日本共産党神奈川県委員会は6月10日、『はたの君枝と日本共産党の教育改革5つの提案・・(案)』を発表しました。以下にその全文を紹介します。

6月10日子どもと教育を語るつどい

 

「子どもたちが夢と希望をもてる日本・神奈川を」

― はたの君枝と日本共産党の教育改革5つの提案 ―(案)

2012年6月10日 日本共産党神奈川県委員会

子どもたちの元気な声は国民の希望の光です。

昨年の福島原発事故以来、この神奈川でも子どもたちは放射能の不安にさらされています。「いつおきても不思議ではない」とされる首都圏直下型大地震や東海・東南海・南海などの連動した大地震、大規模な地震や津波が予測され、その被害想定は深刻です。しっかりと避難対策や防災計画をたて、なんとしても子どもの命を守りぬかなければなりません。

いま、学校では新学習指導要領が本格実施されるとともに、教える内容が増え、土曜授業の復活や小学一年生の5時間授業など、長時間・過密授業で、子どもたちの負担が一層深刻な問題になっています。そして、「日の丸・君が代」の強制、侵略戦争を美化する教科書の押しつけなど「愛国心」教育を強め、管理教育の徹底がすすめられています。

神奈川の子どもたちは、小学生も中学生も高校生も、いま一番の悩みを「自分の将来のこと」と県の調査に答えています。公立中学校の全日制高校進学率88.0%(全国最低)という高校進学の厳しさ、就職難、不安定雇用の増大などが子どもたちを追いつめ、多くの県民も子どもたちの将来を不安におもっています。子どもたちが夢と希望をもって学べる日本・神奈川を実現するのは政治の責任です。

政治による歪みをただし、憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもたちが「わかった!」と目を輝かす授業、子どもの声をじっくり聞いてあたたかく接する先生――そんな教育が全国どこでも行なわれるように改革します。十分な予算でゆきとどいた教育を実現すれば、子どもたちの可能性を大きくのばすことができます。

はたの君枝は参議院議員として文教科学委員を6年間(1998.7~2004.7)つとめました。自公政権下で、国民的大運動を力に「30人学級」をもとめる質問は13回。民主党、社民党と「30人学級法案」を共同提案したこともありました。自公政権で否決されましたが、民主党政権になって、「35人学級」として昨年から小学一年生で実施されることになったのです。ところがその法制化は一年生でストップし、今年度の二年生には予算をつけただけで、その制度化は見送られました。当初の8カ年計画の、中学三年生まで実施し、さらに小学校1・2年生で「30人学級」にふみこむ計画は見送られ、来年度以降の見通しはたっていないのです。

さらに、一昨年度から制度化された高校授業料無償化も、経済的理由での退学者が減るなどの成果がでているにもかかわらず、子ども手当の廃止と同じく、国会運営の駆け引きで、民主・自民・公明でその見直しが合意されるなど危機にひんしています。子どもたちを社会全体で大切に育てるのは国民の願いです。それを裏切るこうした逆行は許されることではありません。

はたの君枝は原発問題でも、国会で「安全神話」の一掃を取り上げ、防災体制の確立をもとめてきました。国が本気で対応していれば、今回の原発事故は避けられたのではないでしょうか。日本共産党の議席は、国民の命を守り、願いをともに実現し、子どもたちの夢と希望を育む貴重な議席です。はたの君枝が再び国政にもどれば、みなさんの願いを国政に! 教育改革の実現へと働くことができます。

日本の教育予算は、先進諸国のなかで最低の水準です。国は「財政難」を理由に教育の条件整備を怠り、教育を粗末にしてきました。子どもをもつ家庭、年収200万~400万円世帯では教育費が年収の58%を占めるなど教育費負担が家計を圧迫しています。少子化対策からいっても保護者負担の軽減は焦眉の課題です。日本の教育への公的財政支出(GDP比3.3%)をせめてOECD平均(GDP比5%)(OECD「図表でみる教育」2011年版より)まで引き上げて、ゆきとどいた教育を実現することは急務です。

