砂利や土、石などを運ぶダンプは全国で約19万5000台。このうち12万台を占める「白ダンプ(白ナンバーの自家用ダンプ)」が、あらぬ誤解で現場から排除される問題が起きています。(矢野昌弘)
「今月に入っても相談が相次いでいます。取引先から、『4月からは(運送事業者に登録した)青ナンバーじゃないと受け入れできない』『もう来ないでくれ』と言われた事例が起きています」
そう語るのは、全日本建設交運一般労働組合(建交労)栃木県本部の山内健人執行委員長です。白ダンプに乗る組合員からの相談が昨年秋から、組合に寄せられています。白ダンプ12万台のうち、約8万台がダンプを1、2台持つだけの「車持ち労働者」です。今回の事態は、建設業界の担い手を排除する大問題となっています。
発端は業界紙
きっかけは、4月から施行の改正「貨物自動車運送事業法」です。同法は、無許可で営業する違法な「白トラック」に委託した荷主への規制や罰則を強化するもの。白ダンプについては、国土交通省はこれまで通り「法律上の扱いは変わらない」としています。
ところが、国交省の当初の説明不足もあり、建設業界の業界紙などが「違法白トラ規制強化」などと報じたため、白ダンプもすべて違法かのような風評が広がりました。昨年秋以降、建交労などが国交省へ繰り返し要請。同省は「事務連絡」を出すものの誤解はいまだ払拭されていません。
自家用の白ナンバーに対し、運送事業者に登録された「青ナンバー」には、▽車両を5台以上そろえる▽営業所を設けて運行管理者を置く▽日報を作成する―などが義務づけられます。
歴史的な経緯
「白ダンプから『青ダンプ』になるのは資力などから言って無理な話。高齢化しており、今回の問題で『働く意欲が失せた』とダンプを降りる人が続出している」と、建交労中央本部の廣瀬肇書記長は語ります。白ダンプは国や大手ゼネコンの都合でつくられてきたと指摘。「もともとゼネコンは自前のダンプを持っていた。しかし、維持費や事故の使用者責任を回避するために、個人にダンプを持たせる政策を取ってきた」
栃木県本部の山内さんも「国の施策として、ダンプ労働者は“グレー”の状態で働かされてきた。1日14時間~15時間の長時間労働や単価の切り下げなどにも、自営業者だからと国の保護を受けられずにきた。歴史的経緯を踏まえて、国交省には対応してほしい」と強調します。
建交労は「自家用ダンプ排除NO」のチラシなどを作り、荷主などに配布し、誤解の払拭に力を入れています。
日本共産党の畑野君枝衆院議員は、24日の衆院国土交通委員会で、白ダンプが排除されている問題を取り上げました。畑野氏の質問に、金子恭之国交相は「(白ダンプの)従前の取り扱いを変更するものではない。罰則とするものではない」と答弁しました。
畑野氏は、「ところが現場では大変なことが起きている」として、能登半島地震の復興工事が進む被災地の現場で、法施行前日の3月31日に白ナンバーのダンプがすべて排除され、「現場は大混乱。間違いなく工期は延びる」との声を紹介しました。
誤って排除されている原因の一つとして、畑野氏は国交省が発行した「違法白トラ対策用チラシ」だと指摘。これに対し、金子国交相は「混乱は起きていない」と強弁しました。畑野氏は実態調査と、廃業などを生まない対策を求めました。
(しんぶん赤旗2026年4月27日【社会】)