国民運動と一体に 「学びの保障」へ高まる世論

 新型コロナウイルス感染拡大の危機のもと、少人数学級の実現など、「学びを保障する社会」に向けた変化が生まれています。教育をないがしろにしてきた政治の矛盾が噴き出す中、粘り強い国民の運動と野党共闘、日本共産党国会議員団の一貫した論戦が政治を動かしています。

少人数学級に急展開

 「不退転の決意でのぞみたい。勇気をもらった」。11月13日の衆院文部科学委員会。少人数学級の早期実現を迫った日本共産党の畑野君枝議員に、萩生田光一文部科学相がこう答弁しました。

 40年間変わらなかった公立小中学校の40人学級編成。世界的にも遅れた基準の見直しへ向け、急展開が起きています。その背景にあるのは、世論と運動の急速な高まりです。

 コロナ禍のもとで、教室での社会的距離の確保や一人ひとりに向き合う教育の必要性を多くの人が実感しました。「子どもたちのためにも、先生のためにも少人数学級を」―。教育研究者有志が始めた署名は約4カ月で18万人に賛同が広がりました。500を超す自治体が意見書を採択し、全国知事会や校長会も少人数学級の実現を政府に要望しました。

 共産党国会議員団は、運動と連携し、一貫して少人数学級実現を求めてきました。“子どもたちに少人数学級をプレゼントしよう”と呼びかけた志位和夫委員長の6月10日の衆院予算委での質問は多くの共感を呼びました。「緊急に教員を10万人増やし、少人数学級の取り組み加速を」と求めた志位氏に、当時の安倍晋三首相は「検討する」と答弁しました。

 畑野議員は、2015年に安倍前首相から「鋭意努力する」との答弁を引き出したのをはじめ、子どもや教員、保護者らの願いを国会に届け続けてきました。

 こうしたなか、文科省は、21年度予算案の概算要求に少人数指導体制の整備を盛り込みました。運動と論戦の力が、国民の願いに背を向けてきた政府の姿勢を動かしています。

 「すぐには実現しなくても、あきらめずに国民の要求を届け続けてきたことは、必ず未来に生きる」。1998年の初質問から少人数学級の実現を求めてきた畑野議員は、実感を込めて語ります。

野党共闘が変化生む

 変化は、障害が比較的重い子どもが通う特別支援学校をめぐっても生まれています。

 特別支援学校では各地で過大・過密化が問題となっています。必要な施設を法令で定める「設置基準」が特別支援学校にだけないことが背景にあります。

 党国会議員団は、畑野氏や本村伸子衆院議員、山下芳生、田村智子両参院議員らが一丸となって国会で追及。一つの教室をカーテンで仕切るなどの現場の実態を告発し、子どもの成長が保障される設置基準を定めるよう繰り返し迫ってきました。

 その中で、山下氏の追及に対し、萩生田文科相が、設置基準が「必要だ」と明言しました(11月17日、参院文教科学委)。保護者や教職員の長年の運動と党の論戦に押され、策定に向けた動きが始まっています。

 2019年に大問題となった「大学入試改革」では、受験生や教育関係者らと一体となった野党共闘が政治を動かしました。自公政権が導入を狙った「英語民間試験」「記述式試験」「主体性評価」の3本柱を、延期や中止に追い込んだのです。

 入試改革の実態は、教育を企業の利益拡大の場にしようというもの。入試の公平性が脅かされるとして、高校生、受験生、教育関係者が反対の声をあげました。共産党は英語民間試験の中止を申し入れ、他の野党とともに合同ヒアリングや院内集会、質問などを通して問題点を追及。中止や見直しなどを求める法案を3度にわたり共同提出し、政権を追いつめました。

立ち上がる学生たち

 「声を上げれば政治は変わる」。その政治体験は、コロナ禍のもとでの学生たちの運動にもつながっています。

 コロナ禍は、アルバイト収入の激減で学費が払えないなど、学生生活に深刻な影響を与えました。その中で「高等教育無償化プロジェクトFREE」「一律学費半額を求めるアクション」など学生たちのグループが運動に立ちあがり、学費半減を求める署名は全国200以上の大学に広がりました。ここでも野党は共同し、5月に学費の授業料半額免除と、学生支援金、奨学金の返済免除の法案を提出。その一部は、「学生支援緊急給付金」に結びつきました。

 一方、民青同盟が取り組む学生むけの食料支援活動の利用者は延べ1万人を超え、深刻な状況は続いています。畑野議員は11月27日の衆院文科委でこの実態を取り上げ、萩生田文科相は給付金を「再追加配分する」と答弁しました。党国会議員団は、支援のさらなる拡充とともに、世界的にみても高い日本の学費を、学生の「自己責任」にしてきた政治の転換を求めています。

 少なすぎる教育予算を抜本的に増やし、一人ひとりの学びを保障する社会の実現を―。自民党政治を根本から変えようとたたかう共産党国会議員団の力を増やし、国民の共同をさらに広げることが求められています。

(しんぶん赤旗2020年12月17日付)

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