第189回国会 2015年5月20日文部科学委員会

夜間中学 設置広く「ニーズに応えて」

 日本共産党の畑野君枝議員は20日の衆院文部科学委員会で、夜間中学のニーズに応えて設置を広げるよう求めました。

 公立中学校の夜間学級いわゆる「夜間中学」の実態調査が初めて文科省によって実施され、今月、結果が公表されました。夜間中学は現在8都府県31校にとどまっています。

 調査結果について小松親次郎初等中等教育局長は「相当数の道県から設置を求める要望が多かった。不登校等により義務教育を十分に受けられなかった人も含め、一定のニーズの存在が明らかになった」と答えました。

 昨年、政府が全都道府県に設置する方針を決定したことについて畑野氏は、39道県に開設されたとしても県に1校では十分ではないと指摘。「夜間中学が設置されている自治体の要望も聞き、対象者の受け入れの改善を図ることが必要だ」と要望しました。

 下村博文文科相は「県も含めた自治体間の役割分担をふまえて、(就学希望者が)できるだけ近くの夜間中学に通えるよう環境整備に努めたい」と答弁しました。

 畑野氏はさらに、遠距離通学の生徒の通学費負担、修学旅行費用の問題にふれ、就学援助の改善、就学援助に類する経済的支援が必要だと主張。小松局長は「どういう対応ができるか検討したい」と述べました。

( 「しんぶん赤旗」2015年5月22日付け )

 

新国立集中審議を 計画見直し説明要求

 日本共産党の畑野君枝議員は20日、衆院文部科学委員会で質問に立ち、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場計画の見直しについて政府の説明責任を追及し、国会での集中審議を求めました。

 下村博文文科相は18日に、新国立競技場における東京五輪・パラリンピックを「屋根なしで開催」すると突然表明しました。畑野議員はそのことにふれて、「国民や都民に公表されず、議論もされないですすめられることは問題。説明責任を果たしてほしい」と訴えました。

 下村文科相は計画変更の理由について、従来の屋根つきの建設計画では19年のラグビー・ワールドカップ(W杯)に間に合わないと釈明。今後は「説明責任を果たしていきたい」と答弁しました。

 畑野議員は同委員会の福井照委員長に対し、集中審議を開くよう求めました。

 畑野議員はまた、建て替え前の国立競技場に飾られていた13の壁画作品が、大切な芸術作品でありレガシー(遺産)だという観点から、保存のあり方について質問しました。

 久保公人スポーツ・青少年局長は「すべての作品が(新国立競技場の)敷地内に保存されるのがのぞましいという観点から(日本スポーツ振興センターと)相談にのっていく」と答弁しました。

( 「しんぶん赤旗」2015年5月21日付けより )

