日本共産党神奈川県委員会は25日、米軍МV22オスプレイの配備・飛行に反対するつどいを開きました。県委員会は「オスプレイ配備と飛行・訓練の中止を求める提言」を発表しました。

「提言」は、大和・綾瀬の両市にまたがる米海軍厚木基地には給油・整備の機能があるため、同基地で同機の飛行・訓練が行われる可能性が極めて高いと説明。墜落事故が多発する同機の危険性を指摘し、飛行・訓練は、同基地周辺の250万住民への爆音や墜落事故等の深刻な被害を更に高めるものだとして、県内の広範な自治体・団体・個人に、同機配備と飛行・訓練の中止を求める一点で共同する闘いを呼びかけています。

つどいでは、党中央委員会基地対策委員会責任者の小泉親司氏が「オスプレイ配備・低空訓練と日米安保」と題して講演しました。

はたの君枝参院神奈川選挙区予定者が、あいさつし、横浜市で起きた空母艦載機の墜落死亡事故について語り、「このような事故を繰り返してはなりません。基地の無い神奈川、日本を一緒につくりましょう」と訴えました。

横須賀基地、厚木基地、キャンプ座間で住民運動をしている代表がそれぞれ、活動報告しました。

25日オスプレイ

オスプレイ配備と飛行・訓練の中止を求める提言

2013年4月25日 日本共産党神奈川県委員会

はじめに

住民の生命と暮らしを脅かすオスプレイ配備と訓練

アメリカ海兵隊の輸送機MV22オスプレイ(以下、オスプレイ)は、2012年10月に沖縄の普天間基地に配備、訓練が開始され、2013年3月、四国でも訓練がはじまりました。

1月27日、“オール沖縄”の思いを安倍首相に直訴する「NO OSPREY東京集会」が4000人の参加で開かれ、沖縄県41自治体の全市町村長、市町村議会議長、県会議員代表らが参加して、28日安倍首相にオスプレイ配備撤回などの「建白書」を手渡しました。「建白書」は、9・9「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」を10万人余で開催したこと、1972年から基地被害が6000件近くにのぼり、その上、開発段階から事故を繰り返し多数の死者を出しているオスプレイを人口密集地の普天間に配備することは、「差別」以外なにものでもない・・・と強い調子で政府へ怒りをぶつけました。

オスプレイの日本への配備と訓練は、いま全国各地で「米軍の都合で、国民の生命と平穏な暮らしをそんなに簡単に脅かしていいのか」と、熱く鋭い問題を多くの国民に投げかけています。

厚木基地へのオスプレイ飛行・訓練で、予想される3つの危険

このオスプレイは、本土ルートなどの飛行・訓練のため、厚木基地の使用は不可避です。その結果、オスプレイ飛行・訓練の「3つの危険」が予想されます。

第一は、欠陥機であるオスプレイが県内上空を飛行・訓練することで県民は墜落の危険さらされます。

第二は、今までも、米軍艦載機の飛行・訓練による事故や爆音問題で厚木基地周辺250万人と県内各地で平穏な市民生活を脅かしているうえに、オスプレイ飛行で更に被害が深刻化します。

第三は、オスプレイが厚木基地を拠点とすることで、米軍の「戦争力」強化にいっそう加担する危険です。

沖縄県での2012年10月・11月の飛行・訓練の実態はどうだったでしょうか。沖縄県と18自治体が実施した調査の結果、オスプレイを目視した517件のうち、315件(6割)で「人口密集地は避ける」などとした日米合意に違反していました。そのほとんどは、学校や病院を含む人口密集地の上空を飛行したものです。

宜野湾市の南側の地区では、100デシベル(電車が通るガ―ド下に相当)を超える爆音や低周波が記録され、情緒不安を訴える人がでています。

宜野座村の米軍着陸帯から350メートルの民家では、「日中だけでなく、夜間にも無灯火でオスプレイが飛ぶ。爆音でテレビが聞こえないほどだ」「夜には、妻が2階の明かりをすべてつけ、民家だとアピールする」(3月18日付「しんぶん赤旗」)など、オスプレイ飛行のすさまじい被害が生じています。

