天下り 大学人事に介入例も

畑野議員 徹底調査を要求 衆院文科委

 畑野君枝議員は8日の衆院文部科学委員会で、文科省の組織的天下りについてただし、真相の徹底究明を求めました。

 文部科学省の天下りあっせんに関する調査の中間報告(221日)では、37の個別事案について調査結果を公表。このうち、大学などに天下りした文科省のOBが同省に人物紹介を求めた事例が12事案あると認めました。

 天下りあっせんの仲介役だった文科省OBの嶋貫和男氏(文教フォーラム理事長)は、畑野氏の追及に、「(天下り先から)『引き続き(官僚)経験者を』という話があったとき、私が(候補者を紹介して)引き継いだケースがいくつかあった」と述べ、天下りあっせんが構造化していた事実を認めました。

 畑野氏は、「天下りが天下りを呼んで、拡大再生産されている」と指摘。松野博一文科相は「調査を進めているところだが、厳正な処分をして再発防止に努める」と答えました。

 さらに畑野氏は、あっせん事案には、大学の人事に介入しているケース、大が鵜設置に関する情報漏えいなどもあると指摘。東京私大教連の声明で、政府・文科省が政策誘導的な資金配分を通じて大学自治への介入を強めている点も批判されているとして、「徹底的に調査し、文科省の改革をすべきだ」とただしました。

 松野文科相は「私立大学の自治を尊重しながら、対応を進めていく」と答えました。

201739日付 しんぶん赤旗より転載)

 

就学援助前倒し「可能」

畑野氏 改善要求に文科省が回答

 日本共産党の畑野君枝議員は8日の衆院文部科学委員会で、就学援助制度における入学準備費用の援助に関し、ランドセルや制服などの購入に間に合うよう、支給を前倒しする制度への改善を求めました。文科省の藤原誠初等中等教育局長は、中学校入学前の前倒し支給について「補助対象とすることは可能だ」と答えました。

 就学援助は、生活保護を受ける世帯と、それに準ずる困窮世帯に、学用品費や入学準備費用など学校生活にかかる諸費用を、国と市町村が援助するもの。原則、小中学校に入学・進級後に申請し、支給される仕組みです。

 畑野氏は、「支給が7月のために制服が買えず、入学式に出られなかったために友だちの輪に入れず、不登校になった」など切実な声を紹介し、入学前の出費への援助が、新年度に入ってからでは遅いと指摘。実態に沿って前倒し支給する自治体が増えているとして、小中学校とも「国として前倒しの支給を決めてほしい」と迫りました。

 藤原局長は、小学校についても、独自に前倒し支給している一部自治体の動きを踏まえ、「国として鋭意検討を行っている状況だ」と表明しました。

(2017年3月11日付 しんぶん赤旗より転載)

 

【会議録】

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  まず最初に、天下り問題について質問をいたします。  ことし一月二十日、文部科学省は「文部科学省における再就職等規制違反について」を発表いたしました。  その主な内容は、二〇一五年に退職した吉田高等教育局長当時が、退職後、早稲田大学に教授(任期付)として再就職したが、この再就職に関し、国家公務員法が禁止する再就職等規制に違反する事実があった。調査の中で、同事案以外にも、再就職等規制に違反する事案が複数あり、さらに、前川事務次官、当時文部科学審議官による再就職等規制に違反する事案があった。また、この違反を隠すため、人事課職員が、内閣府再就職等監視委員会に対して虚偽の報告を行っていた。このほか、国家公務員法が規定する再就職等規制を潜脱する目的で、職員OBを介して再就職あっせんを行っていたという報告です。  さらに、二月二十一日、文部科学省における再就職等に係る調査報告、中間まとめが発表されました。  お手元の資料として、中間まとめの、再就職等監視委員会から指摘された個別の事案についての概要をお配りさせていただいております。これは中間まとめそのものですので、詳しくはこの中に載っておりますけれども、番号が振ってあるのは同じものでございます。  そこで、お伺いいたしますが、この個別の事案の中に、大学などに天下りした文部科学省OBや現役出向ということで文部科学省に対して人物照会を求めてきているのは、どれとどれですか。     〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

