(写真)質問する畑野君枝議員=1日、衆院文科委

(写真)質問する畑野君枝議員=2015年12月1日、衆院文科委

いま、大学生の学費・奨学金に若者を中心に大きな関心が寄せられています。多額な教育費負担に苦しみ、奨学金の返済に困っている多くの若者がいます。まさに、学費負担の軽減、奨学金の無利子化、給付制奨学金の創設など待ったなしの課題です。

危惧・不安の声

 財務省は、昨年10月、財政制度等審議会の場で国立大学が「今後15年間に、(国からの)運営費交付金に依存する割合と自己収入割合を同じ割合とする」とし、「運営費交付金を毎年1%減少させ、自己収入を毎年1・6%増加させることが必要」との提案を行いました。11月の財政審の「建議」では具体的な数値は明記されていませんが、国立大学については「国費に頼らず自らの収益で経営を強化していくことが必要」とされました。

 財務省の提案には国立大学協会が「授業料の引上げと併せて運営費交付金の減額を行うことは、経済格差による教育格差の拡大につながる」「国立大学の役割を十分に果たすことができなくなることを危惧する」(10月27日会長声明)と述べるなど、多くのみなさんから危惧、不安、懸念の声が出されました。

 私は、昨年12月1日に衆院文部科学委員会でこの問題を取り上げました。

 国立大学の自己収入は寄付金、産学連携の研究費、学費・授業料の三つがあります。私は、寄付金、産学連携の研究費について今後の増額することが可能なのかとただしました。文部科学省は寄付金については「現在頭打ちの状況にある」、産学連携の研究費については「今後も継続的に増加するということは必ずしも見込めない状況にある」と答えました。

 寄付金、産学連携の研究費の増額が見込めなければ、自己収入の増額を図るためには、学費・授業料を上げざるをえなくなります。

「値上げ必要」と

 私が、財務省の提案通りに自己収入を増額させるために必要な授業料はいくらになるのかをただすと、文部科学省は「授業料は約93万円」となり、「現在と比べて約40万円の増加が必要」「年間約2万5千円の値上げが必要」と答えました。

 来年度予算案では、国立大学の運営費交付金は法人化以降、はじめて前年同額となり、授業料の値上げも行われていません。これは、大学予算を確保せよという多くの学生、大学関係者などの運動の成果です。

 しかし、同時に基幹運営費交付金を毎年1%、約100億円も削減する新たなルールが導入されました。これでは学費値上げに追い込まれる大学も出てきます。引き続き世論と運動を広げ、学費負担の軽減・値下げ、奨学金の拡充などに取り組んでいきましょう。

 

( 「しんぶん赤旗」2016年2月4日(木)付け 二面に掲載 )

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写真提供:しんぶん赤旗
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