Screenshot_20260609-142133~2 再審制度の見直し案(刑事訴訟法改定案)が衆院で審議されています。冤罪(えんざい)被害者の速やかな救済のため、証拠の全面開示とともに再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)を禁止できるかが焦点の一つです。しかし、政府案では抗告禁止が“骨抜き”にされかねません。

 この間の冤罪事件では、裁判所が裁判のやり直し(再審)を決定したのに対し、検察官が抗告を繰り返したことが、被害救済を遅らせる大きな要因になってきました。再審無罪が確定した福井事件では、最初の再審開始決定から最終的に再審開始が確定するまでに13年、袴田事件では9年かかっています。

 こうした事態をうけ政府案は、現在の条文で検察が即時抗告できると規定した対象から再審開始決定を削除。その一方、再審開始決定が取り消されるべきものと認められるに足りる「十分な根拠」がある場合には即時抗告ができるとする規定を新設しました。政府は、抗告は“原則禁止”し、例外的に可能とすると説明します。

十分な根拠どこ

 しかし、この間の政府答弁では、過去の再審無罪事件で繰り返された検察官抗告が政府案で、できなくなるのかどうかすら不明確です。

 過去の再審無罪事件での検察官抗告のうち、どれが「十分な根拠」があると認められるのか―。衆院法務委員会の質疑でそう問われた法務省の佐藤淳刑事局長は「一概に答えることは困難」として、答弁を避けました(5月29日)。袴田事件での検察官抗告についても、係争中を理由に「評価、判断を答えることは困難」と述べ、答えませんでした。

 政府は、法案の提出理由として、検察官抗告が審理の長期化を招いてきたなどの指摘をあげ「反省」を口にします。一方で、過去の冤罪事件で繰り返された抗告が、法改正によってできなくなるとは明言しない―これでは政府の姿勢そのものが問われます。

 しかも、「十分な根拠」がある場合に抗告を認める規定について、刑事局長は「検察官が順守すべき行為規範」だと答弁(5月27日の衆院法務委)。「十分な根拠」があるかを判断する主体はあくまで「検察官だ」と主張しています。

「抜け穴」認めぬ

 政府は「これまでに増して、組織的に十分な検討を尽くした上で慎重に行われる」と言いますが、現行法の下での抗告も法と証拠に基づいて判断してきたと説明しています。

 5月29日の同委での参考人質疑では、鴨志田祐美弁護士が「検察官の自主規制に委ねるような行為規範であるとすれば、抗告禁止は全くの骨抜きになってしまう」と批判。「原則、例外が逆転しかねない」と警鐘を鳴らしました。

 日本共産党、中道改革連合、チームみらいが共同提出した超党派議連案は、「抜け穴」を認めず検察官抗告を全面禁止しています。

 日本共産党の畑野君枝議員は衆院法務委で「今まで不当な抗告を行ってきた検察に適切な対応は期待できない」と指摘しました。不服があれば再審公判で争えるとして、再審開始を「入り口」で止めてはならないと強調。議連案の実現を強く求めました。

(しんぶん赤旗2026年6月9日【2面】)