第189回国会 2015年6月5日文部科学委員会

もんじゅ核燃 撤退こそ

危険性と浪費指摘

 畑野君枝議員は6月5日の衆院文部科学委員会で、高速増殖炉型原発「もんじゅ」の廃炉、核燃料サイクルからの撤退決断を強く求めました。

 畑野氏は、政府によって「原子力機構改革」本部がなぜ設置されたのか質問。下村博文文科相は「もんじゅでトラブルが多すぎる」ことを挙げ、「周辺整備をして再稼働できるような状況」をつくるために改革を進めると答弁しました。

 「もんじゅ」は、1995年8月に送電を開始しましたが、同年12月にナトリウム漏えい火災事故を起こしました。2012年11月には必要な機器の点検が1万件近くも行われていなかったことが発覚。無期限停止に至りました。

 畑野氏は、もんじゅの保守・維持管理に膨大な経費がかかり、国民が負担していると指摘し、事業費の総額はいくらになるのかただしました。文科省の田中正朗研究開発局長は、建設・運転・維持管理の予算総額は約1兆200億円になると答弁しました。

 畑野氏は、もんじゅで冷却材のナトリウムが漏れると、福島第1原発事故より早く事態が進行する可能性があると指摘。「危険なプルトニウムを使う核燃料サイクル計画から撤退すべきだ」と強調しました。

( 「しんぶん赤旗」2015年6月20日付け )

 

35人学級へ法改正検討

畑野議員に下村文科相

 下村博文文部科学相は5日の衆院文科委員会で、小中学校での35人学級の推進について、学級編成を定める標準法を改正し、来年度予算の概算要求に盛り込むことを検討したいと表明しました。日本共産党の畑野君枝議員の質問に答えたものです。文科相が35人学級推進について法改正と概算要求に言及したのは初めてです。

 畑野氏は「教育現場が多忙化しているのに、財務省は4万2千人の削減を打ち出している。教員を減少させていいのか」とただしました。これに対し下村氏は「問題意識はまったく同じだ。学校現場は大変、複雑化、困難化しており、加配教員を充実させることが求められている。全体的な教員定数そのものについても戦略的に考えていくことが必要だ」と述べました。

 畑野氏は「根本的な基礎定数の改善が必要だ。35人学級の推進へ法改正を国として決断していただきたい。2016年度概算要求でもその立場で取り組んでほしい」と要望。同委員会が全会一致で、義務標準法を改正して小学校2年生以上も35人以下学級を推進するよう求める決議を可決したことをあげて、35人学級推進で共同して文科省をバックアップしていく考えだと述べました。

 下村氏は「背中を押していただいたことを感謝している。定数改善を早急に進めたい。法改正を概算要求に入れることも含めてさまざまな方策を検討したい」と答えました。

(「しんぶん赤旗」6月6日付け)

 

