日本共産党の志位和夫委員長は13日の衆院予算委員会で、社会問題となっている電機・情報産業による13万人にのぼるリストラ計画を取り上げ、「違法・非道な人減らしを放置しておいて日本経済の再生はない。政府がやめさせるよう役割を果たすべきだ」と求めました。(14日付赤旗より転載)

志位氏は、社会的に許されないやり方として、繰り返しの退職強要という違法行為を行っているNECのケースを告発しました。

11回も退職強要を受け、「自殺するしかない」とまで追い詰められたAさん。「能力がない」「内戦状態のシリアへの転勤になる」とば倒・脅されたBさんは「悔しさを通り越して、毎日が悲しい」と訴えています。

志位氏が「『多数回、長期にわたる退職勧奨』『自由な意思決定を妨げる退職勧奨』は最高裁判決に照らして違法」と指摘し、「あってはならないと思わないのか」とただしても、野田佳彦首相は「一般論でいうと、行ってはならない」と繰り返しました。志位氏はシャープなどを例に他の電機産業でも違法な退職強要が広がっているとして、政府が実態を全面的につかみ、断固とした措置をとるよう求めました。

さらに志位氏は日本IBMでは突然、正当な理由なく解雇を通告し、そのまま職場から締め出す「ロックアウト解雇」が行われていることを示しました。

解雇通知書を突きつけられ、「今日の終業時刻までには私物をまとめて帰れ」と言われたDさん。入社25年表彰で特別休暇中のEさんは、休暇明け出社の翌日に解雇通知を受け、ショックで倒れ、病院に運ばれました。

寄せられた7人の解雇通知書を首相に手渡した志位氏は、通知書が一言一句同じで、解雇理由はすべて「業績不良」となっていることを指摘し、客観的・合理的理由がないと無効だとする労働契約法や確定判決に反すると追及。日本IBMの元社長が「日本の毒味役になる」と公言していることを告発し、「『毒味』を許したら、日本中にこの無法なやり方が横行する」と指摘しました。

首相は「一般論」で逃げていましたが、志位氏が「政治は何のためにあるのか」と迫ると首相は「そういうことがあるなら、あってはならない」と答えざるをえませんでした。

志位氏は電機・情報産業の衰退にふれ、「労働者をモノのように切り捨て、技術開発の土台を自ら破壊し、いっそうの経営悪化への悪循環をつくりだしている」と指摘。フランスでは政府が身勝手なリストラに待ったをかけ、日本の電機・情報産業には26兆円もの内部留保があるとして「雇用に対する社会的責任を果たさせることこそ政府の役割だ」と主張しました。

“生の事実が国会に”“答弁引き出された”

NEC・IBM労働者らが傍聴

志位委員長の質問を全国から駆けつけた約80人が傍聴しました。

質問で「Bさん」として取り上げられたNECの40代の男性(電機・情報ユニオン)は最前列で傍聴。「面談内容はすべて文書に起こしました。志位さんにその生の事実、声をそのまま国会で伝えてもらい、うれしかった」とのべました。

NECは同僚に対し、今も複数回の面談で出向を強要中。「たたかいは続きます。会社に対して真っ向からたたかい続けたい」と話しました。

同じく質問のなかで紹介されたJMIU(全日本金属情報機器労働組合)日本アイビーエム支部の男性(40)は、野田首相が一般論としながらもロックアウト解雇を「あってはならない」と明言したことについて、「いい答弁を引き出してもらった」と喜びました。「裁判で解雇撤回を勝ち取るためにも、ひどさを世間に広げてくれてありがたい」「裁判をしないと解決しないのであれば、泣き寝入りが増えます。政府は動いてほしい」と話しました。

電機産業 無法なやり方 浮き彫りに

予算委質問 志位委員長が感想

日本共産党の志位和夫委員長は13日、国会内で記者会見し、同日の衆院予算委員会で電機・情報産業の首切り・リストラ問題をとりあげたことについて、「日本社会の大問題なのに、政府は逃げに終始してまともな答弁をせず、だらしのない姿勢を示した」と感想を述べました。

志位氏は、突然「解雇通知書」を読み上げて労働者を締め出す日本IBMの「ロックアウト解雇」について、野田佳彦首相が「もしそういうことがあるなら、あってはならないことだ」と答えたことは「唯一、人間の普通の感情が出た重要な答弁だ。無法なやり方だということが浮き彫りになった」と強調しました。

志位氏はまた、「業績悪化を理由に首切りを進めれば、技術力が損なわれ、競争力が失われ、産業全体が衰退していく」とただしたのに対し、野田首相が「個別産業の問題」だといってまともに答えなかったと指摘。「『個別企業』や『個別産業』を口実に逃げていたら、なんの答弁もしないことになってしまう」と批判しました。

そのうえで、「雇用破壊は国民の所得を減らし、消費を冷やして、デフレを深刻にさせている。今度の総選挙でも雇用と経済をどうするかを大きな争点にしてたたかいたい」と表明しました。

大臣席が緊張した45分間 共産党 存在価値あり

志位質問に大反響

13日の志位和夫委員長の質問をテレビなどで視聴した人々から日本共産党本部に激励の電話やメール、政府への怒りが多数寄せられました。

民主逃げている

「NEC、IBMの退職強要、ロックアウト解雇を世間に知らせ、今後の労働界に大きく影響を与える質問でした。大臣席はシーンと静まり返り緊張した45分間でした」(千葉の男性)、「志位さんは労働者の怒りを代弁し、同時に日本経済再生の道筋を示した。すさまじい違法な首切りの実態を示しても逃げる政府はただただ大企業言いなり」(富山の男性)といいます。

大企業の元社員からは「NECの問題は、けしからんね。私がクボタにいたときは、こんなことはなかった」(神奈川の男性)との感想も。

共に抗議したい

「違法退職勧奨の闇はまだまだあると思います。民主党は一般論で逃げています」(川崎市の青年男性)、「訴訟のできない労働者が泣き寝入りせず裁判ができるように支援してほしい」(神奈川の男性)と今後も追及し、展望を示してほしいとの激励がありました。

「どの政党も支持してこなかった」という千葉の女性からは「いろんな政党がありますが、志位さんの質問を見ていて、共産党は存在価値のある政党だと思いました」と絶賛の声が寄せられ、「志位さんと一緒に政府や大企業に抗議したい気持ちになりました。やっぱり共産党を大きくするしかありません」(新潟県長岡市の女性)との決意もありました。