日本共産党神奈川県委員会は、県民のみなさんとともに、オスプレイ配備と飛行・訓練の中止を求める一点で共同のたたかいを広げるため、「提言」を発表するものです。

1、こんなに危険な欠陥機オスプレイ

米国防総省は、2012年6月29日、オスプレイの日本配備を正式に日本政府に対して通報しました。同時に「MV22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー最終版」(環境審査報告書)を発表しました。

その主な内容は以下の通リです、

○ 普天間基地配備のCH46ヘリに代えてオスプレイを2013年までに24

機配備する。

○ 沖縄の訓練空域と、50ヵ所の戦術着陸帯で訓練を行う。

○ 静岡県のキャンプ富士と山口県岩国基地に分遣隊(2~6機)を派遣し、短

期展開(2~3日)を行う。長期間にわたる場合もある。

○ 日本本土の既存の7つの航法経路(低空飛行訓練ルート)で低空飛行訓練、

夜間訓練を行う。それぞれ年間55回、合計330回程度使用する。

(1)繰り返されてきた墜落事故

オスプレイの生産計画は、1981年末、陸・海・空・海兵の4軍の任務を満たす計画として始まり、陸軍が費用面で問題があると撤退。1989年に海兵隊の1号機が初飛行を行いました。その開発過程で30人が死亡、2005年の量産決定後も墜落事故を相次いで起こし6人が死亡しました。

開発段階で死亡30人、量産決定後6人死亡

オスプレイの主な事故は、次の通りです。

<開発試験段階>

<量産決定後>

1991年6月米デラウェア州、2人軽傷

2007年11月米ノースカロライナ州、

飛行中にエンジン出火、けが人なし。

1992年7月米バージニア州、7人死亡

2010年4月アフガニスタン、4人死

亡・16人負傷

2000年4月米アリゾナ州、19人死亡

2012年4月モロッコ、2人死亡・2人

重傷

2000年12月米ノースカロライナ州、

4人死亡

2012年6月米フロリダ州、5人重傷。

(2)安全装置もない世界一危険な欠陥機

① 「オートローテ―ション」(自動回転装置)という安全装置がない

オスプレイについて米国防総省国防分析研究所の試験・評価部長を務めたレックス・リボロ氏は、2003年12月にまとめた内部文書で、6つの欠陥を指摘しました。

もっとも重要な欠陥の1つは、オスプレイに「オートローテ―ション」(自動回転装置)という安全装置がないことです。オスプレイは、ヘリ機能と固定翼機能をあわせ持っていますが、とくに危ないのはヘリとして飛ぶ時です。普通のヘリは飛行中にエンジンが止まっても、機体の降下による空気の流れでプロペラを回し、浮力を得て着陸できるオートローテ―ション機能をもっていますが、オスプレイにはないのです。

米軍の「オスプレイ・ガイドブック」(2011年版)でも、「オスプレイはティルトローター機で、エンジン停止の際の緊急着陸ではオートローテ―ションに頼らない。2機のエンジンが停止しての着陸はほとんどありえないが、必要とあらば航空機モードで、タ―ボプロップ機のように滑空して着陸することができる」と書いてあります。

しかし、米議会でリボロ氏は、「(航空機モードで安全に着陸できるというこの主張は)自分をゴマ化しているか、あるいは故意に事実を歪曲している」と証言しました(米下院監査政府改革委員会、2009年6月23日)。

日本の航空法第10条、11条では、「自動回転機能」をもたないヘリは飛行できないことになっています。ところが、日米安保条約にもとづく「日米地位協定の実施にともなう航空法の特例に関する法律」(航空特例法)では、適用除外になって、欠陥機オスプレイが日本の空を飛ぶ「特権」をもっているのです。

② 構造に起因する欠陥を米会計監査院も指摘、しかし配備を強行

リボロ氏の内部文書は、更に5つの問題を指摘しています。

①ヘリコプター特有の失速現象である「ボルティック・リング状態(VRS)」で制御不能に陥る欠陥です。

②通常のヘリと比べ、PIO(パイロットの動作に起因する振動)が発生しやすい。

③左右にローターがあるという構造上、油圧・電気・機械系統が長く複雑になり、

不具合が生じやすい。

④飛行にともない発生する渦巻きなどにより、他の航空機と近接飛行していると制

御不能になる。

⑤着陸時に激しい吹き下ろしが発生し、周囲のものを吹き飛ばす。

左右に二つの回転翼をつけていることにより、従来のヘリや航空機では考えられない空気の流れが発生するため、操縦がきわめて難しいのです。

内部文書は、「これらの懸念の多くは、V22の構造に起因しており、(懸念を)軽減するのは難しいかもしれない」と明記しています。これらは、米会計監査院(GAO)の報告書でも再三指摘され、改善措置が求められていましたが、米海兵隊は2007年配備を強行しました。