【会議録】

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 国立研究開発法人放射線医学総合研究所法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 今回の法案は、いわゆる放医研を国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構にするというものです。
 まず伺いたいんですけれども、法案提出の理由が、量子科学技術の水準の向上を図るためとありますが、学術会議などの学術界から、量子科学技術の研究開発の強化が必要だ、あるいは量子科学技術の研究所が必要だというような提言があったのかどうか、まず伺いたいと思います。
川上政府参考人 お答えいたします。
 日本学術会議におきまして、学術の大型研究計画に係るマスタープランというのが先ごろ策定をされております。この中には、量子科学技術分野の研究領域に関する計画が複数掲載されているところでございます。
 また、今の御質問が、法人の設置そのものということであるといたしますと、日本学術会議においては具体的な提言を受けているわけではございませんけれども、他方、政府でまとめております第四期の科学技術基本計画においては、領域横断的な科学技術の一つとして量子科学技術を推進するということとされているほか、現在、政府の部内では次期の科学技術基本計画に向けた議論を行っているところでございます。
 文部科学省といたしまして、科学技術・学術審議会に、昨年、総合政策特別委員会というのを設けて第五期の科学技術基本計画に向けた政策議論をしたわけでございますが、その中でも、共通基盤技術に関する研究開発として、量子科学技術の推進ということが掲げられているところでございます。
 このように、量子科学技術の推進ということについては、学術会議で直接ではございませんが、有識者を初めとした方々の中で重要性が認められているというところでございます。
畑野委員 お答えにありましたように、学術会議から、法人について、つくってほしいという提言はないということでございました。
 そもそも量子科学技術とは何なのか。法案の第二条では「「量子科学技術」とは、量子に関する科学技術をいう。」と同義反復のような定義がされておりますが、量子とは何なのか、お答えいただきたいと思います。
川上政府参考人 お答えいたします。
 量子というものは何であるかということは、例えば広辞苑の「量子」という項目のトップには「不連続な値だけを持つ物理量の最小の単位。」というような書き方もございますが、今この法案で取り上げております量子というのは、原子を構成する陽子、中性子、電子等の微細な粒子や光子等、そういったものを包括的に含意するものということで用いているところでございます。
 そして、量子科学技術は、こういった微細な粒子のかかわる科学、それから、そういうものを応用した技術であって、多様な基礎科学への貢献、広範な応用展開が可能な総合科学技術であるというふうに考えてございます。
畑野委員 説明のございました量子の意味を考えますと、量子科学技術というのは、原子、電子、中性子、陽子、光、素粒子などに関する科学技術ということになると思います。原子力、加速器、高エネルギー物理、素粒子物理、光ファイバー、半導体、望遠鏡や顕微鏡などが含まれて、とても広い研究分野を含むものだと思います。
 しかし、法案の説明の要旨を見ますと、写真などにレイアウトされているものを見ますと、実態は量子ビームと核融合というふうになっているわけですね。ですから、量子に関する科学技術といいながら、高エネルギー物理や素粒子物理はおろか、半導体も含まれておらず、核融合が含まれるのに、軽水炉など核分裂は含まれていないということです。ちょっと違和感を感じるわけですね。
 下村文部科学大臣に伺います。
 なぜこの法案が出てきたのか。そもそもの問題、あの「もんじゅ」の一万件点検漏れ事件を契機に、大臣も御苦労されたと思うんですけれども、原子力研究開発機構の改革が検討されて、そこで量子ビームや核融合を原子力機構から切り離すという計画が出てきた、そのことが契機ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
下村国務大臣 量子科学技術に関しましては、近年、加速器の高エネルギー化、レーザーの高出力化やナノテクノロジーの進展等によりまして、医療、エレクトロニクス、素材などの広範な産業への利用を含めまして、イノベーションを支える基盤としての重要性が急速に高まってきているところであります。