中川政府参考人 お答え申し上げます。  ただいまの中間まとめにございます、再就職等監視委員会から指摘された個別の事案、いわゆる三十七事案のうち、この中において、大学などに再就職した文科省OBから文部科学省に対して人物照会を求めてきた個別の事案につきましては、お手元の先生がお配りいただいた資料でまいりますと、二番、三番、八番、十六番、十八番、二十番、二十一番、二十二番、二十五番、二十六番、三十一番、三十五番、以上の十二事案でございます。  いずれも文部科学省OBによるものでございまして、文部科学省現役出向者による事案はこの中にはございません。 畑野委員 それでは、きょうは参考人の皆さんに来ていただいておりますから、今御答弁あった事案あるいはその他のことについて、当時どのような状況だったか、御説明をいただきたいと思います。  十八番、上智大学事案については、藤江参考人、いかがでしょうか。

藤江参考人 お答え申し上げます。  御指摘いただきました十八番の案件につきましては、私の在任中の案件ではございますが、私自身としては承知していないところでございます。

畑野委員 それでは、藤江参考人に重ねて幾つか伺います。  二十一番、公立学校共済組合事案、二十六番、教職員共済生活協同組合事案、それから、三十五番、日本生命保険相互会社事案、この点についていかがでしょうか。

藤江参考人 お答えいたします。  二十一番、二十六番につきましては、同様、私自身としては承知していないところでございます。  三十五番の日生の案件につきましては、中間報告にもございますけれども、私が関与したものでございます。  本件、嶋貫氏において再就職ということで調整していたものでございますが、同社の担当者から、嶋貫氏が同業他社の職員であるということから、その嶋貫氏からは推薦を受けにくいという話を聞いたということで、その点を嶋貫氏に伝えたところでございます。  私に対して、嶋貫氏からは既に後任が決まっていることを聞いておりましたので、そうであれば、前任者から同社に対して後任が紹介されるものと考えていたところでございますけれども、その後、同社の担当者と連絡をとる中で、私自身が後任者の連絡先等をみずから同社の担当者に連絡してしまったものでございまして、違法な行為をしてしまったということで深く反省しているところでございます。

畑野委員 それでは、今お名前の挙がった嶋貫参考人に幾つか伺いたいと思います。  この個別の事案の欄の中で、十一番に、伊勢呂氏等の玉突き再々就職事案というのがございます。これについてはどういう状況であったか、御説明いただけますか。

嶋貫参考人 今お話しの本件につきましては、ある保険会社の方から顧問の候補者について紹介の依頼がございまして、ある方を先方に御紹介申し上げた際に、私自身、特別の人事情報という認識を持たずに、公刊物に掲載されている略歴を文科省の方から頂戴したものでございます。  しかし、このようなことが文科省側にとって人事情報の提供に当たるという御指摘を今回受けるに至りまして、そういう点で、私自身の認識不足を恥じているところでございます。

畑野委員 今、嶋貫参考人からこの十一の件でお話があったんですが、先ほど、藤江参考人からも、生命保険会社とのかかわりがあるんですが、嶋貫参考人、重ねてお伺いしますが、保険に強いというか、そういう人脈が嶋貫参考人は多いということですか。幾つもいろいろな会社が出てくるんですが。

嶋貫参考人 特にそういうことはございませんが、幾つかの保険会社の方からそういう御相談を受けたことはございまして、そういうときに、私の考え得る範囲で、適材と思って候補者を紹介したことはございます。

畑野委員 そうしますと、嶋貫参考人、引き続き伺いますが、そういうポストというのは、引き継がれていったり、OBからさらに次のOBに声がかかるという、そういうつながりの中で、ポストというのは引き継がれていったり広がったりするという状況なんでしょうか。

嶋貫参考人 今の件に関しまして申し上げますと、あくまでも、その御判断は、先方、受け入れようとする側にあるわけでございますが、例えば、そこに行っておられた方が、任期が来たとか定年が来たということで退任されるような場合に、社の方から、引き続きそういう経験者をお迎えしたいというようなお話がございましたときに、私がお聞きするようなケースが幾つかあった、こういうことでございます。

畑野委員 そうしますと、そういう経験者があればということで、ずっと紹介を求められてきたということでした。  次に、十四番の学校法人獨協学園事案について、藤原参考人に御説明いただけますか。

藤原参考人 お答えいたします。  十四番の案件でございますが、平成二十七年七月一日に、室長級の職員が、学校法人獨協学園職員に対し、同法人の役員等に再就職した文部科学省OBのリストを依頼して入手したという事案でございまして、当該行為が国家公務員法違反であるというふうに認定をされたものと承知しておりますが、本件につきましては、私が承知していたというものではございませんでした。

