神奈川県内で米兵犯罪が頻発している問題で、日本共産党の田村智子参議院議員、はたの君枝参院神奈川選挙区予定者、井坂新哉横須賀市議団長は30日、岸田文雄外務相と小野寺五典防衛相にあてて、米軍の謝罪と米兵犯罪の根絶を申し入れました。志位和夫委員長秘書、県委員会担当者が同席しました。

米軍は現在、米兵の夜間外出や飲酒を規制していますが、30日にも新たな事件が明らかになり、県内での米兵犯罪は、今月だけで5件に及んでいます。容疑者の米兵4人は、すべて飲酒後に犯行に及んでいます。申し入れ書は、事件の頻発に対する日本と米側それぞれの対応についてただし、日本政府が米側に謝罪と対策をせまるよう求めています。

はたの氏は、横須賀市では2006年、出勤途中の女性が酔った米兵に殴り殺されたことを指摘し、「市民は、飲酒した米兵がどうなるかと、本当に不安を感じています」と強調。実効性ある再発防止策を求めました。

井坂氏は、「特に女性を対象にした犯罪が多いことに危惧を感じる」と述べ、日米地位協定の見直しを要請。容疑者らに対する米軍の処分内容を質問しました。応対した両省担当者は、確認・把握していないと答えました。

田村氏は「罪を犯した米兵が、とがめもなく隣に住んでいるかもしれない、というのでは不安はぬぐえない。国民の立場に立ってきちんと対応して欲しい」と訴えました。

 

申し入れの全文は以下の通りです。

外務大臣 岸田文雄 殿

防衛大臣 小野寺五典 殿

2013130

日本共産党国会議員団南関東ブロック事務所

日本共産党神奈川県委員会

県委員長 小池潔

元参議院議員 畑野君枝

党横須賀市会議員団 団長 井坂新哉

米兵の連続犯罪についての米軍の謝罪と根絶を強く求める申し入れ

神奈川県内において1月に入り米兵による犯罪が相次いで発生した。

1、1月13日午前2時40分ごろ、横須賀市船越町の会社員宅に米海軍横須賀基地勤務のリチャード・マーク・ロートン2等兵が無断で侵入し、田浦署員に現行犯逮捕された。

2、1月21日午前2時55分ごろ横須賀市汐入町の民家に原子力空母ジョージ・ワシントン 乗組員のマニュエル・シルバ1等航空兵が侵入し、駆けつけた横須賀警察署員に現行犯逮捕された。

3、1月21日午後2時55分ころ、横浜市西区南幸1丁目の路上で日本人男性の顔面を素手で殴ったジョン・ラリー・キャンフィールド2等水兵が戸部警察署員に傷害容疑で現行犯逮捕された。

以上3件とも容疑者は飲酒後に犯行に及んでいる。

2012年、日本共産党神奈川県委員会は神奈川県内で繰り返し引起される米兵犯罪に対し厳しく抗議し、再発防止に向けて実効性ある措置を在日米海軍横須賀司令部にたいして要求してきた。また昨年10月の沖縄での集団強姦事件の際も、在日米海軍司令部に厳しく抗議し、米軍当局も真剣な対応を約束していた。同時に、日本政府としても、実効性ある再発防止のための具体的措置を米側に対し求めるよう要請を行ってきた。

今年になってから神奈川県内で発生した3件の犯罪は、米軍当局が講じた夜間外出禁止令や飲酒制限令が全く実効性にかける、神奈川県民を欺くためのものであったことを裏付けるものである。

日本共産党神奈川県委員会は、県下で頻発する米兵犯罪に断固として抗議するとともに、政府として米側に対し、毅然たる態度で米兵犯罪根絶に向けての諸施策の実施を米側に要求すべきである。この見地から以下の諸点について政府に強く求める。

1、昨年10 月の夜間外出禁止令が出された以降も、米兵犯罪は繰り返されていることは、再発防止措置がまったく実効性のないものであることを示している。

また、神奈川県内には提供施設・区域外に居住する米軍人は7,000人を超えている。この施設・区域外に居住する米兵に対して、夜間外出禁止令などの再発防止策をどのように徹底されているのか極めて疑問である。

さらに、原子力空母ジョージ・ワシントンが現在定期修理のため横須賀に停泊中で、多数の乗組員や修理工も横須賀に集中している。それだけに、米兵犯罪がさらに発生することが予想される。

①、これまでの日米合同委員会の席上、頻発する米兵犯罪に対して日本側はどのような要請を行ってきたのか、明らかにされたい。

②、また、昨年10月25日の日米合同委員会において、「在日米軍の勤務時間外行動の検証をふくむ実効性のある綱紀粛正及び再発防止のための措置について、日米間で緊密に協力していきたい」旨の提案を日本側が行っているが、米側はこの提案に対してどのような対応をしているのか、明らかにされたい。

③、その上で、今回の米兵連続犯罪に対し、日本政府として米側に謝罪と対策を明らかにすることを求められたい。

2、米兵犯罪が後を絶たない温床は、日米地位協定の存在にある。これまで半世紀以上にわたって米兵犯罪が発生しても、公務外の個人的犯罪であるとされ、法的には米軍に責任はないものとされてきた。さらに、公務外の米兵犯罪の被害者に対して払われる補償金も、日本政府が負担することになっており、公務中の事件・事故の場合でさえも、日本政府が立替払いをした上で、米国に請求する建前だが、その請求が行われていないのが実情であり、事実上米側にはほとんど経済的負担がないものとなっている。このような日米関係の下では実効性ある再発防止策など期待できるはずもない。よって、日米地位協定の抜本的改正を求める。

3、米兵犯罪は基地あるが故の犯罪である。米軍基地が存続する限り、このような米兵犯罪は根絶できない。問題の抜本的解決のため、在日米軍基地の全面撤去及び日米安保条約の廃棄を強く求める。

以上