 放医研は、重粒子線によるがん治療等に取り組み、世界トップの治療実績を積み上げてきたところでありますが、放射線医学の分野では、近年、量子ビームの人体への作用に関するメカニズムの解明の推進等、新たな量子科学技術に関する知見の追求が不可欠となってきております。
 原子力機構改革につきましては、私が本部長を務める日本原子力研究開発機構改革本部におきまして、平成二十五年八月に改革の基本的方針を取りまとめ、その中で、量子ビーム研究及び核融合研究開発に係る業務については、切り離しを含め検討すべきとの方向性を既に示していたところでもございます。
 これらの観点から文部科学省において検討を進め、量子ビーム研究及び核融合研究開発に係る業務を放医研に集約することで、放医研が行う研究が加速されるとともに、量子科学技術に係る研究開発の推進に資することが期待をされるということから、原子力機構改革を一つの契機として法改正を行うこととしたものであります。
畑野委員 肝心なことをお答えにならなかったので、では、なぜ改革本部が立ち上がったのか、その経緯を御説明ください。大臣、大臣に質問しているんです。
下村国務大臣 これは御承知のように、原子力機構は二つの組織体を一緒にしたものであります。その中で、ガバナンス改革が十分でないという部分もございまして、今は児玉理事長になっていただいていますが、その前の松浦理事長、二つの組織体が別々のときの責任者であった方でもありますが、ガバナンス改革を、特に「もんじゅ」の問題等でしっかりやってもらう必要がある。
 これは先ほども御質問にも出ていましたが、本来、「もんじゅ」の目指すべき方向は、減容化とか、それからウランを有効活用するという、方向性としては人類の夢の実現に向かうものでありますが、しかし、それ以前の段階として余りにもトラブルが多過ぎる、それから、基礎、基本としての、これは原子力委員会に指摘される以前の問題として、お粗末なことが多過ぎる、これについては徹底していかなければ、とても再稼働以前の問題として国民の信頼は得られない。
 しかし、本質的な「もんじゅ」の研究以前の問題として、そういうレベルでもし廃炉にしたとしたら、これは将来に禍根が残ることであって、まずは周辺整備をきちっとして再稼働できるような状況をとることによって、「もんじゅ」の実際的な実用化に向けたものができるのかどうかというところまで持っていく必要があるのではないかというところから、原子力機構の改革を進めているところであります。
 まだその見通しも立っておりませんが、しかし安全第一で、国民に信頼が得られる形で、慎重に、しかししっかりとした改革をしてまいりたいと思います。
畑野委員 「もんじゅ」についての廃炉という言葉にも触れられたので、その点では意見が一致するんですが、運転再開という点ではこれは不一致だということを申し上げて、しかし、下村大臣がおっしゃったとおり、「もんじゅ」でトラブルが本当に多い。大臣が御苦労されてこられて、何とかしなくちゃいけないというふうに改革に取り組んできた。このことが今回の法案の提出の大きな理由だというふうに私は思うわけなんです。
 それで、その点では、今の「もんじゅ」の現在の状況はどうなっているのか、簡単に御説明をいただきたいんですが、私も実はきのう、急遽、福井県敦賀市の「もんじゅ」を視察させていただきました。簡単に御説明いただけますでしょうか。
田中政府参考人 お答え申し上げます。
 「もんじゅ」につきまして、これまでの経緯を簡単に申し上げたいと思います。
 平成六年四月に初臨界、平成七年八月に初送電を開始いたしましたけれども、同年十二月にナトリウム漏えい事故が発生いたしました。事故後、ナトリウム漏えい対策の強化を行うとともに、「もんじゅ」の位置づけや必要性に関しまして幅広い国民的議論を行いまして、平成二十二年五月に約十四年半ぶりに運転を再開いたしまして、約二カ月にわたる運転を行ったところでございます。その後、平成二十二年八月に、燃料交換終了後に炉内中継装置を落下させるというトラブルが発生いたしまして、平成二十四年八月にはそのトラブルを回復して、運転可能な状態への復旧作業が完了したという状況でございます。
 一方、平成二十四年十一月には機器の保守管理不備が明らかになりましたので、平成二十五年五月に原子力規制委員会より、運転再開準備の停止を含めた措置命令が発出されたところでございます。これを踏まえて原子力機構では、平成二十五年十月から平成二十七年三月まで、「もんじゅ」の集中改革に取り組んできたところでございます。
 集中改革の成果の一環といたしまして、原子力機構は、保守管理体制及び品質保証体制の再構築を行いまして、平成二十六年十二月末には原子力規制委員会へ保安措置命令に対する報告書を提出したところでございます。
 しかしながら、その後も原子力規制委員会より何度も指摘を受けるなど、保守管理や品質保証の個人意識への浸透や個人能力の向上はまだ途上にあるということでございまして、原子力機構は、集中改革の成果の定着、さらに改善という不断の取り組みを続けていく必要があると認識しております。