 【会議録】

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 中学校の夜間学級、いわゆる夜間中学について質問いたします。
 このたび、文部科学省が夜間中学の実態調査を初めて実施しました。私が夜間中学について国会で初めて質問したのは二〇〇三年のことでした。この間の国会で、各委員の皆さんによって議論がされてまいりました。
 文部科学省による夜間中学の実態調査の結果、具体的にはどのようなニーズが明らかになったのでしょうか。伺います。
小松政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の実態調査におきましては、まず、夜間中学未設置の相当数の道県において、設置を求める要望が多く出されているということが明らかになっております。
 それから、ボランティア等により運営される、いわゆる自主夜間中学や識字教室に通っている方々がこれも相当数存在しているということ、さらに、その中には、不登校等によって十分な教育を受けないまま、しかし中学校は卒業した、いわゆる形式卒業者の方々も含まれていること、既に夜間中学が設置されている自治体においても、ほかの自治体の在住者の方からの入学の問い合わせがあること、こうしたことがわかってきておりますので、私どもといたしましては、夜間中学の設置に関しまして、一定のニーズの存在がこういう形で明らかになったものと受けとめております。
畑野委員 文部科学省として初めての調査で夜間中学のニーズが明らかになったということは大事だと思うんです。
 夜間中学のある卒業生の方が次のように言っているんですけれども、私は、夜間中学に入って勉強できたことはとても幸せに思います。本当に学びの原点というのが伝わってくる言葉だというふうに思います。
 文部科学省は、昨年から、全都道府県への夜間中学設置の方針をとるようになりました。現在、八都府県、三十一校あるというお話もございます。自治体によりましては、夜間中学入学の対象者は、市内在住者あるいは市内で働いている在勤者というところもあります。今後、残る三十九道県に夜間中学が開設されるということになりますが、日本全国どこに住んでいても夜間中学に入学できる道が開かれるとは言えない状況になりかねないのではないかというふうに思っております。もちろん、都道府県で一校では十分ではありませんし、今、夜間中学がある都府県でさらに設置を広げる必要が出てくるところもあるでしょう。
 そこで、下村文部科学大臣に伺います。
 文部科学省は、当面、各都道府県に一校の夜間中学設置を進めるというときに、あわせて、夜間中学が設置されている自治体の要望も聞いていただいて、そこでの対象者の受け入れの改善を図る必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
下村国務大臣 夜間中学への入学に関しては、設置主体である市、区の在住者や在勤者に限られているという御指摘がありましたが、一方で、同じ都道府県内の在住者や在勤者に入学を認めている例も結構あります。
 文科省としては、御指摘のように、各都道府県に少なくとも一つの夜間中学を設置したいと思っておりまして、教育機会の確保を図ることが重要であると考えます。就学希望者は、夜間中学が設置されていない自治体にも当然、各県一つですから、それの方が多くなるということになってまいりますので、設置自治体と未設置自治体との間で経費面や広報面も含めた役割分担や連携を行う必要が、御指摘のようにあると思います。
 このため、平成二十七年度予算に盛り込んでいるモデル事業を活用して、未設置道県における設置に向けた取り組みを進める中で、県も含めた自治体間の役割分担を検討していただくことによって、どこに住んでいても、できるだけ近くの夜間中学に通えるような環境整備に努めてまいりたいと思います。
畑野委員 その点では、ぜひ国としても、財政的な支援も含めて進めていただきたいと思うんです。
 そこで、先ほど、調査の結果がありましたけれども、大臣に確認なんですけれども、このニーズがあるということ、それはもう今度の調査ではっきりしたということを大臣からもお聞きしたいんですが、御確認させていただいてよろしいですか。
下村国務大臣 先ほど、不登校の子がそのまま中学を卒業しているということに対して、もう一度勉強したいのであればぜひ勉強できるような機会をつくるというのは、これは当然あるべき話だと思いますし、今回の調査で私が驚いたのは、外国人の方が八割、夜間中学に通っている。先ほど郡委員からも御質問がありましたが。
 これは、その一人一人の外国人の人だけでなく、我が国における社会的なコストを考えれば、それは、日本に住んでいる全ての人は、教育におけるチャンス、可能性を提供することによってより能力を高める、それが就職にもつながるし、また、それが経済発展にもつながるということを考えれば、できるだけ夜間中学のニーズに対してはしっかりとした対応をとっていくということが、個々の方々の希望者だけでなく、国にとっても大変重要なことだというふうに認識しております。
畑野委員 そして、各都道府県に一校以上の夜間中学設置を進めた場合に、遠距離、遠いところから通学する生徒にとっては通学費が重い負担になると思います。また、修学旅行などの経済的な負担も出てくると思うんです。
 現行の制度では、学齢を超えた人については就学援助が適用されないということで、その改善、少なくとも就学援助に類する経済的支援が必要になってくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