畑野委員 ずっとお話を聞きますと、本当に天下りが、天下った人がまたさらにその天下りの人を紹介し合う、あるいは呼び込む、つまり天下りが天下りを呼んで拡大再生産している、こういう例が次々と今紹介もされ、御説明もいただいているんですが、こういう問題があるということについて松野文部科学大臣はどのような御認識でいらっしゃいますでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。  まず、今回、再就職先として私どもの方からも発表させていただきました法人、団体は、その法人、団体は何ら違法行為をしているわけではございませんで、かえって、私どもの方、文部科学省として御迷惑をおかけしているというところであり、おわびをしているところでございます。  委員御指摘の、こういった状況についてどう考えるかということでございますが、まず、再就職自体は、決してこれは禁止をされているものではございません。公務員として得た知見、経験を生かすということは一つ有用なことではないかというふうに考えております。また、職員OBの方が再就職に関していろいろと御心配いただくということも、これは国家公務員法上の違反行為ではございません。それは認められていることでございます。  今回の文部科学省におきます再就職の規制違反は、これら一連の再就職に関し文部科学省の現役職員がかかわったという国家公務員法違反を犯したということと、もう一点は、現職中に利害関係のある団体、法人に関して求職活動をしてはいけないということに関しての国家公務員法違反を問われているということでございますが、これらのことは、教育をつかさどり、法令を遵守しなければいけない立場の文部科学省職員においてこういった事案が起こった、それも組織として関与したと指摘をされていることに関して非常に重く受けとめ、反省をし、今、全容解明に向けて調査を進めているところでございますし、厳正な処分をして再発防止を、防いでいくという覚悟でございます。

畑野委員 松野大臣、それは認識が甘いと思うんですね。  要するに、このOBの問題で何が今回問題になっているかというと、法令を潜脱するという目的で、もちろん、現職の職員、文部科学省の職員とやりとりをするというのはだめなんだけれども、それをあえて潜脱する意味で抜け穴をつくってやっているということなんですよね。ですから、再就職だからいいんだということではない。そこはもっと厳しく、調査もされていると思うんですが、進めていかないといけないというふうに思うんです。  それで、私は、時間が余りありませんから、一つ一つ詳しく申し上げませんが、これは、資料に全部出ているとおりですので、皆様御存じのとおりだというふうに思うんです。  それでは、具体的に、事案の四について伺いたいと思います。磯田氏の個人連絡先の情報提供事案という問題です。文部科学省の室長級職員と補佐級職員が早稲田大学の磯田氏を常勤講師に就任させるように依頼をしたという件です。  これは大学人事への介入ということではないかと思いますが、これは伯井参考人に御説明いただきます。

伯井参考人 お答え申し上げます。  本件につきましては、特定OBを介して同大学との調整を行うという報告を、当時、人事課職員から受けた記憶がございますが、それ以上の詳細は承知しておりませんので、したがいまして、恐縮でございますが、本件が人事介入と言えるかどうか、私としてはわかりかねるものでございます。

畑野委員 続いて、五の事案について伺います。滋慶学園副学長事案。これは、当時の中岡審議官が、嶋貫氏について、学長が難しければ、例えば副学長とか事務局長とかの形でかかわることが必要である旨を述べたということです。  これも、大学の人事を審議官が勝手に決めようとした事案ではないか、大学の人事に文部科学省が介入することにつながるのではないかと思いますが、中岡参考人、御説明ください。

中岡参考人 お答えいたします。  第五番目の事案でございます。  二月二十一日の調査報告書におきましては、先ほど委員御指摘のとおり、私の方から、室長級職員Aに、これまで学長予定者として本件にかかわってきた嶋貫氏については、学長が難しければ、例えば副学長とか事務局長とかの形でかかわることが必要である旨述べたということでございますけれども、大学の教職員組織につきましては、大学の自治のもとで、大学の責任で判断される事柄でございます。  私がこの段階で申し上げましたのは、学長の資質が不明であるというのであれば、適任の学長を選任するということになろうかと思いますが、例えば、その場合には、それまでかかわってこられた学長予定者といいます者が、例えば副学長とか事務局長とかできちんと引き継ぐというようなことがいいのではないかという趣旨のことを述べたものでございまして、大学の人事に介入したという意図はございません。

畑野委員 このように、人事の問題で文部科学省の方がいろいろと依頼をしたりするということについて、松野文部科学大臣はどのようにお考えになりますか。これはまさに大学の人事への介入になるのではないですか。

松野国務大臣 文部科学省としては、大学の教員の採用は、大学の自治のもと、各大学の責任において実施されるべきものだと考えております。  今回の再就職等規制違反は、先ほど申し上げましたとおり、文部科学省の現職の職員が各団体、法人に対して就職関係の情報を提供したり、また依頼をしたりする行為に関して違反が問われているという認識でございます。