2、厚木基地―艦載機の爆音被害のうえ、更にオスプレイの低空飛行と爆音

(1) オスプレイの厚木基地使用と拠点化の動向

2012年7月24日、衆院総務委員会で日本共産党の塩川鉄也議員が「(米軍報告書が)他の米軍施設に飛行することもあり得るとしている」「三沢基地、横田基地、厚木基地も含まれるのか」と質問したのに対して、防衛省の神風秀男政務官は「そういう理解でいい」と答弁しました。

7月25日、「爆音をなくし、米空母の母港に反対する厚木基地周辺住民の会」(以下、「厚木基地周辺住民の会」)は、オスプレイの厚木基地飛来に関して防衛省への申し入れを行いました。防衛省は、「オスプレイについては、運用上の必要性において国内の米軍施設・区域を使用することが排除されていません」と回答。「厚木基地も対象になるのか」との質問に対しても、「厚木基地に飛来してくる可能性は否定していない」と回答しました。

更に、11月5日と6日、「毎日新聞」「朝日新聞」「読売新聞」などは、「米側が厚木基地を使用する方針を日本側に伝えていた」と一斉に報道、基地周辺住民に衝撃を与えました。

11月7日に日本共産党神奈川県委員会と「厚木基地周辺住民の会」は、防衛省に抗議。マスコミ報道について防衛省は、「今後のオスプレイの本土における訓練などの運用については、広く本土各地の施設・区域に飛来すると聞いており、それ以上のことを米側から聞いていない」の回答を繰り返す一方で、新聞報道を否定せず、米軍がオスプレイの厚木基地飛来・使用と拠点化を行おうしていることがはじめて明らかになりました。

(2)自治体にも情報提供さえしない防衛省の米軍言いなりの態度

11月6日に神奈川県と基地関係11市、12月6日に神奈川県、県市長会、県町村会、基地関係11市は防衛省に対して、オスプレイの厚木基地使用についての情報提供を求めました。12月6日、防衛省は、「厚木基地を訓練の拠点として訓練するときには、事前の情報提供に努め、可能な限り情報提供する」と回答しましたが、未だに情報提供はされていません。また、当日の回答で「その他の輸送用務などで立ち寄る場合には、事前の情報提供が困難なこともある」と回答していますが、オスプレイが突然、厚木基地に飛来する可能性があることも示しており、あまりにも米軍言いなり、住民無視の態度です。

(3)オスプレイの東日本地域訓練における厚木基地の役割

キャンプ富士には、滑走路はあるが、給油・整備施設はない

「環境審査報告書」においてオスプレイの分遣隊を派遣するとしているキャンプ富士には長さ650m、幅18mの滑走路と管制塔はありますが、給油施設も整備施設もありません。2012年12月6日、山本達夫南関東防衛局長は、東富士演習場使用協定運用拡大委員会(演習場地権者、御殿場市、裾野市、小山町の行政関係者)に出席し、11月2日に森本敏防衛大臣(当時)が全国知事会議で本土訓練に関し、キャンプ富士を名指したことについて、「情報提供不足で住民に不安を与えた」と陳謝しました。そして、以下の内容の回答書を渡しました。それは、オスプレイの運用について「米側からは、キャンプ富士は、着陸帯での着陸訓練等使用する考えと聞いている。なお、米側からは、キャンプ富士は、現在、航空機の整備・補給機能を有しておらず、また、かかる機能を保有する具体的な計画もないと聞いており、この点からも、これまでの運用の態様の範囲内になるものと認識している」とするものです。

給油施設も整備施設もある厚木基地

キャンプ富士に給油・整備機能がないとなると、オスプレイの分遣隊がキャンプ富士に派遣されて本土訓練を行う場合に、どの基地で整備・給油をおこなうのかということが問題となってきます。

