安倍晋三政権の経済対策「アベノミクス」にたいする“期待感”で株高がすすんでも、これは一時的であって実体経済の改善に結びつかないという批判の声が出ています。その折も折、労働者の賃金と雇用が歴史的な水準にまで低下していることがあきらかになりました。賃金の上昇、雇用の拡大で国民の所得を増やし、経済を根本から転換する対策がいよいよ急務になっています。(赤旗より転載)

成り立たぬ企業利益優先

最近発表されたデータによると、2012年の1人当たりの賃金が月平均31万4236円となり、比較可能な1990年以降で最低になりました(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)。また同年12月の製造業の就業者が前年同月比で35万人も減り、61年6月以来、51年ぶりに1000万人を下回りました(総務省「労働力調査」)。

安倍首相は国会答弁で「成長戦略により企業の収益を向上させ、雇用の拡大や賃金の上昇につなげていきたい」とくりかえしました。こうした企業の収益拡大をめざした金融緩和など「アベノミクス」で、賃金や雇用を増やす効果が期待できないのは明白です。

労働者の賃金が90年の時点まで落ち込んだこの間、企業の収益は上がらなかったかといえば、逆です。とくに2002年から第1次安倍政権をはさんで戦後最長といわれる景気拡大期にも、大企業は賃金コストを削りに削り、高収益をあげ、約100兆円にのぼる巨額の内部留保をため込みました。内部留保は不況下でも増え続け、いまや260兆円にふくらんだのに、賃金は下がり続けました。

日本の“お家芸”といわれた製造業での就業者の減少は深刻です。大企業が、グローバル競争に勝ち抜くとして、人件費の安い海外への進出をはかり、国内雇用が置き去りにされている危機的な状況を示しています。昨年来、電機大手が、国内の工場閉鎖、縮小をすすめ、13万人もの人員削減リストラが1000万人割れの直接の原因になったことはあきらかです。

電機大手がリストラで黒字に転換し、円安、株価上昇で大企業、資産家が活気づいている一方で、労働者の記録的な状態悪化がすすむ現状が示しているのは、「アベノミクス」が大企業応援のための成長戦略でしかないことです。

いま必要なのは、賃金と雇用を増やす経済政策への転換です。どうすればいいかはすでに明白です。日本共産党の志位和夫委員長は、衆院本会議での代表質問で「三つの決断」を求めました。

第一は消費税増税の中止です。消費税を10%にすれば労働者世帯の1カ月分の賃金が失われるとし、国民の所得をうばうあらゆる政策の中止を主張しました。

大企業のリストラ中止を

第二は、大企業、財界の賃下げ、リストラにストップをかけることです。財界へのリストラ中止要請はヨーロッパでは当たり前で、賃上げも内部留保のごく一部を活用すれば可能です。

第三は、人間らしいくらしを保障するルールづくりです。非正社員の待遇改善と正社員化の流れをつくること、中小企業に手当てをして最低賃金を時給1000円以上に引き上げることなどです。

政府が、賃金引き上げ目標をもって財界をきびしく指導していくことが求められています。