日本共産党は「消費税大増税ストップ!社会保障充実、財政危機打開の提言」を発表して、大型公共事業の浪費一掃、原発推進予算・軍事費削減、政党助成金・機密費廃止や「財界言いなり」の姿勢を転換し、税の「応能負担」の原則に立てば、消費税増税しなくとも財源は確保されることを明らかにしています。その実現に全力を上げます。

1.子どもたちを放射能と災害から守るのは政治の大切な役割

① 雨どい、側溝などホットスポットになりやすい場所とともに、校庭やプールなどに、引き続き放射線測定を系統的に行い、放射能の監視体制を強化します。国の責任で、汚染施設や地域の除染対象を広げ、除染を徹底します。

② 学校給食の安全確保のために、食材の放射能検査を徹底し、子どもたちを内部被ばくから守ります。現在、1県当たりわずか5台分の検査機器に対する国庫補助を抜本的に拡充します。

③ 放射能の危険性を軽く扱い「安全神話」を子どもたちに刷り込む文科省発行の「放射線等に関する副読本」は撤回させます。エネルギー特別会計からの資金で実施されてきた原発推進教育を抜本的に見直し、科学的に正しい原子力・放射能教育をすすめます。

県 内・校 種

耐震化率

耐震性のない棟数

公立小中学校

97.7%

118棟

公立高校

64.4%

311棟

特別支援学校

86.4%

25棟

私立幼稚園

82.5%

179棟

(2011年4月現在・文科省)

私立学校

86.5%

82棟

④ 横須賀の原子力空母・艦船は首都圏に甚大な原子力事故を起こす危険をはらんでいます。原子力空母等の横須賀での修理をやめさせ、母港化を撤回させます。ただちに、原子力発電所に適用する防災地域指定を行わせ、屋内退避やヨウ素剤を準備するなどの対策を講じさせます。

⑤ 公私立学校の耐震性のない建物の耐震化を急ぎ、早期に耐震化率100%にします。

⑥ 天井等の落下防止、避難経路、外階段、備蓄倉庫、自家発電装置の整備(国庫補助対象)など、県民の避難所にもなる学校施設の防災機能をつよめます。

⑦ 想定される最大の津波に対して、敷地と建物の高さの確保、避難経路と避難場所の確保、避難訓練、津波防災教育、保護者との連携など必要な対策を急ぎます。

⑧ 通学路の安全確保のための対策を充実させます。

2. 「30人学級」実現、すべての子どもにゆきとどいた教育を

① 一人ひとりの子どもと向き合い、わかるまでていねいな教育ができるように、国として「35人学級」を小学1年生から中学3年生まで6カ年で実施し、さらに「30人学級」を実現させます。

② 特別支援学校の新設や過大規模校解消、教室・教員不足解消など特別支援教育・障がい児教育を拡充します。

③ 現行の学習指導要領は「教科書を全部やったら子どもが落ちこぼれる」といわれるほど過密です。その「法的拘束力」をなくし、つめこみ教育を見直し、基礎学力を重視するものに、国民の英知を集めて改めます。子どもの状況や学校・地域の実情に即した教育課程を各学校が自主的につくれるようにします。

④ 侵略戦争美化の教科書押しつけをやめさせ、教科書の学校採択制をめざして、採択地区の細分化と、教員の意見反映をはかります。

⑤ テスト漬けにしても子どもは伸びません。「テスト対策ばかりで授業の質が低下」などの弊害をもたらしている「全国いっせい学力テスト」を中止し、学びあい、育ちあう教育ですべての子どもに基礎的な学力を保障する体制をつくります。

⑥ 不登校、暴力、非行、いじめなどの大本であり、子どもたちにストレスをもたらしている、国連からも指摘されているゆきすぎた競争と格差づくりの教育をやめさせます。教員や学校カウンセラーなどを増員し、個々の子どもと学校への支援を強めます。

⑦ 「『愛国心』などの徳目を全教科を通じて刷り込む道徳教育」につよく反対し、憲法にもとづき、基本的人権の尊重を中心にすえ、子どもたちが自らモラルを形成できるような市民道徳の教育をすすめます。

3.子どもの可能性を大きく育てる学校を

① 面白くわかりやすい授業、教職員の創造的実践、職員会議の民主的運営が保障されるようにします。子ども、保護者、教職員らの参加と協同による子どもの成長を中心にすえた学校運営を奨励します。