そこで浮上してきたのが厚木基地です。厚木基地には給油施設も整備施設もあります。これまでキャンプ富士に派遣された米海兵隊CH-46ヘリコプターの給油に厚木基地が使われてきました。3月15日に「厚木基地周辺住民の会」は南関東防衛局交渉を行い、「オスプレイがキャンプ富士に派遣され訓練をする際に給油はどこで行われるのか」と質問しました。これに対して南関東防衛局は「どこで給油するか承知していない」と回答しました。しかし、先ほども触れたように、12月6日に南関東防衛局長は「米側から、キャンプ富士は、現在、航空機の整備・補給機能を有しておらず、また、かかる機能を保有する具体的な計画もないと聞いている」と回答しています。

11月30日、山口県は防衛省からオスプレイの岩国基地運用について、「米側から主に給油などの中継地として使用されるとの説明を受けている」ことを明らかにしました。ですから、オスプレイのキャンプ富士への派遣の際、給油基地についても当然日米で話し合っているはずです。

厚木基地には、海外で唯一つの西太平洋艦隊即応センターもある

また、厚木基地には西太平洋艦隊即応センター(FRC-WP)があります。現在、空母艦載機の整備を担当していますが、米海軍の8つある整備センターの中で米国外にある唯一の即応センターです。即応センターの分遣隊は沖縄にもありますが、オスプレイの本土訓練の際の整備として厚木基地使用もあり得ることです。

給油や整備などをすれば、厚木基地を起点として東北地域などのブルー、グリーン、ピンクなどのルートやエリアH(エリアホテル)、エリア3での訓練にでることになります。11月5日と6日にマスコミが一斉に報道した、「本土訓練において厚木基地使用」「拠点として厚木基地」に根拠があることを示しています。

防衛省が整備や給油についても「承知していない」を繰り返すのは、基地周辺住民をはじめ広く首都圏住民と自治体の中に、オスプレイの厚木基地飛来・使用・拠点化反対の声が広がるのを恐れての対応と思われます。

(4)米軍機事故と広がる爆音被害、新哨戒機配備など基地恒久化

空母艦載機EA6Bプラウラーの部品落下事故

2012年2月8日、電子戦機EA6Bプラウラーによる部品落下事故が起きました。大きな落下物は6つありましたが、最大クラスの落下物は、横183cm、縦107cmと横213cm、縦76cmの2つで、何れも重さは27kgもありました。乗用車の後部に落下物があたり、「あわや大惨事」(「神奈川新聞」)という事故でした。事故直後に米海軍司令部は、「当該機は通常の訓練飛行から帰還中で、部品は落下したが安全に着陸した」とコメントしました。これは、米軍のパイロットさえ安全なら問題はなく、基地周辺の住民の安全はどうでもよいという態度でした。しかも、事故直後にも同型機は飛行を再開、事故原因の発表も6ヵ月後の8月20日で、その内容もA4版用紙1枚だけでした。そして、事故の原因を「整備士間における連絡ミスが発生し、その結果、所定の手順に必要な整備作業が不注意で行われなかった」としました。整備士の不注意に驚かされると共に、なぜこの原因が分かるのに6ヵ月もの期間を必要とするのか、不可解な対応であり、強い不信感が広がっています。

2002年以降の11年間、県内での米軍機による部品落下事故は17件、不時着事故7件起きており、基地周辺住民の安全が脅かされています。

厚木基地の爆音被害、2012年は過去最悪の状況

2012年5月22日から24日、厚木基地で初めてのFCLP(地上離着陸訓練)が強行されました。原子力空母が出港延期になったため、「FCLP終了後の10日以内に、空母パイロットは空母に着艦しなければならない」とする米軍の「10日間ルール」により、再度の着艦訓練が必要になり、FCLPが強行されたのです。

22日午前8時30分、防衛省から通告がきて、その日から激しい訓練が行われました。3日間の神奈川県や基地周辺9市への苦情件数2707件、防衛省、南関東防衛局など国の機関に抗議982件、合計3689件もの抗議・苦情件数でした。

更に、空母出港後の5月27日から30日までのCQ(着艦資格取得訓練)は、深夜の爆音を基地周辺住民にもたらし、3日間の抗議・苦情件数は1068件にも及びました。

8月15日の終戦記念日やお盆の最中にも訓練が行われ、1月から12月までの1年間で神奈川県と基地周辺9市への苦情件数は過去最高の7022件となり、国機関への抗議件数4117件と合わせた合計は1万1139件となりました。この抗議・苦情の件数は、深刻な爆音被害と住民の怒りの強さを示すものです。

