第189回国会 2015年3月10日 予算委員会第三分科会

米原子力艦/災害対策見直し早く/配備中止求める/畑野衆院議員

 日本共産党の畑野君枝議員は10日の衆院予算委員会分科会で、福島第1原発事故を受けても、米軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備されている米原子力艦の災害対策が見直されていないことを批判し、原子力艦の配備中止を求めました。
 畑野氏は、横須賀市の吉田雄人市長が、福島原発事故で国の防災基本計画が改定されたことをふまえ、原子力艦災害対策についても政府の考えを示すよう2度にわたり求めていることを指摘しました。
 内閣府の日原洋文政策統括官は、今なお原子力艦災害対策の検討体制も「定まっていない」と答弁。畑野氏は、1999年のJCO臨界事故(茨城県東海村)では、2年半後に検討体制を確立したとして「福島原発事故から4年だ。遅れていると言わなければならない」と述べ、同対策の見直しを進めるように重ねて求めました。
 岸田文雄外相は「外務省として、しっかり責任を果たすよう督励していきたい」と答えました。
 畑野氏はまた、厚木基地周辺で米軍機が昼夜問わず人口密集地の上空を飛行し、深夜の艦載機訓練では100デシベル超の爆音で午前1、2時まで訓練を続けていることを示し、「日米合同委員会の合意では22時以降の訓練は原則禁止だ。すぐにやめるよう米国に求めるべきだ」と迫りました。
 岸田氏は「日米合同委員会合意の順守をしっかり働きかけたい」と述べました。
(
2015年03月12日付 しんぶん赤旗より転載)

 【会議録】

第189回国会 2015年3月10日 予算委員会第三分科会

畑野分科員 日本共産党の畑野君枝です。
 初めに、神奈川県横須賀市に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントンについて伺います。
 私は、一九九九年十一月、国会で、神奈川県横須賀市などに寄港する原子力潜水艦に対して地方自治体から出されている米国の原子力軍艦の放射能事故対策への緊急要望に国が応えるよう質問し、当時の科学技術庁長官は、異常が発生したときの対応の必要性を初めて認められ、地方公共団体との十分な協議を約束されました。
 さらに、二〇〇〇年三月、私は、米国原子力艦船の災害について防災基本計画に位置づけるよう求め、それはその後、加えられることになりました。
 そして、原子力艦の原子力災害対策マニュアルが二〇〇四年八月に策定されました。
 その後十年たちまして、このたび私は、国会へ衆議院議員として送っていただきました。
 この十年の間に、横須賀市には、二〇〇八年、米国の原子力空母ジョージ・ワシントンが、多くの市民の反対にもかかわらず初めて配備されるという事態が起きました。しかも、二〇一一年の東日本大震災と福島第一原発事故を受けて原発の避難基準が見直されたにもかかわらず、原子力艦の避難基準の抜本的な見直しはされないままになっております。
 横須賀市では、一昨年、二〇一三年の四月に続いて、昨年、二〇一四年八月にも、横須賀市長が、原子力艦に関する地域防災計画について、国の防災基本計画が改定されたことを踏まえ、政府としての考えを示してほしいと岸田外務大臣に要請されてまいりました。
 そこで、内閣府に伺います。二〇〇四年の原子力艦の原子力災害対策マニュアル策定は、どのような体制、日程で行われたのですか。
日原政府参考人 お答えいたします。
 原子力艦の原子力災害につきましては、平成十四年四月の中央防災会議におきまして、防災基本計画の中に原子力艦の原子力災害対策に関する国、地方公共団体等の関係機関の活動事項を定めた章が追加されたことを受けまして、これに関する技術的な検討を行うため、平成十四年七月に、学識経験者、関係省庁、関係地方公共団体から成る原子力艦災害技術検討委員会が立ち上げられました。
 この検討委員会におきまして平成十五年三月に取りまとめられた報告書の内容等を踏まえまして、平成十六年八月に中央防災会議主事会議におきまして原子力艦の原子力災害対策マニュアルを申し合わせたところでございます。
畑野分科員 その中で、検討チームというのはどういうふうに進められたんですか。
日原政府参考人 お答えいたします。
 検討チームにおきましては、第一回を平成十四年七月四日に開催いたしまして、以後六回開催し、三月三十一日にまとめております。
畑野分科員 どういう方々が入っていらっしゃるか、紹介していただけますか。
日原政府参考人 お答えいたします。
 学識経験者の方が六名、それから行政関係者、これは各省庁が入ってございます。そのほかに、関係地方公共団体として、神奈川県、長崎県、沖縄県、横須賀市、佐世保市、勝連町でございます。
畑野分科員 そのようなことが取り組まれたというふうに伺いました。
