○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表し、公立学校教員給与特別措置法改正案について質問します。(拍手)  まず、大学入試制度について伺います。  萩生田文部科学大臣は、英語民間試験の導入延期について、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられる制度設計になっていないと答弁しました。経済格差、地域格差を生み出す、教育の機会均等の原則に反する制度だと認めた以上、きっぱりとやめるべきです。  多くの英語教育の専門家が、当初から、格差とともに、目的も内容も異なる試験結果を公平公正に比較できるのかという根本問題を指摘してこられました。そうした専門家や全国高等学校長協会などの意見がなぜ反映しなかったのか。なぜ営利企業の参入を認めたのか。抜本的な見直しのためには、今回の入試制度改革の政策決定過程における全ての会議録を公開し、国民的な検証を行うべきです。  大学入試共通テストの国語、数学の記述式の導入も重大です。  五十万人もの受験生の記述答案の採点業務を民間に丸投げし、学生バイトを含む採点者でどうして公正な採点や機密の保持が確保できるのか。高校生、教育関係者の多くが不安を募らせている記述式の中止を強く求めます。  給特法について伺います。  本法案は教員の長時間労働を是正するためといいますが、政府は、教員の深刻な長時間労働の実態と原因をどう認識していますか。  教員は、文科省の調査でも、小学校で三割、中学校で六割が過労死ラインに達するほどの異常な長時間労働を強いられています。  その原因は、学習指導要領の改訂による授業時数の増加、勤務時間内には終わらないほどの過剰な業務量を放置する一方で、必要とされる規模の教員をふやしてこなかったことにあります。  さらに、給特法が四%の教職調整額の支給と引きかえに労働基準法第三十七条の割増し賃金の規定を適用除外したことが、時間外勤務を規制する手段を奪い、際限のない長時間勤務の実態を引き起こしてきました。  こういう認識はありますか。  給特法は、教員に労働基準法第三十七条を適用し、時間外労働に対して割増し賃金を支払うよう、抜本的に改めるべきです。  ところが、法案は、長時間労働を強いる仕組みには一切手をつけず、一年単位の変形労働時間制を導入するとしています。  この制度の狙いは、一年間の平均週労働時間を四十時間以内にすることを条件に、いわゆる繁忙期に一日八時間を超えて働かせることができるようにするものです。  これでは、平均勤務時間一日十一時間を超えるという学期中の労働時間を更に長くすることになるではありませんか。  現場の教員は、平日は長時間、休みは夏休みまで待てというのは間違っていると強く批判しています。しかも、夏休み期間中にまとめて休日をとるといいますが、教員には研修、プール指導、補習、部活動指導等の業務があります。夏休み期間中が閑散期だという根拠はどこにもありません。  一年単位の変形労働時間制は、一年間という長期間にわたり八時間労働制という原則を崩す、労働者にとっての重大な労働条件の不利益変更です。だから、一般労働者にこの制度を導入する際は、労使協定の締結が前提とされ、厳しい条件が課されています。にもかかわらず、公務員である教員には、労使協定さえ結ぶことなく、条例で導入を可能として、どうして労働者としての権利を保護することができるのですか。  これは、労使協定という労働者保護の仕組みをも教員から奪い、無権利状態におとしめるものであり、断じて許されません。  以上のことを指摘し、私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣萩生田光一君登壇〕

○国務大臣(萩生田光一君) 畑野議員にお答えいたします。  まず、英語民間試験の導入延期についてお尋ねがありました。  子供たちに英語四技能を身につけさせることは、これからのグローバル社会を生きていくために必ず必要なことだと考えております。  大学入試において英語四技能をどのように評価するかについては、大学入学共通テストや各大学の個別試験の中での英語四技能評価をどのようにするのか、経済的な状況や居住地域にかかわらずひとしく安心して試験を受けられるような配慮が十分なのかなどについて、高校や大学関係者などの意見も聞きながら、指摘された課題を十分検証しつつ、今後一年を目途にしっかり検討をしてまいりたいと考えております。  次に、検討・準備グループの議事録公開についてのお尋ねでありますが、本検討・準備グループは、全国高等学校長協会からの代表者も含め、大学入学希望者学力評価テストの具体的な実施内容、方法等について検討を行ってきたものですが、会議を公開した場合、構成員の自由な意見交換が制約され、円滑な運営が妨げられるおそれがあり、審議を公正円滑に実施する上で支障が生じると考えられること、大学入学者選抜等に係る非公開の情報をもとに検討を行う必要があることなどから、第一回会議から第九回会議まで非公開で行われたものです。  本検討・準備グループの議事概要については、非公開を前提に作成したものですが、今後の検証に必要な情報であることから、当時の委員の同意や機微な情報の取扱いも含め確認をとりつつ、公開をしていきたいと考えております。  また、大学入試は高等学校段階で習得した知識や技能等を適切に評価することを目的としていますが、英語に関しては、約五十万人規模で同一日程一斉実施型試験による共通テストとして話す、書く能力を含めた試験を実施することは、日程面も含めて、現状において実現は極めて困難です。  一方、民間の資格検定試験は、四技能を総合的に評価するものとして社会的に認知され、高等学校教育や大学入学者選抜で活用が進んでいます。  このため、大学入試において四技能を評価することができるよう、現に民間事業者等により広く実施され、一定の評価が定着している資格検定試験の活用を推進することとしたところです。  