数化を図るということでございまして、これは来年度から十年間、平成三十八年度まで段階的に進めていくということでございます。
 この基礎定数化に加えまして、特に、日本語指導が必要な児童生徒が散在している地域への対応につきましては、このような自動的な定数の算定のみでは必ずしも十分な数の教員が行き届かないという可能性がございますので、現在措置をしている加配定数のうち約一割程度につきましては、引き続き加配定数という形で措置し続けて、このような地域あるいは学校の実情に応じて配分するというふうに考えております。
 これらの措置によりまして、委員お尋ねの二十九年度予算案におきましては、対前年度四十七名の増ということを見込んでおります。
    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕
畑野委員 段階的に十年かけてということなんですが、もうこれでは間に合わないというふうに私は思います。
 それで、私、横浜市議会の出されております「市会ジャーナル」というのを拝見させていただきました。「グローバル化に対応した教育 日本語指導が必要な児童生徒への教育支援の側面から」ということで、各学校の校長先生の御努力なさっている内容なども詳しく書かれているわけなんです。
 それで、先ほど文部科学省の資料の中にも載っております、日本語指導が必要な児童が百五十七人いると書かれております横浜市立小学校のある事例なんですけれども、在籍の外国籍等の児童生徒の割合が二〇一三年度は三五%だった、それが今年度、二〇一六年度では五五%になった。つまり、半数以上が外国籍等の児童になったということなんですね。急速に人数がふえた学校だということです。
 私、実は、きのう伺いましてお話をお聞きしたんですけれども、転入して、そしてまた転出するという児童が一年の間に百人もいらっしゃるというんですね。ですから、一旦入って、ずっと一年間教育指導をしていくというのならまだしも、出たり入ったりがあるわけですから、新しい子供が来ればまた一から一つ一つ指導していく。だから、トータルの人数、大変だというのもあるんですけれども、一人一人の対応を丁寧にやるという点で本当に御努力をされているということなんです。日本語だけではなくて、日常生活やルールも一から教える、それから保護者の方とも関係をつくっていく。
 この資料の三枚目につけさせていただきましたけれども、先ほどございましたように、日本語指導が必要な児童生徒は十年間で一・六倍に増加した、そのうち約二割、約六千人が日本語指導を受けることができていないというその下に、日本語指導の特徴というのは単なる言語習得の指導ではないというふうに文部科学省も言っているわけですね。
 教員の職務内容、日本語指導に関する直接の指導ということがその下の方に書かれておりますけれども、児童生徒への教育活動という点では、個別の指導計画作成や評価、初期指導教室での指導、つまり日本の学校での就学経験のない児童生徒への対応、それから別室で個別に行われる指導、あるいは在籍学級で行われる集団学習への入り込み指導、子供の居場所を広げるための支援、そして生活指導、あるいは、校内の連携、家庭との連携、外部機関、地域との連携、もう本当にたくさんのことをやらなくてはならないという状況です。
 私が伺った小学校でも、教室が足りなくなって、パソコン教室とか放送室も改築をして子供たちが入る教室にしなくちゃいけない。それでも足りなくて、仮設校舎の設置も予定しているということで、そういう工事の現場なども拝見させていただきました。さらに、百五十七人というこの資料なんですが、それがさらに百五十九人になって、二〇一六年の九月には、百八十九人が日本語指導が必要な生徒なんだということなんですね。
 ですから、そういう点では、もう本当に子供の成長というのは待ったなしで、十年間待っていたら、今小学校一年生の子は高校生になっちゃうんですね。ですから、こういう現状に対して手だてをしっかりとやる必要があるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 日本語能力に課題がある児童生徒に対する学校における指導体制の強化につきましては、委員御指摘のとおり、喫緊の課題だと私どもとしても考えている次第でございます。
 今回の基礎定数化によりまして、仮に急激な定数増を行う、すなわち、十年間という計画ではなくて、より短期間での計画を立てたということであれば、急激な定数増を行わなければいけないということでございまして、その場合につきましては、必要な教員数について採用を確保することはなかなか難しくなるのではないか。
 さらには、日本語の指導については、それなりの専門性を学校の先生方に持っていただかなければならないということでございますので、そのような観点から計画的に研修を行っていかなければいけませんが、一気に採用したりすると、なかなか研修の体制も整わず、したがいまして、学校の先生方の質の担保もなかなか難しくなるのではないか、こういう懸念がございます。