 それで、内閣府に引き続き伺いたいんですが、原子力艦の原子力災害対策マニュアルなんですが、今後の見直しについてどのような体制で行う予定ですか。
日原政府参考人 原子力艦の原子力災害対策マニュアルの見直しにつきましては、現在政府内で行っております東京電力福島第一原子力発電所における事故を踏まえた原子力安全規制の見直しの検討結果を踏まえて関係省庁におきまして対処することといたしておりますので、まだ検討体制について定まったものはございません。
畑野分科員 あすで東京電力福島第一原発事故から四年目を迎えます。本当に見直しがおくれていると言わなければなりません。
 ところで、横須賀市には、原子力発電用燃料製造会社として発足したグローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパンがあります。サイクル施設の原子力災害対策指針について、今後の検討日程はどのようになっているか、原子力規制庁に伺います。
片山政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のグローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパンなどの核燃料加工施設を含めまして、実用発電用原子炉以外の原子力施設に係ります原子力災害対策重点区域につきましては、現行の指針におきましても、各施設の特性等に応じて施設ごとに設定をいたしているところでございます。
 他方で、これらの重点区域につきましては、現行の指針におきまして、実用発電用原子炉に係る考え方も踏まえて見直しを行うこと、これが検討課題とされております。これも含めまして、現在、原子力規制庁において技術的な検討を進めているところでございます。
 委員御指摘の核燃料サイクル関連の施設、非常に多様なものがございます。それらについてしっかりと技術的な検討を進めた上で、指針の改定案というのを規制委員会で御議論いただければというふうに考えてございます。
畑野分科員 そうしますと、今見直しが進められているということでよろしいですか。
片山政府参考人 原子力規制庁におきまして技術的な検討を進めているところでございます。
畑野分科員 岸田外務大臣に伺います。
 横須賀市長が繰り返し原子力艦の災害対策マニュアルの見直しを岸田外務大臣に求めておられます。岸田外務大臣としてどのように受けとめていらっしゃいますか。
岸田国務大臣 原子力艦の原子力災害対策に関しましては、委員から御指摘がありましたように、平成二十五年四月そして平成二十六年八月に、横須賀市の吉田市長から私宛ての要請書をいただいております。政府としても、本件に対する横須賀市の高い関心については十分認識をしているところであります。
 そして、原子力艦の原子力災害対策の見直しについては、先ほど内閣府からも答弁がありましたように、現在行っている東京電力福島第一原子力発電所における事故を踏まえた原子力安全規制の見直しの検討結果等を踏まえ関係府省において適切に対処していく、こういった考えに基づいて取り組みを進めているところであります。
 この問題に関する政府内での議論の調整にはなお一定の時間が必要であることは御理解いただきたいと思いますが、外務省としましては、原子力艦の安全に対する地元の信頼を維持していくことの重要性、これは強く認識をしております。横須賀市を初めとする関係地方公共団体等の高い関心を踏まえ、関係府省とともにぜひ適切に対応し、努力を続けたいと考えています。
畑野分科員 横須賀市は、市民の安全確保は当然図っていかなければならない、それから、市には、年間二百日を超える期間、米海軍の原子力艦が寄港している状況がある、そして、東日本大震災が起きて、政府内での議論を加速してほしい、こういうことを岸田外務大臣に要請されているわけですね。ですから、大臣、今おっしゃいましたけれども、ぜひそれが促進するように進めていただきたいと思いますが、いかがですか。重ねて伺います。
岸田国務大臣 今申し上げましたように、政府としましては、しっかりと検討を重ね、そして適切な対応をしていかなければならないと存じます。こうした要請書をいただいた身としましても、外務省としてしっかり責任を果たすよう督励をしていきたいと考えます。
畑野分科員 岸田外務大臣から、外務省としてもしっかり督励をしていくという御答弁がございました。
 現在既に入港している原子力艦の原子力災害対策について早急に見直しを行うというのは当然のことでございます。私は、やはり大もとには原子力空母等の配備があるわけで、これは今後、日本政府は認めるべきではないということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 次に、厚木基地の爆音問題について伺います。