2013年1月24日、左藤章防衛政務官は厚木基地騒音対策委員会に対して、「空母艦載機の岩国基地移転は、2017年以降になる」と説明しました。もともと空母艦載機の岩国移転は、爆音被害のたらい回しです。爆音被害を岩国基地周辺住民に押しつけることが真の解決策でなく、爆音被害のおおもとである米空母の横須賀母港を撤回することこそが真の解決策です。

ジェット機は飛ばさない約束を反故に、哨戒機P-1配備を強行

3月12日、南関東防衛局長から大和市長と綾瀬市長に対して「海上自衛隊厚木航空基地における次期固定翼哨戒機P-1の配備について」とする「通知」が出されました。「通知」では、現有の固定翼哨戒機P-3Cに代わって、ジェット機であるP-1を2012年度末(3月)に2機、更に2013年5月に1機、6月に2機、7月に1機、2014年3月に1機を厚木基地に配備するとしています。

1971年12月20日に横浜防衛施設局長(当時)が大和市長と綾瀬町長(当時)に対して通知した「厚木海軍飛行場の海上自衛隊による共同使用について」(いわゆる「46文書」)では、「ジェットエンジンを主たる動力とする飛行機(ターボプロップ機を除く)は、緊急止むを得ない場合を除き、使用しません」と規定しています。

3月の「通知」では、「本規定は、引き続き尊重すべきと考えています」としながら、その一方で、P-3Cに比較しての安全性や静粛性などを根拠にして、P-1の厚木基地配備を強行しました。しかし、P-1配備が「46文書」に反することは明確です。人口密集地である神奈川県内において、一度事故が発生すれば、深刻な被害を住民にもたらすこととなります。

また、P-1による騒音は、防衛省が「静粛性」と強調するような静粛なものではなく、艦載機の爆音被害を受けている住民に、更なる被害を与えることとなります。そして、P-1の配備が騒音をまき散らしていることには変わりなく、厚木基地のジェット機基地化と基地恒久化に繋がります。

(5)基地周辺250万人住民と県民に更なる苦痛と危険を押しつける

厚木基地は神奈川県の中央に位置し、人口密集地の中にある米軍基地です。艦載機の爆音被害は250万人に及び、更に県内各地で艦載機飛行が目撃され、多くの県民が爆音を体験をしています。加えて、オスプレイの爆音は、県民に更なる苦痛を与えるものです。

米軍艦載機墜落の大事故は、県内で2件起こっています。1964年9月8日、大和市の館野鉄工所に墜落して5人死亡、5人の重軽傷を負いました。1977年9月27日、横浜市緑区(当時)の民家に墜落、幼児2人と母親が亡くなりました。

オスプレイの厚木基地飛来・使用は、常に危険をかかえての飛行となり、これまでの墜落事故や部品落下事故や、不時着事故に新たな危険が加わり、県民生活を大きく脅かすことは間違いありません。

オスプレイの厚木基地使用・拠点化は、厚木基地の強化・恒久化につながります。「爆音解消」「米空母の母港撤回」「P-1配備反対」「オスプレイは厚木基地に来るな」・・など、基地周辺住民と県民の一層強い願いとして広がらざるをえません。

3、米軍再編・戦争計画と一体のオスプレイ配備

(1)日本防衛と無関係のオスプレイ配備

オスプレイ配備は、日本防衛のためのものでなく、米軍が地球規模で先制攻撃戦争をするため、迅速に展開できる機動的な軍隊をつくる一環です。

特に沖縄の海兵隊基地はこれまで、世界の紛争の最前線出撃基地とされてきました。ベトナム侵略戦争、湾岸戦争、アフガン報復戦争、イラク戦争に出撃し、「殴り込み」部隊の役割を果たしてきました。オスプレイ配備の狙いは「世界中における戦闘、戦闘支援、戦闘役務、特殊作戦、人道/災害救援任務」(環境審査報告書)です。