小松政府参考人 私どもの考え方について御説明を申し上げたいと思いますが、まず、国におきましては、経済的理由によって就学困難な学齢生徒の保護者に学用品を給与する等の就学援助を行うこれは市町村がありました場合に、要保護者に係る経費の一部を補助するという仕組みをとっております。
 次に、夜間中学校に通う学齢を超過した方への支援につきまして見ますと、これは各地方公共団体において、さまざまでございますけれども、地域の実情等を踏まえて対応がなされているところでございまして、この中には、通学費等を含めた就学援助が実施されている例もございます。
 そこで、文部科学省といたしましては、夜間中学の設置を促進するという考え方でございますので、平成二十七年度予算において、この未設置のところにつきまして、地域の実態や具体の学習ニーズに即して、設置に向けた課題やその解消策を検討するための調査研究に係る経費を措置したところでございます。
 御指摘の点につきましては、各県最低一つの夜間中学を設置していくという考えに立って、まず、その設置市町村における就学援助の対応状況、それから未設置道県における検討状況、これらを把握いたしまして、どういう対応が必要か、できるか、これを検討してまいりたいというふうに考えております。
畑野委員 下村大臣からも、ニーズに応えたいということですので、今後も、ぜひ現場の声を聞いていただいて進めていただきたいと思います。
 次に、新国立競技場問題について伺います。
 東京オリンピック・パラリンピックについては、簡素で無理のない取り組みを求める多くの国民や都民の皆さんの声をしっかり聞いていただいて、準備を進める必要があると思います。
 メーン会場となる新国立競技場の建設計画を見直す方針について、下村文部科学大臣は五月十八日にそのことを明らかにいたしました。国民や都民については、説明も公表もされないで、議論もされないで済むというのは私は問題があると思いますので、下村文部科学大臣に伺います。
 新国立競技場の建設計画の変更について、その事実関係はどのようになっているのか、そして、今後これをどういうふうに進めていくのか、説明を求めます。
下村国務大臣 国立競技場の整備につきましては、独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCにおきまして、昨年八月から実施設計を行っているところでございます。
 その中で、設計者側から、二〇一九年春に竣工させるためには、整備内容の一部について工夫、見直しを行う必要があるとの意見が出されたという報告を受けております。
 政府としては、ラグビーワールドカップそれからオリンピック・パラリンピックを開催をする二〇一九年春の竣工が、これはもう必須である。この設計者の方の話ですと、二〇一九年の春に間に合わないということになってきているということだったものですから、その話を受けて、これはもうJSCだけでは対応は難しいということで文科省にも相談が来ましたので、その結果、開閉式遮音装置、これは国立競技場の天井部分でありますが、なぜ開閉式遮音装置をつけるのかというのは、オリンピック・パラリンピックが終わった後、ここを文化活動、コンサートもできるような会場として使用する。今までは、騒音問題がありましたので年に一度程度しか開催できませんでした。これがあいていれば、いつでも活用するためには、開閉式の遮音装置をつける必要がある。しかし、これはオリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップで必要なものではないので、この工事だけで二、三カ月はかかる、それが二〇一九年の春竣工に間に合わない理由の一つだということを設計者側から言ってまいりましたので、このことについては、オリンピック・パラリンピック大会閉幕後に施工するということを決定をさせていただきました。
 それから可動席、これも、終わった後、九万席全部は必要ありませんので、これを仮設化することによって、終わった後、一部可動席の削減等も検討している。そのことによって、設計者側からすると、二〇一九年の春の竣工には間に合うということでありますので、間に合うことを前提で今話し合いをしております。
 このことについては、最終的にはJSCと施工予定者との間において契約手続を行うこととなりますが、その前提となる整備方針については、速やかに検討を進めていくことによって、この工事着工は十月予定でありますので、その十月の工事予定には間に合うように、工事契約締結それからこの手続等しっかりしながら、随時、説明責任を果たしてまいりたいと思います。
畑野委員 ぜひ、随時、説明責任を果たしていただきたいと思います。
 一九六四年の東京オリンピックの象徴とも言える国立競技場は、いろいろな意見がある中で解体されました。
 最後に伺いたいのは、国立競技場記念作品である壁画十三作品はどのように保存されるのか、伺います。
久保政府参考人 国立競技場敷地内に設置されております壁画等の記念作品につきましては、全ての作品が新しい国立競技場の敷地内に保存できるよう一時保存することを昨年決定したところでございますけれども、特に壁画につきましては、作品の大きさが数メートル四方となりますので、どういう保存場所があるのかということを検討してまいりまして、この三月末までに、新競技場の建物内及び外壁での保存の可能性の検討を行ってまいりまして、保存の可能性がある場所は七カ所程度あることが判明したところでございます。
 今後、具体的にどういう形で保存するかという検討を進めていくことになるところでございますけれども、文科省としても、全ての記念作品が国立競技場敷地内に保存されることが望ましいという観点から、いろいろ相談に乗ってまいりたいと考えております。
畑野委員 時間が参りました。新国立競技場の問題については、福井委員長、引き続き、集中審議を含めて議論を進めていただきたいと思います。
 そのことを言って、終わります。