 沖縄に次いで米軍基地が集中しているのが神奈川県です。厚木基地周辺では、航空機の爆音に周辺住民は長年悩まされ、苦痛を押しつけられてまいりました。
 防衛省に伺います。住民から、周辺自治体や神奈川県とともに、防衛省にも多くの抗議や深刻な苦情が寄せられていると思いますが、昨年は何件寄せられましたか。
山本政府参考人 お答えいたします。
 平成二十六年一月から同年十二月の間に防衛省が受けました厚木海軍飛行場関連騒音苦情件数は千六百七件でございます。
畑野分科員 国に寄せられているのは、昨年、千六百七件ということでございました。大変な数です。あわせて、神奈川県と、大和市、綾瀬市を初めとした厚木基地周辺九市では、昨年、五千三百三十一件もの苦情が寄せられております。合わせたらさらに大きな苦情の件数になるわけです。
 人口密集地域で、学校も病院も幼稚園や保育園もある地域を、昼夜の別なく米軍機は爆音をまき散らして訓練をしております。さらに、欠陥機であるオスプレイが厚木基地に飛来をいたしました。
 最近の三年間、空母出港後の数日間、二十二時、夜十時から深夜にかけて多数の艦載機の飛行が行われており、深刻な被害を市民に与えております。
 配付資料をごらんいただきたいと思うんですが、最初にございますのが、大和市基地対策協議会の要望書の資料でございます。二枚目をごらんいただきたいんですが、深夜の艦載機騒音により二百万人以上が被害を受けているという資料でございます。
 これによりますと、昨年、二〇一四年、空母は五月二十四日に出港し、五月二十五日から二十六日にかけて深夜の艦載機の飛行が行われ、最高音は百六・七デシベル、最後の飛行時刻が午前零時五十六分、真夜中、騒音測定回数は十六回に及びました。さらに、一昨年、二〇一三年、空母は六月二十六日に出港し、六月二十九日から三十日にかけて深夜の艦載機の飛行が行われ、最高音は百七・六デシベル、最後の飛行時刻は午前二時二十五分です。騒音測定回数は二十回になっております。二〇一二年も資料のとおりです。
 百デシベルを超える爆音というのは、間近で聞くクラクションにも相当する騒音で、深夜の静寂が突如打ち破られ、安眠を妨げられるなど、日常生活に深刻な被害を受けていると市民は訴えておられます。電車が通る際のガード直下の騒音とも言われております。
 そもそも、住宅地での飛行訓練は、夜間も、そして昼間も、やめさせるべきです。
 岸田外務大臣に伺います。少なくとも日米合同委員会の合意では、二十二時、夜十時以降の航空機などの飛行は原則禁止にしているというわけですから、これはすぐやめさせるように米国に求めるべきではありませんか。
岸田国務大臣 御指摘のように、米軍機による騒音問題は、周辺住民の方々にとって大変深刻な問題であると認識をいたします。
 日米合同委員会の合意につきましても、外務省としては、これまでも、騒音規制措置の遵守を繰り返し求めてきております。しかしながら、こうした御指摘のような状況であります。地元に与える影響を最小限にしなければならないと考えますし、そのために一層の努力が求められると考えます。日米合同委員会合意の遵守など、ぜひしっかりと働きかけは続けていきたいと考えます。
    〔主査退席、小林(鷹)主査代理着席〕
畑野分科員 今、岸田外務大臣がお答えになりましたように、日米合同委員会の合意で決めていることは遵守をしっかり求める、地元への本当に大変な被害をなくすために取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つ、資料の三枚目のところにつけさせていただきましたが、「神奈川県と周辺九市への一日の苦情件数 着艦訓練とジョージ・ワシントンの出入港」という棒グラフの資料をごらんください。
 深夜の爆音は、空母が出港して、艦載機が着艦資格取得訓練のために深夜に厚木基地に戻ってくることによるもので、資料で、着艦資格取得訓練を行っている昨年の五月二十五日から二十七日ころに苦情が急増しております。二十六日に百七十六件、二十七日に百七十五件と、このように高いグラフになって、苦情が寄せられております。
 それで、着艦資格取得訓練は洋上で空母の甲板に着艦する訓練で、この試験というのは相模湾沖の太平洋上で実施されております。深夜に訓練を終えた艦載機が厚木基地に戻ってきて爆音をまき散らす、このようなことはやめるように米国に求めるべきではありませんか。
冨田政府参考人 厚木基地を取り巻く騒音の問題につきましては、ただいま外務大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、騒音問題の深刻さ、外務省としても強い問題意識を持っておりますので、合同委員会による騒音規制の遵守を繰り返し求めているところでございます。