次に、記述式の導入及び採点者についてのお尋ねでありますが、大学入試センターにおいては、採点事業者に、適正な試験等によって質の高い採点者を確保すること、必要な研修プログラムを行うことなど、採点者の質を向上させるための取組を求めるとともに、一次採点は複数名で独立して行うこと、複数名の採点結果が異なる場合等には、採点監督者が採点結果の確認や不一致のあった答案の採点などを行い、独立して採点した結果が一致するまで当該答案に対する採点作業を行うこと、採点作業中に適宜採点結果の品質チェックを行い、その結果を採点作業の改善につなげること、採点の正確性や機密の保持を確保するための取組などを求めているところです。  なお、文部科学省としては、引き続き、大学入試センターと協力しながら、大学入学共通テストの円滑な実施に向けて万全を期してまいります。  次に、教員の長時間労働の実態と原因のお尋ねでありますが、文部科学省が実施した平成二十八年度教員勤務実態調査においては、小学校、中学校のいずれの職種においても、十年前に実施した同調査と比較して勤務時間が増加しており、教師の厳しい勤務の実態が明らかになっています。  この要因としては、平成十八年度と比較し、若年教員の増加、総授業時数の増加、中学校の部活動時間の増加が挙げられます。  次に、学校の業務量と教員の規模についてのお尋ねでありますが、保護者や地域の意識の変化の中で、子供に関することは何でも学校や教師の仕事として業務が大きく積み上がっています。  そのために、まずは教師でなければできないことに教師が集中できるよう、働き方改革の強力な推進により業務を縮減する必要があると考えています。  同時に、学校の指導、事務体制の効果的な強化充実が重要であり、令和元年度予算においては、平成二十九年の義務標準法改正による定数改善や小学校の英語教育のための専科教員千人を始めとする合計千四百五十六人の定数改善を計上しているところであり、引き続き、令和二年度概算要求においてもさらなる充実を盛り込んでいます。  さらに、このような取組に加え、本年四月から、中央教育審議会において、小学校高学年における教科担任制導入など、新しい時代を見据えた学校教育の実現に向けて、教育課程、教員免許、教職員配置の一体的な検討が行われており、中教審での議論も踏まえ、引き続き、持続可能な学校の指導、事務体制の効果的な強化充実に取り組んでまいります。  次に、給特法の抜本的改正のお尋ねでありますが、現在の給特法の仕組みは、教師はどこまでが業務であるのか切り分けがたいという教師の職務を踏まえたものであります。  一方、給特法制定から半世紀を経た現在、保護者や地域の意識の変化の中で、子供に関することは何でも学校や教師の仕事として業務が大きく積み上がっている状況です。また、働き方改革推進の観点から労働法制も大きく転換しており、給特法のあり方についても検討する必要があると考えておりますが、見直しに当たっては、確かなデータと国民的な議論が必要です。  そのため、今回の法改正も踏まえ、まずは教師でなければできないことに教師が集中できるよう、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、三年後に教師の勤務実態状況調査を実施し、その結果などを踏まえながら、教師に関する勤務環境について、給特法などの法制的な枠組みを含め検討を行う必要があると考えております。  次に、一年単位の変形労働制による勤務の長時間化についてのお尋ねでありますが、今回の休日のまとめどりにおいては、在校時間等の超過勤務を少なくとも上限ガイドラインで示した月四十五時間、年三百六十時間等の上限ライン以内にすることを導入の大前提としております。  ただし、その場合であっても、学校行事などで所定の勤務時間である七時間四十五分におさまらない場合に、それを一時間単位で積み上げ、長期休業期間中に休日のまとめどりをする仕組みです。  その際、現在の学校の運営の状況を踏まえれば、夏休みにおける休日のまとめどりも五日間程度が限界であると考えられることから、際限のない勤務時間の上乗せはできません。  したがって、この休日のまとめどりについては、在校等時間が現在より確実に減少させることを前提に、決して長時間化することのない制度として、その制度のもとで確実に運用を行ってまいります。  次に、夏休みが閑散期である根拠のお尋ねでありますが、長期休業期間中の教師の業務については、児童生徒が登校せず、実態としても学校閉庁日を設ける自治体が多く見られるなど、比較的穏やかになるものと認識しております。  今回の休日のまとめどりを学校現場に導入する前提としては、長期休業中の業務の縮減が必要であり、文部科学省としては、学校閉庁日の制定とともに、研修の整理、精選、部活動の適正化、高温時のプール指導などの見直しなどの長期休業期間中の業務の見直しを求める通知を本年六月に発出したところであり、部活動の大会の日程を含めたあり方の見直しに関する関係団体への働きかけや、独立行政法人教職員支援機構の夏季休業期間中の研修日程の見直しを図ることなどにより、長期期間中の業務の縮減を後押ししてまいります。  次に、一年単位の変形労働制を労使協定ではなく条例で導入することについてのお尋ねでありますが、地方公務員の勤務条件は、住民自治の原則に基づき住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によって決定することとされております。  公立学校の教師も地方公務員であり、休日のまとめどりの推進のための一年単位の変形労働時間制は勤務条件に関する制度であることから、勤務条件条例主義にのっとり、労使協定ではなく条例により導入することが必要であると考えています。  なお、地方公務員法においては、職員の勤務条件に関する事項は職員団体との交渉事項であり、法令等に抵触しない限りにおいて書面による協定を結ぶことができる旨が規定されております。本制度の導入についてもこの勤務条件に該当することから、導入に当たっては、各地方公共団体において職員団体との交渉を踏まえつつ検討されるものと考えております。(拍手)