電機産業の大企業を中心に13万人ともいわれる規模のリストラがすすめられています。そのなかで、退職強要や遠隔地配転が横行。雇用と地域経済を守ろうと全国でリストラに反対するたたかいが広がっています。(10月1日付赤旗より)

 パナソニック4万人、NEC1万人、リコー1万人、ソニー1万人、シャープ1万人、半導体大手・ルネサスエレクトロニクス1万4000人…。

←9月28日神奈川県鴨居駅で宣伝するはたの氏

 今回、電機大企業が発表  した主なリストラ計画は、全国各地の工場を廃止・縮小するもの。ルネサスは、国内18工場のうち9工場を売却、縮小する計画を発表するなど、各地でリストラをすすめ、地域経済を直撃する事態になっています。

 電機大企業は、デジタル家電や半導体での収益悪化で「危機」をあおりたてています。

 しかし、電機大企業が抱える内部留保は、昨年より減少したものの、パナソニック3兆3043億円、NEC5586億円、リコー1兆1623億円、ソニー2兆6249億円、シャープ5505億円(2012年3月期、各社有価証券報告書より全労連・労働総研調べ)など、合わせて26兆円(主要企業19社)にものぼります。

 「経営危機」を口実にした今回の電機リストラは、労働者の生活を犠牲にし、経営基盤の強化、高収益確保を目的にしたものです。

 NECの遠藤信博社長は6月の株主総会で、「1万人の人員削減で業績回復」を図り、13年3月期に1株当たり年間4円の株主配当をすると表明。労働者の生活を破壊して、株主に奉仕するねらいをあけすけに語っています。

 リコーの近藤史朗社長は、リストラによって、「筋肉質の経営体質にする」と発言。ルネサスは、13年3月期に営業損益が210億円に黒字回復することを見込み、リストラを加速させることで、収益基盤の強化を図ると発表しています。

 こうした無法なリストラが横行するもとで、労働組合や日本共産党は、労働者の生活と地域経済を守ろうと、地方自治体とも共同してリストラ・工場の廃止・縮小撤回の運動をすすめています。

「君に仕事はない」長時間、10回面談 電機リストラ この無法

 電機大企業がリストラ計画をすすめるもと、正社員も対象に、希望退職に名を借りた執(しつ)拗(よう)な退職強要、遠隔地配転の強要など、労働者の人権も、くらしもふみにじる横暴が各地で起こっています。


NECでは「シリアに行け」

 NECは、40歳以上を対象に希望退職を募集しました。

 NECの子会社で働く男性は、電機・情報ユニオンの大会で、10回もの面談で退職強要を受けた内容を告発しました。上司から「君にやってもらう仕事はない」「会社に残っても困る」といわれ続けました。「会社に残ります」といっても聞いてもらえず、突然、取締役と人事責任者に呼びだされ、面談が始まり、長いときには2時間以上に及ぶことも。早期退職制度への応募を断ると、「内戦状態にあるシリアや、北海道、沖縄に行ってもらう」といわれました。7月には上司の指示で残業したのに、「残業はつけるな。ゼロにしろ」と強要されたなど、違法な実態を語りました。

 NECではこの他にも、人権侵害の退職強要が横行しています。

 ▽会社は退職強要に当たらないと、2カ月で10回以上の面談を強要している▽関西地区では、うつ病の社員を駅の喫茶店に呼び出し、会社の計画を説明したあとも自宅に5回も電話して、退職を強要している▽妊婦を会社に呼びつけ、計画の説明をして退職強要している▽履歴書、職務経歴書を提出させ、業務として他の会社に出向させようとしている…。

ルネサス、パナソニック、リコーでも

 ルネサスは、9月18日から5700人を目標にした早期希望退職の募集を実施。8月から「個人面談」が行われ、育児休暇中の女性社員に「希望退職が目標に達しなかった場合、指名解雇になるかもしれない」とのメールが送られています。

 パナソニックの鳥取サンヨー工場では、夫婦を神奈川と長野にそれぞれ遠隔地配転し、退職に追い込んでいます。

 リコーは、2340人の希望退職を募集。残業禁止措置を出し、月50時間以上の残業をしながら、残業申請を受け付けないなどの事態が相次いでいます

撤回求め労働者反撃 共産党、雇用継続へ全力

 電機産業で働く労働者らでつくる電機労働者懇談会や電機・情報ユニオンは、リストラ攻撃とたたかい、労働者の権利を守ろうと、各地で運動を展開しています。

 NEC&関連労働者ネットワークは、本社や府中・多摩川両事業所で毎月宣伝し、この間3・5万枚のビラを配布。退職強要を受けている労働者十数人が電機・情報ユニオンに加入し、労働基準監督署に申告し、団体交渉をしています。

 ルネサスでは、全労連・地域労連の協力を受けながら、全国すべての工場・事業所で宣伝を実施。パナソニックでは、団体交渉を通じて遠隔地配転を撤回させ、雇用継続を勝ち取っています。

 工場撤退がある千葉県や山口県、鳥取県、福岡県などでは、日本共産党の地方議員らとの共同した運動がすすんでいます。

 ルネサスの工場を抱える山口県では7月、党と民主団体などで「ルネサスリストラ『合理化』対策実行委員会」を立ち上げ、リストラ撤回を求めて運動しています。県知事や宇部市長、柳井市副市長がルネサス本社に行き、「事業継続と従業員の雇用維持」も要求。「ルネサス閉鎖・売却」撤回で、「オール山口」の共闘ができる条件が生まれています。

 三洋・パナソニックの工場がある鳥取県では、党と民主団体、県労連などが昨年10月、「鳥取市雇用と地域経済を守る連絡会」を結成。会社門前でアンケート配布や宣伝をしてきました。

 アンケートへの回答には「経営陣が残るのに、なぜ自分たちだけ配置転換や退職しなければならないのか」「希望退職になった。子どもが小さいから(遠隔地に)行けない。将来までも無茶苦茶にされた」「いま産休中で、夫婦別々の県外勤務が内示され、2人とも希望退職した」など悲痛な声が寄せられています。この実態を告発して、たたかいを広げています。

 東芝北九州工場の撤退が問題になった北九州市議会では、党市議団の働きかけで、「東芝北九州工場を閉鎖する方針の撤回を求める決議」が2度、全会一致で採択されました。今年1月には、党県委員会や赤嶺政賢衆院議員らが東芝本社に撤回を要請しています。

 国会では、日本共産党の山下芳生、田村智子両参院議員らが無法なリストラをやめさせるため、国の責任を追及しています。