 そういった観点から、今回の改善につきましては、平成三十八年度までの十年間で段階的な基礎定数化を図り、徐々に数をふやし、質の担保を図っていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
    〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕
畑野委員 在籍児童数が七百三十九人というのが、二〇一六年度のスタートの人数なんですね。そのうちの五五%が外国籍及び外国につながる児童の割合だということで、それは、さらに九月の段階ではふえているわけですね。
 ですから、自治体では、こういう非常勤などを含めて、本当に先生をつけて頑張っているんです。ですけれども、非常勤だけでは本当にやっていけないという点で、国はきちっと対応を迅速に進めるべきだということを私は重ねて申し上げたいと思うんです。
 それで、松野文部科学大臣、こういう実態があるということをどういうふうに認識されているのか、そして今後どういうふうに毎年毎年急速に進めていくおつもりがあるのか、その点について伺いたいと思います。
松野国務大臣 日本語指導が必要な児童生徒は、平成二十六年度で約三万四千人と、ここ十年間で一・六倍に増加をしており、今後も増加傾向と考えております。また、母語の多言語化や在籍学級の散在化や集中化など、児童生徒をめぐる状況は多様化をしていると承知をしております。
 文部科学省としては、日本語能力に課題のある児童生徒の散在、集中にかかわらず、全ての児童生徒に対して教育の機会均等と教育水準の維持向上に責任を持つ必要があり、教職員を含めた指導体制の整備は大きな課題であると考えております。
 このため、このたびの義務標準法改正による基礎定数化に加えて、帰国外国人児童生徒等に対する指導、支援体制の整備に取り組む自治体への支援、外国人児童生徒等教育を担う教員の養成、研修などに取り組んでいきたいと考えております。
畑野委員 両方やることが大事だと思うんですね。つまり、先ほど言ったように、配置されていないところの自治体への支援、そして本当に過大になっている大変な自治体、それぞれに行き渡るように私はしっかりとペースを上げてやっていただきたいというふうに申し上げておきます。
 それで、基礎定数を定める、日本語指導が必要な外国人児童生徒等というのはどういう生徒のことをいうのか、それをどう判断しているのかというのが大事だというふうに思うんですが、これはどういうふうになりますか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 日本語指導が必要な外国人児童生徒といたしましては、まず、日本語で日常会話が十分にできない児童生徒、これに加えまして、学校生活や教科等の学習活動に取り組むために必要な日本語の能力が十分でない児童生徒を想定しております。また、海外から帰国した児童生徒や外国人児童生徒のほかに、日本国籍ではありますが主たる家庭内言語が外国語であるなど、日本語以外を使用する生活歴がある児童生徒もこれに含まれるわけでございます。
 このような日本語指導の必要性につきましては、自治体及び各学校において、児童生徒の実態を踏まえて判断されているものと私どもは理解しております。
 なお、文部科学省では、児童生徒が学校生活や学習活動に参加できるかどうかの観点から、日本語能力を把握する日本語能力評価ツールというものを開発いたしまして、各自治体や学校に提供をしているところでございまして、これらの評価手法を用いた判断が行われているものと理解しております。
畑野委員 それで、資料の中につけさせていただきました「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント DLA」、こういうものがあります。
 それで、その裏に、JSL評価参照枠ということでステージが一から六までありまして、一、学校生活に必要な日本語の習得が始まるから始まって、四、日常的なトピックについて理解し、学級活動にある程度参加できる、こういうものがあって、横浜市の場合は、四までの子供たちについては、そういう日本語指導が必要だというふうに判断をされて考えていらっしゃるということなんです。五以上は何かというと、教科内容と関連したトピックについて理解し、授業にある程度の支援を得て参加できる、六は、教科内容と関連したトピックについて理解し、積極的に授業に参加できる。
 それぞれの判断でそれは決めていらっしゃるということですが、よく、そういう自治体や現場の状況なども通じて、きちっと必要な定数が配置できるように研究をしていただきたいと私は思うんですが、文部科学省、いかがでしょうか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 日本語能力に課題がある児童生徒への指導を担当する教員につきましては、既にお話し申し上げましたとおり、加配定数でこれまで措置してきましたが、十分措置できないということで、今回、基礎定数化をした次第でございます。その結果、二十一・五人に対して、十八人という子供の数に対して教員一人が自動的に措置されるということでございます。地方自治体にとっては、教職員定数について、これによって非常に先の見通しが立てやすくなるということで、計画的、安定的な採用、研修、配置ができるということになります。
