Screenshot_20260417-140723~2   6月末までに全面返還される横浜市の米軍根岸住宅地区(中区、南区、磯子区)内の民有地に住み続ける佐治実さん(78)、佐治みどりさん(74)夫妻を、日本共産党の畑野君枝衆院議員、古谷靖彦、みわ智恵美両市議が訪問しました。基地に囲まれて人権侵害を受けながらたたかってきた夫妻をねぎらい、今後の課題について懇談しました。(神奈川県・河野明美)

 約43ヘクタールの同地区には385戸の米軍住宅がありましたが、2004年10月に日米合同委員会で返還方針を合意し、15年12月までに米軍関係者は全て退去しています。

 米軍基地の中に暮らす佐治さん家族は、今でも家に帰るには通行証を見せてゲートを通らなくてはなりません。自由を制限され、かつては米兵に庭をトイレ代わりにされたり、追いかけ回されたりしたことも。自分の土地に建物を建てるなど自由に活用することもできませんでした。人権を侵害され続ける状況を容認してきた、基地の設置・管理者である国に対し損害賠償を求める裁判もたたかいました。

ともにたたかう

 みどりさんは「たたかわざるを得なかった」と振り返ります。共産党は国会でも市議会でも、ともにたたかい、崖崩れの対策や街灯設置などを求めてきました。佐治さん夫妻は返還後の課題についても協力を求め、畑野氏らは支援を約束しました。

 畑野氏らが訪れた17日、改めてこの生活を振り返った実さんは「私は自衛隊出身で一生懸命国を守ったつもりだけど、国は国民を守るつもりは一切ない。隠しごとも多すぎる」と、なかば諦めた様子で話しました。みどりさんも「防衛省が米軍とのつなぎ役のはずだったのに、みんな米軍に言われるまま」と不信感をあらわにしました。

 米軍は佐治さん夫妻の所有する土地の一部を使用していましたが、境界を示す杭(くい)の位置はあいまいにされたままです。夫妻によると、国はほかの地権者には公簿上の面積をもとに地代を支払ってきましたが、住み続けている佐治さんには支払っていません。本来支払われるはずだった地代の交渉について、返還によって交渉相手が誰になるのかもはっきりせず、難航が予想されます。本来平らだった土地に米軍が盛り土をしたため、佐治さん宅の敷地は周囲から一段低くなっていますが、「戻してほしいと防衛省に言ったが、費用は出さないと言われた」と実さんは言います。

原状回復行わず

 佐治さん夫妻は残置物の処理についても心配しています。PFAS(有機フッ素化合物)やアスベストを含む物資も米軍はそのままにしています。米軍はこれまでも横浜市に返還した基地跡地の原状回復を行っておらず、市は後処理に莫大(ばくだい)なお金を費やしています。日米地位協定で米軍は返還の際の原状復旧の義務を負っていないからです。

 畑野氏は「佐治さんへの国の対応は理不尽すぎる。米軍の権力のもとに置かれて命の危険を感じることもあったと思う。やっと返還されることは良かった。残る課題についても一つ一つ解決していきたい」と話し、古谷、みわ両氏らとともに調整、代弁などして支えていく決意です。

(2026年3月29日【社会】)