米原子力潜水艦の日本寄港が、2012年の1年間で17隻65回のべ174日に上ったことが、寄港地を抱える自治体の集計で分かりました。11年と比べ回数は11増で、日本への原潜寄港が始まった1964年以来最多を記録しました。最新鋭艦を含む危険な原子力潜水艦の寄港が増加している背景には、米オバマ政権の「アジア太平洋重視」戦略や日本近海で活発化する中国海軍への対応があるとみられます。オバマ政権はアジア太平洋地域への重点的な戦力配分を行う「リバランス」を打ち出しており、パネッタ国防長官は「海軍の戦力の60%を太平洋に割り当てる」と表明。すでに米原潜は実戦配備されている66隻中37隻が太平洋地域に配備されています。(1月5日付赤旗より転載)

寄港地別回数では、沖縄県の米海軍基地ホワイトビーチ(うるま市)が39回(11年比11増)、神奈川県の横須賀基地が14回(同3減)、長崎県の佐世保基地が12回(同3増)となりました。ホワイトビーチでの寄港回数増加は、中国海軍が沖縄周辺での活動を強めていることから、その動向を探るための情報、監視、偵察作戦を行っているものとみられます。

米原潜むの日本への寄港回数グラフ

12年は退役が進むロサンゼルス級攻撃型原潜(排水量6900トン)の後継艦である最新鋭のバージニア級攻撃型原潜(同7800トン)の寄港が11回と目立ちました。シーウルフ級攻撃型原潜(同9140トン)、超大型のオハイオ級誘導ミサイル型原潜(1万8750トン)の寄港も引き続きおこなわれました。

米原潜が長期間滞在する米軍横須賀基地が位置する三浦半島には、複数の活断層が存在しています。同基地は、2基の原子炉を持つ米原子力空母ジョージ・ワシントンの母港となっており、12年にも同空母と原潜が居合わせる事態が3回生じています。原子力事故への懸念が広がっています。

2012年の米原潜寄港状況

12年9月には、原子力安全委員会が廃止され原子力規制委員会が発足しました。これに伴い、米原子力艦船の原子力事故にたいし、これまで原子力安全委員会がおこなっていた専門的助言、技術的支援が規制委員会に引き継がれず抜け落ちていることが判明しています。米原潜の寄港回数が増加するもとで、早急な対応が求められています。