畑野委員 大学の自治を守らなくちゃいけない、尊重しなくてはならないというのが文部科学省じゃありませんか。こういうようなことは日常的に行われていたのではないかと言わざるを得ないんです。  こういうことをきちんと調査する必要があるというふうに思います。この点への認識はいかがですか。

松野国務大臣 現在、文部科学省におきまして、再就職等監視委員会からの指摘もいただきながら、私、任命権者の私のもとに調査班を設置しております。  既に中間報告も公表させていただきましたけれども、現在、監視委員会から指摘をいただいている事案以外も、平成二十年十二月三十一日までさかのぼって、全職員に対する調査、退職OBについての調査も含めて、ヒアリングの調査等には外部有識者の方に加わっていただきながら、今、全容解明に努めているところでございまして、三月末を目途にしっかりとこの全容解明をし、公表して、そしてこの結果に基づいて厳正な処分を行い、何よりも大切なことは、今後こういったことが二度と起こらないように再発防止策をつくっていくことだと考えております。 畑野委員 二〇一七年の三月六日に東京私大教連中央執行委員会の皆さんが声明を出していらっしゃるんですね。文部科学省退職者の私立大学への「天下り」問題に関する声明というものなんです。その中で、このように述べておられます。   文科省退職者が私立大学に、理事、学長、事務局長等の役員や幹部職員として再就職している事例が少なくないことは、私立大学関係者にとっては周知の事実でした。しかし、教授会の業績審査等の手続きを経て大学教員として採用された場合を除いて、その採用経過は極めて不透明であり、文科省と学校法人との間でどのような折衝等が行われていたかはまったく明らかではありませんでした。今回の調査及び国会質疑等を通して、文科省人事課のOBを仲介役とし、歴代の文科省事務次官も関与して「組織ぐるみ」で行われてきたあっせんの仕組みが明らかとなっています。こうした違法・脱法的な「天下り」を行ってきた文科省の責任はきわめて重大です。 このように言っていらっしゃるわけですね。  これは本当に現場からの痛切な声だというふうに思うわけなんです。それはしっかりやっていかなくてはいけないというふうに思います。  それで、あわせて、五番目の件にかかわってなんですが、滋慶学園副学長事案なんですが、さらに重大なのは、大学設置・学校法人審議会での大学設置に関する情報が、設置審査と関係のない部署にいる人事課室長級に提供されたという問題なんです。  まさに情報が漏えいされていく、こういうことはあってはならないという認識はあるのかどうか、ほかに漏らしたことはあるのかどうか、この点について中岡参考人に伺います。

中岡参考人 お答えいたします。  まず、このたびの再就職等問題に係る調査報告におきまして、大学の設置審査に関します情報や是正意見に対するアドバイスが、設置審査とは関係のない部署にいる室長級職員Aに提供されている点が設置審査の信頼性を大きく損なうものと指摘されてございまして、まことに申しわけなく、深く反省しております。  それと、ほかにそういった漏えいの事案があるかということでございますけれども、そういったものは一切ございません。

畑野委員 松野大臣に伺いますが、今の件、情報がほかのところに提供されていた、こういう点について、大臣としてあってはならないという認識はあるのかどうか、そして、ほかに同様のケースがあるのかどうか、この点について伺います。     〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕

松野国務大臣 委員御指摘の、大学の設置認可の過程に関する情報が、設置認可の担当者外の部局にこの情報が漏れたということに関しては、これは大学の設置認可に対する信頼を損ねたものであると反省をしているところでありますし、こういったことが二度とないように努めていかなければならないのは当然のことであると思います。  現状の調査において、こういった情報を、今回の場合は、省内の他の部局ということで、当該の大学法人等に情報が出されたわけではございませんけれども、こういったことも含めて、他の事例に関して、今、現状の調査においては挙がっていないということでございますが、現在も引き続き調査をしているところでございますので、しっかりとこの点についても調査を続けてまいりたいと考えております。

畑野委員 しっかりとこの点も反省をして、調査も含めてやっていただきたいと思うんです。  次に、個別の事案について、二十七番、文教協会会長退任情報事案について伺います。この問題について、前川参考人に御説明を求めます。

