日本国憲法公布から80年の今年、高市早苗首相が、改憲発議への執念を示すなど、憲法9条を壊し「戦争する国」へと突き進むのか、9条を生かし「平和国家」として歩むのかが鋭く問われる中、25日で事実上幕を閉じた特別国会では4月以来、衆参両院の憲法審査会が頻繁に開かれました。
憲法審でも改憲派が議席の多数を占める中で、国民が望まない改憲を押しつける策動を批判し、憲法を生かす道を大いに示した日本共産党の主張には、「日本共産党が希望だ」(6月26日、水戸市内での「つどい」の参加者)などの声が寄せられるなど、憲法と平和を守りたいと願う人々からの熱い期待の声が寄せられています。
意見まとまらず
与党の自民党と日本維新の会などの改憲派勢力は7月24日、国民投票法を成立させ、改憲準備の進展ぶりを“演出”しましたが、改憲派各党の意見はまとまらず、自維が求めていた「条文起草委員会」の設置には至りませんでした。
憲法審は憲法改正原案を審査する権限をもつ機関です。これまでの憲法審では、憲法9条改憲や緊急事態条項創設など「戦争する国づくり」に直結するテーマが繰り返し議論されてきました。
9条を巡って自民は「憲法の未完成部分である国防の規定を憲法に明確に位置づける」などと自衛隊の明記を主張。維新は戦力不保持を定めた9条2項削除による集団的自衛権の全面容認や「国防軍」の明記を訴えました。自民と維新の9条改憲案は形式的には隔たりが大きくみえます。しかし、自民党は「必要な自衛の措置を妨げず」とすることで、明記する「自衛隊」に無制限の集団的自衛権を付与するもので、本質的な狙いに違いはありません。
国民民主党は、議論を推進するために与党内で意見をまとめるよう要求。参政党は、一から憲法をつくり直し「自衛軍」を明記すべきだと主張しました。チームみらいは「近年、わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している」などと政府・自民党と同じ理由で改憲への積極姿勢をあらわにしました。
こうした議論に対し、日本共産党の畑野君枝衆院議員は、絶対に戦争を起こさせないという9条の精神が世界の平和のためにも強く求められていると強調。「9条の精神を現実の政治や外交に生かすための議論こそ必要だ」と訴えました。
9条改憲に先行して狙われたのが、緊急事態条項創設のための改憲です。
衆院憲法審では、自民などが衆院法制局と審査会事務局に「『緊急事態条項』のイメージ(案)」をつくらせ、改憲議論の加速化を図りました。同案は、国会議員の任期延長や、内閣に権限を集中させる「緊急政令」の制定を可能にする案など改憲派の主張を並べたものです。
しかし、国民民主が、改憲派内で意見が割れる「緊急政令」より任期延長を優先すべきだと主張した一方で、参政が緊急事態の対象に感染症のまん延が含まれている限りは反対だと強く訴えるなど、改憲勢力の主張はばらばらです。
戦争の反省から
畑野氏は、日本国憲法には緊急事態条項が盛り込まれず、国会議員の任期を明記しているのは戦争の痛苦の反省からだと強調。旧大日本帝国憲法にあった緊急勅令などの緊急事態条項は、戦争反対の声を弾圧するために使われ、1941年の任期延長も「挙国一致」の戦争体制づくりのためだったと指摘しました。
参院憲法審では、緊急事態条項を巡り、憲法学者2人を招いて参考人質疑を行いましたが、2人とも同条項創設への危惧を表明。長谷部恭男早大教授は、めったに起こらない緊急事態のために国会議員が改憲を議論すること自体「デメリットが大きい」とくぎを刺しました。
日本共産党の山添拓議員は、東日本大震災が起こったもとでも全国的に選挙が行えない事態は生じなかったと指摘。改憲派の政党が想定しているのは戦争だと喝破しました。
自維両党は連立政権合意書に「可及的速やかに、衆参両院の憲法審査会に条文起草委員会を常設する」と明記しています。実際、自維に加え国民民主も、憲法審でたびたび条文起草や起草委設置を訴えましたが、実現に至りませんでした。
畑野、山添両氏は、世論調査の結果や国会前での数万人規模の改憲反対アクションを示し、国民は優先課題として改憲を求めているわけではないと繰り返し強調しました。
(しんぶん赤旗2026年7月26日【2面】)