特に、「橋頭堡や中間輸送を要さずに、艦船から離陸し迅速に人員、装備補給物資を敵地の前線戦闘区域へと輸送すること」(環境審査報告書)です。

すなわち、戦闘能力を強化して、敵地に潜入できる遠征部隊(他国への派兵)としての能力をつけることだとしています。

① 速度2倍、行動範囲4.3倍、搭載量3倍、格段の「侵略力」の強化

オスプレイは、2012年まで海兵隊が使用してきたCH46ヘリコプターと比べ、各段に攻撃力が強まっています。CH46と比較して、最大速度は約2倍、戦闘作戦行動範囲は約4.3倍、武装兵士の輸送約2倍(24人)、貨物搭載量も約3倍になります。また、二つの回転翼の羽根を折りたたみ、艦船への収納ができ、艦船上の離着陸も可能です。

更に、沖縄から空中給油なしで台湾海峡まで、空中給油1回で朝鮮半島まで往復できるなど、行動範囲は大きく伸ばすことができます。

② 無法きわまる低空飛行訓練、全国のどの空でも訓練ルートが存在

オスプレイは、敵レーダーに見つからないように敵地に進入、レーダー・ミサイル陣地の破壊や都市部の攻撃を行います。環境審査報告書では、「地上200フィート(約60メートル)」での実施を想定しています。このことは、日本の航空法の規定である「人口密集地で300メートル、それ以外では150メートル」に明確に違反しています。

低空飛行訓練するルートは、環境審査報告書で全国7ルートが初めて公表されました。それも日米安保条約・地位協定によって提供された米軍の訓練地域でなく、米軍が勝手に設定したルートであり、野田前内閣は「環境審査報告書で初めて知った、その詳細についても承知していない・・・」と「知らぬ存ぜぬ」と責任を放棄しています(日本共産党・井上哲士参議院議員の質問主意書への答弁書)。ドイツでは、NATO軍との地位補足協定で、低空飛行訓練はドイツ国内法で米独の個別協定を結ぶことに比べ、ひどい主権放棄です。

また、「防御戦闘演習」(DCM)は、固定翼機を相手に行う訓練で、最低高度60メートルまで下がります(MV22B訓練/即応マニュアル)。

更に、米軍の戦闘機は、航空自衛隊の訓練空域を日常的に使用し、オスプレイの訓練にも使用しようとしています。関東地域は、米軍の広大な関東平野エリア(東京都、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県)での有視訓練飛行が行われ、ここでのオスプレイ訓練も予想されます。

(2)神奈川の基地強化のなかでのオスプレイ

2005年10月に日米間で合意した「日米同盟・未来のための変革と再編」(略=米軍再編)は、二つの目的があります。第1は、米軍が地球規模で迅速に展開できる機動的な軍隊をつくり再配備することです。第2は、そのため同盟国との本格的な軍事的協力体制をつくることです。

この8年間の米軍再編によって、神奈川県内の米軍基地は格段に強化されました。そのうえ、厚木基地へのオスプレイの飛行・訓練と拠点化により更に強化されようとしているのです。

① 2008年9月、横須賀に米原子力空母ジョージ・ワシントン配備

原子力空母の配備は、「日本防衛」とは無縁の海外遠征、「殴り込み」部隊、空母打撃群の一層の強化になりました。原子力空母、原子力潜水艦などの艦船は、2012年だけで21回入港しています。また、原子力空母は、毎年約5ヵ月間、原子炉などのメンテナンスを行い、放射性廃棄物を搬出しています。

原子力空母は、3・11で史上最悪の原子力事故を起こした福島第一原発1号炉46万キロに匹敵する2基の原子炉をもっており、今後起こるとされる巨大地震との関係で、原子力空母・艦船に起因する大きな原子力災害が予想されます。

横須賀の基地強化は、米兵犯罪――殺人や暴行などの重大な犯罪事件を多発させ、県民の生活を日常的に脅かしています。

また、乗組員のための米軍住宅を多数必要としており、1998年3月、池子の森を壊し854戸の米軍住宅が建設され(逗子市側)、2003年7月の「合意」により、横浜市内4ヵ所の米軍基地(上瀬谷、根岸、富岡、深谷)返還と引き換えに、横浜市側の池子の森に400戸程度の米軍住宅が建設されようとしています。