前川参考人 文教協会の代表理事を務めておられましたのが雨宮さんという文部科学省のOBで、私も親しくさせていただいた先輩でございます。  一昨年の十二月だったと記憶いたしますけれども、私のところに嶋貫氏の訪問を受けまして、雨宮さんにそろそろ退任していただけるのであれば次の人を考えるというようなことを承ったというふうに記憶しております。ついては、私と雨宮さんとの関係も親しいということもあったと思いますけれども、嶋貫氏から、雨宮さんの退任の意向があるかどうか確認してほしい、こういう御依頼がございまして、私は、今から思えば、監視委員会からは、これは規制違反の行為であると指摘されているわけでございますけれども、その点についての違法性の認識が非常に甘かったというのは反省しております。  嶋貫さんのいわば使者のようなつもりで雨宮氏のところに赴きまして、御退任の意思があるかどうかを確認した。その結果、任期が、たしかその翌年の三月いっぱいだったんだと思いますけれども、そこで退任する意思がある、こういう意向を承って戻ってきた。  この雨宮氏の意思を確認したことにつきまして、これも何らかの方法で、どういう方法であったかは定かでございませんけれども、恐らく人事課の職員を通じて嶋貫氏にお伝えした、こういう経緯でございます。

畑野委員 前川参考人にちょっと確認なんですけれども、そういうことがずっと文科省で慣例的に、審議官の立場あるいは事務次官にある立場の人が、このポスト、そろそろあけてほしいから譲ってくださいよというふうにやられてきた状況というのはあるんですか。つまり、前川参考人だけでなく、歴代そういうのが仕事だったということはあるんですか。

前川参考人 私も、その辺はよくわかりません。  平成二十年十二月の国家公務員法改正以前は、恐らく、主に人事課長がこういったOBのところを回って、退任の意思があるかどうか、また、その後任をどうするかというような相談をするというようなことをやっていたと思います。それも、しかし、私も、実際の現場を見たわけではございませんでして、先輩から伝聞で聞いているような話でございます。  したがって、私以前の事務次官がそういったことをやっていたかどうかということについては、私は承知しておりません。

畑野委員 中間まとめの中に、共有するためのメモというのがあって、先ほど、各委員の質問の中でも、また文部科学省の報告の中にも、違反を隠すために虚偽の報告を行うというようなことがされていたということなんです。  豊岡参考人に来ていただいていますので、この点について伺いたいんですが、共有していた内容、中間まとめの七ページのところにいろいろと、再就職等監視委員会対応ということで「退職後二ケ月以内に再就職した者に対しては詳細な状況報告を求められる (例)いつ、誰から声がかかり、いつ、誰と面談を行い決定したか等」などなど、マニュアルのようになっているんです。  こういうことについてはずっと行われてきたんでしょうか。それが今回のような問題にもつながっているのか。この点について御説明いただけますか。

豊岡参考人 お答えいたします。  私が人事課長の職にありましたのは、去年の六月二十一日からことしの一月十九日まででございます。  御指摘の引き継ぎの内容につきましては、私自身は承知しておりませんでした。再就職等監視委員会に報告すべき書類などというのは定期的にあったものと認識しておりますが、担当官の方で作成して、それを課長である私が見ていたかとかはちょっとはっきり覚えはございませんけれども、そういう形で作成の上、提出をしていたというふうな記憶をしております。