 特に、今御指摘のございました着艦資格取得訓練との関係では、恒常的な空母艦載機の着陸訓練施設の整備が課題となっております。この点につきましては、平成二十三年六月二十一日の2プラス2の合意文書に基づきまして、現在、我が国の南西地域における防衛態勢の充実のための自衛隊施設を整備し、あわせて、その施設において、FCLP、空母艦載機着陸訓練でございますけれども、これを実施することについて検討を進めているところでございます。
 このような恒常施設ができるまでは、引き続き、可能な限り硫黄島で全てのFCLPを行うよう米側に求めていく、そういう考えで対応していく所存でございます。
畑野分科員 その後も、相模湾沖で着艦資格取得訓練が行われるというような米海軍司令部の報道もありまして、横須賀に空母の母港があるということが根本にあると思うんです。ですから、空母の母港は撤回すると先ほど私申し上げましたが、と同時に、人口密集地ですから、厚木基地を撤去していくことを米国に求めるべきだということを申し上げたいと思います。
 防衛省の方でこの問題についてございますか。いいですか。
山本政府参考人 お答え申し上げます。
 日ごろから厚木飛行場周辺の住民の皆様方には航空機の騒音により大変な御迷惑をおかけしているということは、十分認識をしております。
 米空母艦載機着陸訓練終了後の深夜飛行につきましては、米側としては厚木海軍飛行場騒音規制の遵守に努めているものと認識をしておりますが、米軍の運用上、やむを得ず二十二時以降の飛行を必要とする場合があると考えております。
 防衛省といたしましては、米側に対し、二十二時以降の飛行等の活動は運用上の必要に応じ緊要と認められる場合を除き禁止される旨定めた当該騒音規制を遵守するよう機会を捉えて要請しており、FCLP終了後の深夜飛行については、改めて米側に十分な配慮を要請しているところでございます。
 当省といたしましては、引き続き、米側に対し、深夜の飛行による周辺地域に与える影響を可能な限り軽減するよう求めてまいる所存でございます。
畑野分科員 可能な限り求めるではだめなんですね。ですから、これは本当に、日米合同委員会の合意を遵守するということで、きちっとそれはやっていただきたい。外務省からも先ほどあったことを、私はもう一度防衛省にも申し述べたいと思います。
 続いて、横須賀には、さらに夏までに新たにイージス艦二隻、二〇一七年夏までにさらにイージス艦一隻が配備される計画が明らかにされております。米艦船十一隻態勢から十四隻態勢となり、基地機能は格段と強化されようとしております。これは、基地の整理、縮小、返還という神奈川県の県是にも逆行するものです。米兵による犯罪、事故が増加するのではないかという住民の不安が増しております。
 空母ミッドウェーが横須賀を事実上の母港としてから四十年以上が経過する中で、神奈川県内でも絶えず米兵による犯罪が繰り返されてまいりました。
 二〇〇六年一月三日には、空母キティーホークの乗組員の米兵による女性強盗殺人事件が起きました。被害者の遺族山崎さんから、犯人の米兵と米軍、そして米兵を駐留させている日本政府の責任を追及する損害賠償請求訴訟が起こされました。
 この事件は、最高裁まで争われ、判決は確定しております。補償はどうなっておりますか。米側にどのように働きかけているのですか。
山本政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねの事案につきましては、平成十八年一月三日、雑居ビル前路上を出勤のため歩行しておられた被害者から米側当事者が金品を強奪しようと企て、被害者の顔面、腹部等を殴打するなどして殺害したものであると承知をしております。
 この事案に関しましては、米側による補償金の支払い手続が進められており、現在、米側において審査が行われているところでございます。
 防衛省といたしましては、被害者の早期救済が図られるよう、引き続き米側に働きかけてまいる所存でございます。
畑野分科員 最高裁の判決から一年九カ月、事件から九年もたつんですね。どういうふうに進めているんですか。
山本政府参考人 お答え申し上げます。
 本件につきましては、平成十八年十月に提起されました米側当事者及び国に対する損害賠償請求に係る判決が平成二十五年六月に確定したことを受け、米側による補償金の支払い手続が進められているものでございまして、防衛省といたしましても、米側に対する働きかけを鋭意行ってきておるところでございます。
畑野分科員 それが進まないということは、どういうことが問題なんですか。
山本政府参考人 現在の時点まで米側における手続が了していないというところでございますけれども、引き続き、防衛省として、米側に対する働きかけを続けてまいりたいというふうに考えております。
畑野分科員 損害賠償金と遅延損害金、これは一体不可分です。遅延損害金というのは、利息ではなくて、償われるべき正当な権利だということを米側にしっかり言う必要があるということを私は申し上げておきます。
