神奈川県横須賀市で妻を米兵に殺された山崎正則さんが、国を相手に損害賠償を求めた裁判で、東京高裁は22日、無原告の控訴を棄却する武不当判決を出しました。原告と原告弁護団は上告する方針です。

6月22日不当判決に抗議 抗議のシュプレヒコール はたの氏等

三輪和雄裁判長は米兵に対する米軍の監督義務違反や国への損害賠償請求を認めなかった一審・横浜地裁判決を維持しました。

判決は勤務時間外の米軍人に対する米海軍上司の指揮監督権限について、米海軍規則を根拠に行使できるとしましたが、職責を全うする為の目的と関係ない日常の生活や活動には原則として及ばないと判断。米海軍上司らに広範な裁量権を認め、著しく合理性を欠いた権限の不行使があったとは認められないとしました。

原告側は犯行と職務との関連性を明らかにし、事件は民亊特別法第1条の「職務を行うについて」に該当し、国に賠償責任があると主張してきました。

この点について、判決は「職務を行うについて」の要件には職務に付随して行われた行為等も含むとしながらも、職務行為として行われたものでないことは明らかだとして、退けました。

判決後の記者会見で、高橋宏弁護士は、暴行は米兵の勤務開始時間の7分前まで続いていたこと等から職務に付随した行為だと主張立証してきたが、判決は職務行為ではない事は明らかだの一言で済ましていると指摘。中村晋輔弁護士は「監督権限についての判断が一審よりも後退している。日本国民の生命、身体よりも米軍に向いた判決だ」と批判しました。

山崎さんは「司法がこのような判決を出していては、米兵犯罪はなくならない。私としては最高裁まで闘う」と語りました。