畑野委員 幾つか聞いてまいりましたけれども、これは本当に深い問題が横たわっているということだと思うんですね。  それで、私は、今言ったような人事の介入の問題、あるいは大学設置に関する情報漏えいの問題、あるいは調査に対して隠蔽するような、そういう虚偽の報告を打ち合わせをして行う、こういうことを含めて、やはりこういう人事介入あるいは大学設置に関する情報漏えい、つまり、一個人の問題だけに済ませないで、そもそも文部科学省がどういうことを行ってきたのか、それを今回の問題でどう反省して、どう断ち切って、次に向かっていくのか、こういう観点を今後の調査の中でもしっかりと位置づけて行うべきではないかというふうに思うんです。  これは、先ほど御紹介をした大学関係者の皆さんがそのことを率直に訴えておられるんです。   文科省職員が私立大学に「天下り」することは、たとえそれが法令違反ではないと認められる場合であっても、そのこと自体が大きな問題です。文科省は、私立大学への補助金、大学・学部・学科等の新増設や定員増などの許認可等の権限を有する所轄官庁です。私立大学が「天下り」を受け入れることと引き換えに、補助金獲得や設置認可等で特別の便宜を得ることを意図していたのではないかとの疑いを持たれることは至極当然です。規制官庁である文科省の職員が規制対象である私立大学に「天下り」すること自体が本来は禁じられて然るべきであるにもかかわらず、文科省と私立大学との癒着関係が拡大してきた背景には、近年の高等教育政策そのものが深く関連しています。 こういうふうに言って、全体的な問題として明らかにしていくべきじゃないかというふうに東京私大教連の声明では訴えておられるんです。  この声明では、さらに、   政府・文科省はこの間、大学を経済政策に従属させるための「改革」圧力を強め、私立大学経常費補助を抑制・削減する一方で、競争的な資金配分を拡大させてきました。二〇一四年の学校教育法改正は、大学の自治の根幹を担ってきた教授会を弱体化させ、学長権限を強化した管理運営体制の構築を強制するものでした。文科省はまた、「スーパーグローバル大学創成支援事業」等の競争的予算を新設・拡大するにとどまらず、基盤経費にかかわる予算においても「私立大学等改革総合支援事業」などを通した政策誘導的な資金配分を強化することで、私立大学の「自主性、自律性」を有名無実なものとし、政府が求める「大学改革」を強制してきました。こうした政策誘導を受け、私立大学では許認可や補助金獲得を有利に進めたいとの思惑から、文科省からの「天下り」の要請を従来にもまして積極的に受け入れる素地が形成されてきました。「天下り」の拡大は、こうした私立大学政策と一体となって拡大してきたものであり、その本質は政府・文科省による大学の自治への介入にほかなりません。 このように言っているわけです。  こういう角度、しっかりとこういう声に応えて、松野文部科学大臣として、今後調査も含めて行うべきだ、文部科学省の改革にも取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。  先生の方から御提示をいただきました東京私大教連声明の内容に関しては、私の方で承知をしておりません。  いずれにいたしましても、教員の採用というのは大学の自治の最たるものでございまして、それに関しては、現状においても学長を中心として大学の判断によって行われているものと承知をしております。  しかし、今回の文部科学省、現職の職員が就職関係の情報提供等に携わった違反を指摘されておりまして、これはもう既に認定をされたものもあるわけでございますが、この案件に関しては、深く反省をし、今調査を進めているところでございまして、二度とこういったことが起こらないように再発防止に努めてまいりたいと思います。  あわせて、今後の私大のあり方に関してのお話も、その声明の中で先生の方から御紹介をいただきました。もちろん、私立大学の経営そして教育の内容に関しては、それぞれの建学の精神に基づいて大学の自治のもと行われるものでございまして、現状においても、その大学の自治、裁量によって行われているものと私は承知をしております。  そして、一方で、私大のあり方、経営のあり方、教育のあり方等々に関しても、社会状況の変化に応じて、それぞれの私大の御判断によって効率化、改革等を図られているものと承知をしておりまして、それぞれの大学の改革に基づいて、文部科学省としてお手伝いできることはお手伝いをしているというのが今の私どものスタンスでございます。  引き続き、私立大学の建学の精神に基づいた自治をしっかりと尊重しながら、私どもの私立大学に対する対応を進めてまいりたいと考えております。

畑野委員 大臣が大学の自主性ということを言われました。本当に、大学の自治を守ると、この間、松野大臣はおっしゃってこられました。  この東京私大教連の声明の中では、最後にこのように言っております。   「天下り」の横行は、私立大学の教育・研究のあり方を大きく歪め、私立大学が民主的に発展していくことを阻害します。私たちは、政府・文科省が、今回の問題を一部官僚等の処分によって幕引きさせることなく、「天下り」を生み出してきた構造の全体像を徹底的に解明したうえで、文科省退職者が私立大学に「天下り」することを禁止するよう求めます。 率直な訴えだと思います。こういうことも本当に心にとめて、しっかりとしていただきたい、全容解明を進めていただきたいというふうに思います。  まだ聞きたいことはあるんですが、次の質問をしたいと思いますので、また次の機会があればこの問題の続きは質問させていただきたいと思います。  次に、就学援助制度について伺います。  子供たちがこの四月の新学期を心躍らせて迎えることができるかどうか、今本当に大事な時期になってきております。多くの新一年生が期待や希望に胸を躍らせて入学を待っているのではないかと思います。  そうした中で、就学援助金は、生活保護世帯や低所得世帯を対象に、小中学校の入学準備費用、学用品費や給食費、修学旅行費などを援助する制度です。どの子にも、お金に心配なく元気に学校に通えるように、国の制度を拡充していく必要があると思います。  この制度については、お手元に資料をつけさせていただきました。  ここで伺いたいんですが、来年度の予算で、要保護児童生徒援助費補助金の項目で、新入学児童生徒学用品費等の単価について伺いたいと思います。どのようになるのか、その理由について伺います。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。  委員お尋ねの単価につきまして、平成二十九年度の予算案におきまして、まず小学校で四万六百円、これは対前年度二万百三十円増、それから中学校につきましては四万七千四百円、これは対前年度二万三千八百五十円増というように、約二倍、大幅に引き上げておりまして、生活保護の入学準備金と同額としたいということでございます。  その理由でございますが、この新入学児童生徒学用品費等の項目につきましては、支給額が、従来、実際に必要となる額に対しまして必ずしも十分ではないという御指摘があったことなどを踏まえたものでございます。