 都道府県や指定都市が、外国人児童生徒に対するきめ細かな指導の充実のために学校指導体制の充実に取り組むことができるように、私どもとしては、計画的に今後とも基礎定数の拡充を図ってまいりたいと考えております。
畑野委員 大臣としても、ぜひ、そういう点では、今の状況を本当に改善していく上で頑張っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
松野国務大臣 文部科学省としては、日本語を理解することが大変な児童生徒も含め、全員に対して適正な教育を提供していくということが義務でございますから、しっかりとこの問題に対しても対応してまいりたいと考えております。
畑野委員 あわせて伺いたいのは、夜間中学なんですが、日本語指導が必要な生徒が通っています。夜間中学に在籍する日本語指導を必要とする生徒も、今回の基礎定数の算定基準に入りますか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の夜間中学に通う生徒につきましても、日本語能力に応じた特別の指導が行われている場合には、当該生徒につきましては今回の基礎定数の算定基準の対象となるわけでございます。
畑野委員 しっかり進めていただきたいと思います。
 次に、今回の法改正で少人数指導等のための基礎定数の新設が言われております。
 現在、全国で少人数学級はどのくらいの割合で実施されているのか、小学校一年生から中学校三年生の各学年別に説明してください。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十七年度現在における三十五人以下学級の割合についてでございますが、まず、小学校一年生が一〇〇%、小学校二年生が九九・七%、小学校三年生が八七・四%、小学校四年生も八七・四%、小学校五年生が八四・七%、小学校六年生が八四・二%、中学校一年生が八一・四%、中学校二年生が六五・五%、中学校三年生が六五・七%という状況でございます。
畑野委員 これだけ少人数学級が広がっているということで、初めて御説明をいただきました。
 それで、私、大臣に最後に伺う前に文科省に確認なんですが、今回の法改正によって、少人数指導等の推進のための基礎定数の新設は少人数学級の拡大に活用できると考えてよろしいですね。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおりでございます。
畑野委員 確認をいたしました。
 それで、私、皆さんのお手元に資料を配らせていただいたのは、字が小さいのですが、全国の少人数学級の一覧でございます。全日本教職員組合のつくられた資料です。
 それで、これだけ少人数学級が全国で広がっているんです。上から見ていただいても、二〇一六年度、岩手県で、中学校二年生で三十五人学級の実施など、ずっと広がっております。これだけ広がっているということを松野文部科学大臣はどのように御認識されるかということ。
 あわせて、川崎市議会で、四月から県費教職員の給与等の負担や学級編制の標準を決める権限が県から市に移管される。千葉市は三十五人学級を小学校四年生まで拡充する予定だとか、新潟市は、県による小中学校九年間の少人数学級を引き継ぐのに加えて、小学一年生で既に実施している三十二人以下学級を小学校四年生まで拡大するとか、こういうのが本当に広がって、本市でもやろうじゃないかという議論が行われているんですね。
 ですから、本当に今度の法改正で、各自治体の取り組みで少人数学級はさらに広げていけると思うんですけれども、その点について、二つ御認識を伺います。
永岡委員長 申しわけございません。申し合わせの時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。
松野国務大臣 少人数学級は、よりきめ細やかな指導が可能となることから、学校現場などからの要望も多く、有効な施策であると考えております。
 また、あわせて、政府参考人からお話をさせていただきましたとおり、学校の実情を踏まえ、各自治体の判断で少人数学級やチームティーチング、習熟度別少人数指導などを選択的に行うことが効果的であると考えております。
 平成二十九年度予算におきましては、まず、法改正により、喫緊の課題である発達障害の児童生徒に対する通級指導、外国人児童生徒等教育の加配定数の基礎定数化を図ることとしております。
 少人数学級を含む教職員指導体制の充実については、今後、地方自治体からの要望も踏まえて、総合的に検討してまいりたいと考えております。
畑野委員 終わります。