 文部科学省といたしましては、「もんじゅ」が安全を最優先とした運用を行い、保安措置命令が可能な限り早期に解除されるように、引き続き厳しく指導していきたいと考えているところでございます。
畑野委員 今回の話の発端の直接のきっかけになった約一万件の点検漏れということも、新しいことでございます。
 それで、高速増殖原型炉「もんじゅ」の保守と維持管理をするために、毎年膨大な経費がかかっているわけです。それを国民が負担しているということになりますが、これまでの「もんじゅ」の事業費は総額幾らになって、そして、あの一万件の点検漏れの問題が起きた以降、毎年事業費がどのように推移しているか、教えていただけますか。
田中政府参考人 お答え申し上げます。
 「もんじゅ」の建設当初から現在に至るまでの建設、運転、維持管理にかかわる費用の予算額でございますけれども、昭和五十五年度から平成二十七年度までの総額で、これは予算額の方でございますが、約一兆二百億円となってございます。決算額で申し上げますと、昭和五十五年度から平成二十五年度までの総額で約九千七百億円となってございます。
 一万点の点検漏れが起きた後、原子力規制委員会からの指摘事項を踏まえて、保守点検を強化してございます。その結果、現在、平成二十七年度の予算で申し上げますと、「もんじゅ」にかかわっている予算は百九十七億円となっているところでございます。
畑野委員 私も資料を出していただきましたけれども、人件費を除いても一兆円を超えております。毎年二百億円前後、税金が使われているということです。
 きのう伺いまして、大変丁寧に御説明をいただきました。そこでは、「もんじゅ」ではプルトニウムの増殖ということも行われる、そういう施設だということも伺いました。
 説明をいただいたセンターのところでは、「もんじゅ」の配管が非常に細かく曲がりくねっている、ナトリウムがその中に流れるんですというお話も伺いました。東日本大震災のような地震の際には、こういう配管というのは破壊しやすいのではないか、そして、配管からナトリウムが漏れて空気に触れれば、大変な火災が起きるのではないかというふうに言われております。
 軽水炉原発と違って、「もんじゅ」の場合は、ナトリウムがなくなると核燃料の温度は加速度的に上がって、原子炉の破壊は東京電力福島第一原発の事故どころではないスピードで事態が進行するのではないかというふうに思いますけれども、どうなのでしょうか。
田中政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、そもそも、東日本大震災で福島第一原発の場合は全電源喪失という事態が生じまして、外部電源が喪失した後、さらに非常用電源も通じないという段階を経て、炉心を冷却する機能が失われたということでございます。
 そういう観点で見ますと、まず、「もんじゅ」につきましては、全電源が喪失しても、ナトリウムは自然循環によって炉心を安定的に冷却できる、そういう安全性の機能を持っているというのがまず第一点でございます。
 その上で、先生もおっしゃっていましたような、仮に例えば配管の破断といったような状態でございますけれども、「もんじゅ」では冷却材にナトリウムを使ってございます。ナトリウムは、水と違いまして沸点が非常に高いという状況でございます。実際には沸点は八百八十二度でございます。沸点が高いということは、逆に言いますと、配管内の圧力が非常に低い状態で流動しています。実際には、大気圧と同じ一気圧で流動してございます。そういうために、配管が仮に破断しても、冷却材が急速に失われることはないというふうに考えております。
 また、一次系の配管が破断したとしましても、原子炉格納容器を覆っておりますガードベッセルというのがございまして、その中に冷却材がとどまる設計となっておりまして、炉心から冷却材が抜けてしまうという喪失が防げるような構造にそもそもなってございます。
 さらに、冷却材につきましては、独立した三つのループで構成されておりまして、仮に一つの配管が破断しても、破断を生じていない他のループによる冷却が可能であるというような理由によりまして、そもそも冷却材のナトリウムが全て喪失する事態は想定しがたい設計をしているということでございます。
畑野委員 想定しがたいと言いながら起きたのが東日本大震災でした。東京電力福島第一原発の事故では、電源がなくなり、原子炉を冷やせなくなり、冷却水も失われて、メルトダウンをいたしました。
 「もんじゅ」で冷却材のナトリウムが失われたらどうするのか。なくならないような対策というのは今ので大丈夫なんですか。