畑野委員 引き上がるということです。  入学にかかるお金というのは、平均でも、小学校一年生のランドセルが四万二千四百円、これは日本鞄協会ランドセル工業会の調査です。また、制服代四万三千六百九十円、これは文部科学省の調べということで、こうしたことだけでも高いんですが、そのほかにも、中学生でいえば、かばんやシャツやベルト、靴下、上履き、本当に準備するものはたくさんあるんです。これまでの支給額では実態と乖離しているという声が大きくて、今回の引き上げというのは、多くの保護者の皆さんの声や、また地域で教育費用の負担軽減を求めてきた皆さんの本当に粘り強い運動の結果だと思うんです。  各自治体は、国の単価、これを参考にするところが多いんです。国からの通知が来たら引き上げるという自治体もあると思いますので、これは、ぜひ速やかに通知を出して徹底をお願いしたいというふうに思うのが一点です。  あわせて、入学に係る援助費なんですけれども、いつ支給するのかという時期も大事になって、入学してずっと先というのでは間に合わないわけなんですね。  文部科学省の初等中等教育局長から自治体に対して通知が出されておりまして、その中では、援助を必要とする時期に速やかに支給できるよう十分配慮することと、支給時期についても留意事項として挙げています。新入学児童生徒学用品費等については、括弧つきで特にと、文部科学省通知の中でも強調されております。  この通知を受けて、入学にかかるお金が必要な時期というのはいつかといえば、入学前だということで、年度を待たずに前倒しで支給している自治体もふえております。私、地元は神奈川県なんですが、大和市ですとか海老名市とか、そういうところでも始まっていて、ほかの自治体からもぜひそういうふうにしたいという声が上がっているんです。この点で、どれぐらいの自治体が前倒しで支給しているのかということについて伺いたいと思います。  最初の点では、今回金額が引き上がる予定だということの通知を早く出してほしい。それから、前倒し支給をしている自治体、これを本当につかんで、そういう自治体の声も国がぜひつかんでいただきたいということなんですが、この点、いかがですか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。  まず一点目、今回の単価の引き上げにつきましては、来年度の予算案が成立した後において、可及的速やかに関係方面に通知を出していきたいと考えております。  それから、二点目でございますが、委員御指摘の通知は、例えば平成二十八年九月二十三日付の初等中等教育局長通知だと思います。  この中につきましては、具体的には、現行制度における事務処理に関しまして、要保護者への支給は年度の当初から開始し、児童生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給することができるように配慮すべしということを、市町村に対して留意するよう求めたものでございます。  他方、委員お尋ねの新入学児童生徒学用品等の経費の入学前の支給に関しましては、既に一部の自治体、市町村におきまして、国の補助を受けずに、独自の取り組みといたしまして、入学前の支給を行っていることにつきましては承知しておりますが、文部科学省といたしましては、全国的な状況については把握していない状況でございます。

畑野委員 自治体で行っている前倒しの状況については、新聞報道などでも独自の調査をされておりますし、それぞれの団体が取り組んだ状況もまとめていらっしゃると思いますので、ぜひそういうものもつかんでいただきたいと思うんです。  例えば、新入学学用品費の支給が七月のために制服が買えなくて入学式に出られなかった、それで友達の輪に入れなくなって不登校になってしまったというお話とか、それから、同級生が制服を注文する時期に自分が制服を注文できないということに不安を感じていたとか、もう本当に切実な声が寄せられているんですね。  それで、二〇一四年八月閣議決定の子供の貧困対策に関する大綱の中でも、国として、就学援助の実施状況を定期的に調査し、公表する、就学援助の適切な運用を促し、各市町村における就学援助の活用、充実を図るというふうにされているんです。ですから、ぜひ実態を、市町村の状況をつかんでいただきたい。  その上で、この前倒し支給を進めていくためにはどうするのか。もう喫緊の課題になるわけですね。具体的にどのような手だてをとって広げていくのでしょうか。伺います。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。  要保護の児童生徒援助費補助金につきましては、現行の制度では学齢児童または学齢生徒の保護者を補助の対象としております。そのため、中学校につきましては、入学前の者については、既に学齢児童に該当するわけでございますので、この制度による補助対象とすることが可能でございます。  他方、小学校につきましては、入学前の者はいまだ学齢児童に該当しないということなので、この制度を前提とすると補助対象にすることはできないということになっております。  先ほどお答え申し上げましたとおり、現在、一部の市町村では、既に、国の補助を受けずに、独自の取り組みとして、小学校についても入学前の支給を行っているところでございますが、このような市町村の動きも踏まえまして、国としては、この件につきまして鋭意検討を行っている状況でございます。 畑野委員 中学生については児童、生徒ということなのでということで、前向きな御答弁だったというふうに思います。  ぜひ文部科学省としても、運用上の問題ですから、そこを本当に進めていくことで保護者の皆さんにとっての負担を大きく軽減することにつながりますので、ぜひ国としても前倒しの支給を決めていただきたいということを重ねて申し上げておきます。  それで、子供の貧困対策に関する大綱の中で、就学援助制度に関する周知状況が子供の貧困に関する指標として設定されておりますが、書類の配付の達成状況はどうなっているでしょうか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。  委員お尋ねの状況につきましては、平成二十六年度で約六七%の市町村で就学援助制度の書類を配付しておりまして、これは前年度と比較して約五・六%の増ということになって、就学援助制度の周知状況の一定の改善が見られているところでございます。