 それでは、二〇〇六年、同じ年の九月十七日に、タクシー代を払わずに乗り逃げしようとした米兵らを追いかけた運転手が逆に暴行を受け、全治一カ月の傷害を負わせられた事件の補償はどうなっていますか。
山本政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねの事案につきましては、平成十八年九月十七日、米側当事者がタクシー料金を支払わずに乗り逃げしようとしたため、被害者が米側当事者を追いかけ、タクシー料金を請求したところ、米側当事者が被害者の顔面を殴打する等の暴行を加え、傷害を負わせたものと承知をしております。
 この事案に関しましては、米側による補償金の支払い手続が進められていたところ、平成二十四年三月二十九日に米側から提示された示談の内容に請求者が同意しなかったため、現在、米側において改めて検討が行われているところでございます。
 防衛省といたしましては、被害者の早期救済が図られるよう、引き続き必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
畑野分科員 示談書について、法的な観点から不合理な内容にならないようにしていく、米兵犯罪の被害者に対する早期補償の実現を図るように求めておきます。
 次に、二〇〇四年に返還合意された神奈川県横浜市の米軍基地について伺います。
 私は、二〇〇三年一月、国会で、深谷通信所、富岡倉庫地区、上瀬谷通信施設、根岸住宅地区の四つの米軍基地について、日米で返還協議が始まることについて質問いたしました。
 そこで、米軍根岸住宅地区内部の米軍に接収されなかった地域に居住する御夫妻が訴えている問題について伺います。
 日常生活などで不当な制限を受けている上に、昨年八月二十五日に米軍は二カ所のゲートを閉鎖しました。年内にも根岸住宅が閉鎖されるという話を聞かれて、ゲートがきちっと使えるのか、また、米軍の変電施設を経ている電気や上下水道など、ライフラインはどうなるのかと心配されているんです。政府はどのように対応されるお考えですか。
    〔小林(鷹)主査代理退席、主査着席〕
山本政府参考人 お答え申し上げます。
 根岸住宅地区に囲まれた土地、非提供地でございますけれども、ここに居住されている住民の方からは、これまで当省に対し、累次にわたり生活環境等に係る要望がなされており、これらの要望につきましては、当省から米側にその都度申し入れるとともに、必要な調整を行うなど、できる限り対応してきているところでございます。
 当省といたしましては、引き続き、当該住民の方の今後の生活環境等の確保に係る御不安や御懸念を踏まえ、米側や関係機関と必要な調整を行い、適切に対応してまいる所存でございます。
畑野分科員 横浜市ともきちんと相談して、心配のないようにやっていただけるということでよろしいですか。
山本政府参考人 米側や、横浜市を含みます関係機関と必要な調整を行い、適切に対応してまいる所存でございます。
畑野分科員 ここに居住される御夫妻は本当に御苦労されて、水道も、米軍とかけ合ってやっと整備をされる、そういう本当に人権侵害の状況がございました。一刻も早く救済されるよう、万全の措置をとることを求めておきたいと思います。
 それで、一つだけ確認です。
 深谷通信所ですが、市民が利用してきた野球場、これはどうなるのかという声が寄せられておりますが、これについてお答えをいただきたいと思います。
山本政府参考人 お答えいたします。
 平成二十六年六月三十日に米側から返還されました旧深谷通信所につきましては、返還後の国有地の適正な管理及び速やかな跡地利用に資するとの観点から、既存利用者に対し、平成二十七年三月三十一日までに原状回復を行うことを要請しているところでございます。
 他方、既存利用者である野球場利用者の方々からは、防衛省及び横浜市に対し継続使用に係る要望がなされたことを踏まえ、当省としては、公共性、公益性に鑑み、平成二十七年四月一日以降の野球場の利用について、横浜市及び財務省との間で協議を行っているところでございます。
畑野分科員 上瀬谷基地の返還に当たっても、今後しっかり進めていただくようにお願いをしたいと思います。確認ですが、よろしいですか。
山本政府参考人 上瀬谷基地の返還につきましても、既存の利用者の方々にも十分に説明をさせていただき、適切に対応させていただきたいというふうに考えております。
金田主査 時間が参りました。
畑野分科員 はい、わかりました。
 では、最後に一言申し上げて終わります。
 本当に、こういう基地があるゆえに被害が起きている、困難が生まれているということでございます。それをなくしていくためには基地の撤去が必要だということを申し上げて、私の質問を終わります。