田中政府参考人 今申し上げましたように、ナトリウムの冷却材が喪失されないように、多重にわたる防護措置というものを講じているところでございまして、容易にはナトリウムの冷却材が喪失するような事態にはならないというふうに考えているところでございます。
畑野委員 ガードベッセルの話もありましたけれども、容易にはいかない、しかし、やはり最大の過酷の事故の対応をしなければならないと思うんですね。
 それで伺いますが、「もんじゅ」の場合は、冷却材のナトリウムが失われますと、核分裂がとまらなくなるのでしょうか。
田中政府参考人 仮定の話としてではございますけれども、仮に、運転中に冷却材であるナトリウムの喪失が生じた場合でございますと、一次系のナトリウムの喪失を検知して制御棒が挿入される仕組みとなっておりますので、原子炉は停止するというふうに考えてございます。
畑野委員 しかし、その速度も大変速いということも言われているわけですね。ですから、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だとお答えになって、本当に大丈夫かなと逆に思うわけなんです。ですから、東京電力福島第一原発事故を受けて、これは本当に抜本的に見直す、本当に甘い考えはもう許されないということは明らかだと思います。
 ですから、この「もんじゅ」、今までいろいろな研究者が、技術者が頑張ってきたでしょう、国の政策だということでやってきたでしょう。ですけれども、ここで本当にもう一回立ちどまって、危険でもある、そして運転再開の見通しもなかなかつかない、こういう計画は、私はもうやめるべきだというふうに思うんです。
 それで、ここはこれまでの原発事故と違うのは、プルトニウム循環方式、核燃料サイクルなんですよ。プルトニウムを使うということですよ。増殖するということですよ。ですから、こういうやり方も撤退をすべきだ。外国の例も言われているけれども、高速増殖炉ということでこんなにやっているのは、これは日本だけじゃないでしょうか。
 それで、私は研究者、技術者の方にもお会いしましたけれども、優秀な方たちだと思います。こういう方たちが、あの福島の事故を経て、もっと国民のために頑張りたい、これが本当にやる気になると思うんですね。
 ですから、下村大臣もおっしゃった、これからの日本全国の原発をどうするか、廃炉の問題もやっていかなくちゃいけない、こういう研究などで大いに頑張っていただく、そういうことも、ぜひ政府として、文部科学省としても考えていただきたいというふうに思います。
 最初に学術会議のことを私お聞きしましたのは、第五期科学技術基本計画のあり方に関する提言というのをことし二月二十七日に出されまして、こういう指摘をしているんです。
 「極端な重点化が逆に総合的な研究力を削ぎかねない懸念もある。政府は、第四期科学技術基本計画によって「競争的資金の一層の充実」を図ってきた。しかし、運営費交付金や科研費を削り、基礎研究が担保されない状態で大型プロジェクトの競争的資金を偏重するのは、成功する見込みのある研究に研究者が拘泥し、萌芽的研究の芽を摘むことにつながる危険がある。」というふうに言われているわけです。
 私もそうだと思うんですね。運営費交付金など基盤的経費の拡充をしていくということを含めて、こういう学術界の皆さんの意見にしっかり応えていくことが科学技術の発展のためにも大きく求められているということを私は申し上げて、この法案についての質問とさせていただきたいと思うんです。
 最後に伺いたいのは、義務教育予算についてでございます。
 この間、この委員会でも、皆さんの、各委員の議論がございました。財務省が五月十一日に財政制度等審議会財政制度分科会で示した試算、二〇二四年度までに約四万二千人の教職員の合理化が可能であるという機械的な試算を行ったことについて、与野党を問わず、これでいいのか、文部科学省、頑張ってほしい、一緒に頑張ろう、こういう討論が続いてきたわけです。
 下村大臣も、何度も答弁されているように、今、教育現場は非常に複雑困難だ、世界で一番日本の教職員は多忙化だ、こういう実態を述べられて、安易な教職員の定数削減にならないような、現場に対応した教職員定数になるように対応していきたいとお答えになってこられたわけですね。
 そこで、下村文部科学大臣に二つ伺いたいんです。
 まず、財政制度等審議会が六月一日に、教職員定数に関して、少人数指導などの加配定数を、標準学級当たりの加配定数なるものを持ち出して、二〇二四年度までに基礎定数の自然減三万七千七百人に加えて加配定数についても四千二百十四人が合理化可能だ、こういうとんでもない試算を示したんですね。
 改めて伺いますが、加配定数というのは、子供の数の減少と合わせてそんなふうに減少させていいものなんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