畑野委員 資料の中にもその状況をつけさせていただきました。まだ、必要としている人には、全員には行き渡っていないという状況だと思います。  それで、松野文部科学大臣に伺いたいんですが、就学援助制度の周知、これはどういうふうにしていかれるおつもりなのか、今後の目標について伺いたいと思います。

松野国務大臣 文部科学省としては、援助の必要な児童生徒の保護者に対し、漏れなく就学援助が実施されるよう、さまざまな機会を通じて就学援助制度の周知を充実することが必要と考えています。  就学援助制度の周知状況は、先ほど政府参考人の方が答弁したとおりでありますけれども、学校で就学援助制度の書類を配付した市町村の割合が、子供の貧困対策に関する大綱の子供の貧困に関する指標に設定されていることを踏まえ、書類を配付した市町村の割合の一層の増加に努めてまいります。

畑野委員 周知状況が子供の貧困に関する指標であるというふうに設定しているのは国ですから、全ての家庭に、わかりやすい内容で、確実に制度を伝える手だてを講じていただきたいと思います。  川崎市では、全家庭に申請書の提出をお願いして申請の有無を確認するという対応をして、申請漏れがないようにした結果、申請者がふえるということも出てきているというふうに伺っておりますので、ぜひお願いします。  就学援助にかかわって、次に、夜間中学の生徒への支援について伺います。  全国で三十一校が、二十五の市区町村によって夜間中学は設置されております。生活保護受給者やそれに近い生活条件の生徒も多くて、就学援助を希望する方も少なくありません。この経済的に苦しい生徒への支援はどうなっているのか。  そして、遠方から通う生徒も多いことを考えますと、生徒の住んでいる自治体の数、そのうち、どのぐらいの自治体が生徒への支援を行っているのかというのをまず文部科学省に伺うのと、時間が余りありませんので、夜間中学について文部科学大臣に伺いたいんですが、生徒の居住自治体が支援を行っているかどうか文部科学省として把握しないと、経済的な支援の手も差し伸べられないと思うんです。ですから、昨年の教育機会確保法の中で言われた協議会において、生徒への就学援助の問題について議題に取り上げて検討することが必要ではないかと思うんですが、この点は松野大臣に伺って、私の質問を終わります。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。  文部科学省が行った調査によれば、平成二十六年現在、夜間中学を設置している二十五の市及び区のうち二十の市及び区におきまして、一定の要件のもとで夜間中学に通う生徒に対しまして校外活動費、学用品費、修学旅行費などについて経済的な支援を実施しているところでございます。  なお、夜間中学に通う生徒が居住している自治体の数につきましては、現時点では文部科学省としては把握しておらず、これらに関する経済的支援のデータは持っていない状況でございます。

松野国務大臣 義務教育未修了の学齢超過者など夜間中学に通う生徒に対する経済的支援に関して、各地方公共団体の判断で、いわゆる教育機会確保法第十五条に規定された協議会の枠組みも活用して検討することも考えられるところです。  文部科学省としては、平成二十九年度予算案において、経済的支援のあり方の検討も含めた、夜間中学の新設や既存の夜間中学における教育機会の提供拡充に向けた調査研究に必要な費用を計上しており、今後とも各地方公共団体における検討を支援してまいりたいと考えております。

畑野委員 ぜひ、こうした就学援助の問題、また夜間中学への支援の問題、国としても積極的に進めていただきたい、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。