② 日米一体の海外派兵態勢づくりへ、キャンプ座間へ米陸軍第一軍団司令部

創設と、自衛隊中央即応集団司令部の移駐

2007年12月、米陸軍第一軍団司令部(前方)がキャンプ座間基地に創設され、米軍再編による地球規模の陸軍での海外派兵態勢づくり強化がされました。その態勢強化のため、2011年8月、在日米陸軍相模総合補給廠に「作戦指揮訓練センター」(MCTC)が創設され、世界28ヵ所の米陸軍のネットワークを構成し、アジアでは最新のシステムをもつ基地になりました。

更に、日米一体で海外派兵をするため、2013年3月26日に自衛隊中央即応集団司令部がキャンプ座間に移駐してきました。

「米軍再編」の結果、神奈川県内では海軍と陸軍での日米司令部一体化が大きくすすみました。米海軍横須賀基地には在日米海軍司令部・第7艦隊司令部と自衛艦隊司令部が、キャンプ座間には在日米軍陸軍司令部・第一軍団前方司令部と自衛隊中央即応集団司令部が配置されました(空軍は横田基地で一体化)。

4、「配備と飛行・訓練中止」の一点で共同のたたかいを

(1)厚木基地へのオスプレイ飛行・訓練中止で、共同のたたかいを

① 県内と全国で広がる配備と飛行・訓練に反対する動き

横浜弁護士会は、2012年12月13日「オスプレイの我が国への配備及び訓練に反対する会長声明」を発表しました。

県内の7自治体の議会で、オスプレイ配備反対、又は「不安」の決議・意見書があげられています(鎌倉市、逗子市、藤沢市、大和市、綾瀬市、座間市、厚木市)。

このうち、大和市議会は、2012年11月29日、「大和市民は日ごろから米空母艦載機の訓練により、耐えがたい騒音と事故の不安に苦しめられている」「オスプレイの訓練において、厚木基地が使用されることは容認できない」と決議しました。更に、3月21日、全会派の賛成で「厚木基地の恒久化に反対する意見書」を採択しました。

これまで、オスプレイ配備・訓練反対の声は、沖縄県内だけでなく、米軍基地のある14都道県で構成する渉外知事会(会長は神奈川県知事)が政府に要請書を提出したことに続き、全国知事会が緊急決議をあげました。「関係自治体では、こうした事態(米国内での相次ぐ墜落事故)を深く憂慮し、安全性について大きな懸念を抱いている」というものです。「琉球新報」は、「温度差がある全国自治体が一致して緊急決議を可決するのはきわめて異例」と高く評価しました。

② 安保の意見の違いを超え一点での共同のたたかいを訴える

日本共産党神奈川県委員会は、立場や日米安保条約についての意見の違いを超えて、県内と全国で広がる「オスプレイ配備と飛行・訓練の中止を求める」一点で、広範な個人、団体、自治体での共同のたたかいを発展させることを心から訴えるものです。

(2)基地のない神奈川、日本をめざして

日本共産党は、オスプレイ配備と飛行・訓練中止を求める一点での共同を呼びかけるとともに、オスプレイ問題の根本的な解決は、配備と飛行・訓練の大もとになっている日米安保条約の廃棄にあり、そのための努力をすることを表明します。

① 日米両政府は安保条約をたてに危険押し付け

日米両政府は、危険な欠陥機オスプレイを、日米安保条約をたてに、日本国民に押し付けようとしています。

米政府はオスプレイの配備について、「日米安保条約上のアメリカの権利だ」といい、日本政府も「アメリカ政府の方針であり、どうしろこうしろという話しでは基本的にない」(野田前首相)といっています。

なぜ、日本政府はここまで、アメリカいいなりなのでしょうか。

この背景には、1960年の日米安保条約改定時に結ばれた「事前協議密約」があるからです。その密約とは、非核兵器であればほとんど何を持ち込んでも構わず、日本政府はこれに口を挟めないという取り決めです。密約の廃棄は急務です。

② 「安保をたてに無理やりの配備は、安保をなくせとなる」(志位委員長)

日本共産党の志位和夫委員長は、2012年7月2日、野田内閣に「オスプレイ配備の中止を米国政府に提起せよ」と申し入れました。応対した藤村官房長官(当時)に、「安保条約をたてにして無理やりオスプレイを配備することになれば、『安保条約をなくせ』ということになる」と指摘しました。