下村国務大臣 これは、問題意識は全く同じだと思いますが、前から比べると、今、学校現場は大変に複雑化、そして困難化しております。また、時代の変化に対応した新しい教育にも取り組まなければならない、そういう状況があります。ですから、加配教員というのは充実させることこそが求められるというふうに思います。
 文部科学省として、具体的に、いじめへの対応、特別支援教育など、学校が対応しなければならない、そういうところに対する加配。それから、今、外国人の子供もふえております。個々のニーズに応じた対応ということでは、やはり加配教員の果たす役割が大きいと思います。
 また、あわせて、グローバル社会に対応する主体的、協働的な学びであるアクティブラーニング、これは、一クラス三十五人、四十人ではなかなか効果が上がらない。少なくともその半分程度の人数で行うということになりますと、アクティブラーニングにおいて倍の教員が必要だということにもなってくるわけでありますが、そういうふうな指導体制の充実がこれから求められるところであります。
 そういう意味で、機械的な削減ということではなく、加配定数について、それから、全体的な教員定数そのものについて、戦略的な充実という視点で考えていくことが必要なことだと思いますし、ぜひそれを財務省の方にも主張してまいりたいと思います。
畑野委員 大臣がおっしゃられたように、加配が必要だということと、根本的には、教職員、ここを本当にしっかりと定数を改善していく、この二つが大事だというふうにおっしゃったと思うんです。
 加配というのは、養護教諭とか事務職員の複数配置とか、あるいは少人数学級などに活用されているわけですね。同時に、本来、基礎定数を改善するということで対応するのが、私、必要な定数だというふうに思うんです。
 それで、私、この間も申し上げましたが、二月二十三日の予算委員会で、三十五人学級の推進を国として決断していただきたいということを下村文部科学大臣にも申し上げ、また安倍総理大臣にも質問をいたしまして、安倍総理からは、全会一致という重さをかみしめながら、さらに三十五人学級の実現に向けて鋭意努力をしていきたいという答弁をいただいたところでございます。
 それから、三月二十七日に、この委員会で下村大臣に、三十五人学級を前に進めるために、この夏に作成する二〇一六年度概算要求にきちっと要求してほしいということも申し上げて、大臣から、前向きに検討を進めてまいりたいというお答えもいただいたところなんです。
 それで、さらに前回のこの委員会では、すばらしいことに決議が上がりまして、本当に各理事の皆さんを先頭にまとめてくださいまして、「教職員定数の計画的な改善に当たっては、義務標準法を改正し、小学校二年生以上においても、学級編制の標準を三十五人に引き下げるなど、平成二十三年に改正された義務標準法の附則第二項の趣旨の実現を期すべきこと。」ということなど、決議を全会一致で上げたわけでございます。
 こういう点で、ぜひ下村文部科学大臣におかれましては、三十五人学級を法改正によって拡大させていく、前進させていく。この委員会初め全員でバックアップするという決議を上げて、もう機は熟していると思うんですね。ぜひ、来年度予算、二〇一六年度概算要求に向けて、そういう立場で取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
下村国務大臣 前回も、衆議院の文部科学委員会で、その前日には参議院の文教科学委員会で同じ決議をしていただいて、背中を押していただいていることを本当に感謝申し上げたいと思います。
 現在、三十五人以下学級については、小学校一年生についてのみ法律上、そして二年生については加配措置によって実現しているわけであります。
 三十五人以下学級は、よりきめ細やかな指導が可能となることから、学校現場などから要望も多く、少人数学級の推進は望ましいことは当然であります。一方で、厳しい財政状況のもとで、授業の質の向上に向けた多様な取り組みや自治体の創意工夫を踏まえつつ、柔軟で効果的な定数改善を早急に進めていくことも必要であります。
 文科省としては、引き続き、きめ細やかで質の高い指導体制の構築に向けて、御指摘がありました義務標準法の改正も含めたさまざまな方策について、しっかり検討してまいりたいと思います。(畑野委員「来年度予算、どうですか。概算要求」と呼ぶ)
福井委員長 では、概算要求について。
下村国務大臣 今年度の概算要求に入れることも含めまして、さまざまな方策、義務教育法の改正も含めて検討してまいりたいと思います。
畑野委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。