また、志位委員長は7月26日、米国のカート・トン代理大使と会談したとき、パネッタ国防長官がオスプレイ配備を「日米安保条約上の権利」と述べたことについて、「安保を盾に配備を強行すれば『安保をなくせ』ということになる」と配備計画の撤回を求めました。

③ 「今の安保体制でいいのか」と世論が広がる

沖縄の仲井真弘多知事は「(配備後に事故が起きたら)全基地閉鎖という動きに行かざるを得なくなる」(2012年7月1日付「読売新聞」)と語りました。また、7月24日、岩国基地にオスプレイが搬入されたことで、二井関成山口県知事と福田良彦岩国市長は、「安保体制への影響も懸念される」(7月24日付「しんぶん赤旗」)と語っています。

2012年7月5日付「琉球新報」は社説で「日米安保崩壊への警告」と指摘、6月20日付「愛媛新聞」の社説も「配備中止し安保見直す契機に」と提案しています。

④ 北朝鮮問題・尖閣諸島問題の解決、外交交渉と国際的枠組みで

北朝鮮の「ロケット発射」「核兵器開発」などの挑発行動、中国との尖閣諸島問題などで、「オスプレイ配備でアメリカに守ってもらう」「軍事的対応が必要」などの声もあります。

日本共産党は、軍事的対応でなく、外交による交渉や、国際的枠組みでの対話による解決を強く訴えています。

世界を見れば、この半世紀で、多くの軍事同盟が解体、機能不全、あるいは弱体化に陥り、軍事同盟のもとにある国の人口は、世界人口の67%から16%へと激減しました。現在、軍事同盟は、日米安保条約など4つのみです。

かつて米国中心の軍事同盟SEATO(東南アジア条約機構)の一部の国は、アメリカと一緒にベトナム侵略戦争に参戦しました。しかし、「軍事同盟では平和は守れない」と、ASEAN(東南アジア諸国連合)をつくり、平和と安全保障の枠組みで経済も発展させています。この経験にしっかり学ぶことが重要です。

⑤ 憲法9条をまもり・生かし、基地のない神奈川・日本を

軍事同盟強化=日米安保条約強化の道は、日本国憲法9条といよいよ両立しえなくなっています。軍事同盟強化の道を選ぶのか、憲法9条を守り生かした平和日本の道を選ぶのか、その選択がいやおうなしに問われるところまで、「アメリカいいなりの政治」の矛盾と危機は深刻なっています。

日本共産党神奈川県委員会は、この「提言」をもって県内の多くの自治体、団体、個人と懇談して、草の根から「オスプレイの配備と飛行・訓練反対」めざす運動を広げる決意です。

同時に、神奈川県委員会は、基地のない神奈川、日本をめざして、ASEANの経過と発展にも学び、憲法9条の精神を生かした運動の輪を広げ、「安保をなくしたらどういう展望が開かれるか」という「外交ビジョン」(2012年5月)も活用して広い県民と対話して、日米安保条約廃棄を求める国民的多数派をつくる運動を強めるものです。

日本共産党神奈川県委員会は25日、米軍МV22オスプレイの配備・飛行に反対するつどいを開きました。県委員会は「オスプレイ配備と飛行・訓練の中止を求める提言」を発表しました。

「提言」は、大和・綾瀬の両市にまたがる米海軍厚木基地には給油・整備の機能があるため、同基地で同機の飛行・訓練が行われる可能性が極めて高いと説明。墜落事故が多発する同機の危険性を指摘し、飛行・訓練は、同基地周辺の250万住民への爆音や墜落事故等の深刻な被害を更に高めるものだとして、県内の広範な自治体・団体・個人に、同機配備と飛行・訓練の中止を求める一点で共同する闘いを呼びかけています。

つどいでは、党中央委員会基地対策委員会責任者の小泉親司氏が「オスプレイ配備・低空訓練と日米安保」と題して講演しました。

はたの君枝参院神奈川選挙区予定者が、あいさつし、横浜市で起きた空母艦載機の墜落死亡事故について語り、「このような事故を繰り返してはなりません。基地の無い神奈川、日本を一緒につくりましょう」と訴えました。

横須賀基地、厚木基地、キャンプ座間で住民運動をしている代表がそれぞれ、活動報告しました。