② 子どもより管理職の目を気にさせる教職員の人事評価・差別賃金導入、行政の決めた数値目標に従属させる「PDCAサイクル」など管理体制強化をやめさせます。教職員の多忙化の解消、自主的研修の保障などで、教員の力量を高めます。

③ 正規の教職員ではなく臨時任用や時間講師などをあてて人件費を削減し、教職員の連携を難しくしています。非正規教職員の待遇改善と正規雇用への配置がえをすすめ、教育と学校の継続的営みが保障されるように改善します。

④ 教員に過重負担をおわせ、国のいいなりになる教員づくりをねらう「教員免許更新制」は直ちに廃止します。

⑤ 入学式・卒業式は、子どもにとって最善のものにするため、教職員、子ども、保護者で話し合って行なえるようにします。憲法19条(思想、良心、内心の自由)に違反する、「日の丸・君が代」の強制に反対します。

⑧ 子どもたちが安心して心や体を癒し、手当てできるように、保健相談室や教員を確保し、保健室機能を充実させます。

⑨ 専任司書の配置、予算の確保など学校図書館の拡充をはかります。

⑩ 老朽校舎を解消し、トイレの改修など、安全・安心・快適の学び舎をすすめます。

⑪ 中学校給食を実施します。安全安心の地産地消による自校調理方式給食をすすめ、充実させます。

4.教育費の家計負担を軽減し、教育の機会均等の保障を

① すべての乳幼児が豊かな保育がうけられる体制を整えるとともに、無償化をめざして、保育料、幼稚園授業料の軽減を進めます。

② 義務教育段階の副教材費や給食費、修学旅行・遠足費用などの家計負担の解消をすすめます。さらに、それを高校段階へ広げます。

③ 公立高校の適切な定員確保と学費の公私間格差是正をはかり、すべての希望する子どもに全日制高校教育を保障するとともに、定時制教育、通信制教育の充実をはかります。また、全県一学区制や公立高校入試制度のあり方を、ゆきすぎた競争と子どもたちの過重負担にならないように見直します。

④ 高校授業料無償・就学支援金の「見直し」をやめさせ、私学助成・学費補助を拡充して私立高校の学費の実質的無償化をすすめるともに、私学の自主性を守ります。

⑤ 世界一高い大学学費の負担軽減をすすめます。国公立大学の授業料を引き下げ、私立大学への支援をすすめます。国公私立の区別なく、年収400万円以下の世帯への学費免除を実施する制度をつくります。各種・専門学校へも学費負担軽減をすすめます。

⑥ 国際人権規約(社会権規約)第13条における高校と大学の「学費の段階的無償化」を定めた条項の「留保」を直ちに撤回します。条約加盟国160か国中、この条項を「留保」しているのは日本とマダガスカルだけです。

⑦ 経済的に困難な高校生・大学生・大学院生への給付制奨学金制度を創設します。

⑧ 7人に1人の子どもが貧困家庭にくらしている実態を重視し、国として子どもをもつ家庭の雇用、福祉の促進などをすすめ、「子どもの貧困」対策に本腰を入れます。準要保護世帯への国庫補助を復活するなど、就学援助制度の拡充をはかります。

⑨ 放課後の子どもたちの安全と、豊かな成長のために学童保育などを拡充します。

⑩ 外国からの就労者が増える中で、外国人教育・夜間中学の開設と充実を推進します。

⑪ ワークシェアリングや公的分野での雇用拡大など、総合的な若者の雇用拡大政策をすすめ、自殺者増などの就職難を解消し、若者が夢と希望をもって社会に出られるよう抜本的対策を講じます。

⑫ 使い道は地方任せの一般財源化などによって、公立図書館、社会教育、文化、スポーツ施設の整備が極端に遅れています。国からの補助制度を確立し、拡充につとめます。

5.憲法の平和・人権・民主の原理にそった教育と教育委員会の改革を

① 憲法と子どもの権利条約の原理に立脚し、教育の条理に基づいた教育を追求します。

② 教育への国家介入をつよめる改悪教育基本法の抜本的改定をめざし、憲法の原理に基づく国民の教育権、教育の自由と自主性を擁護・発展させる国民的合意形成をはかります。

③ 大阪で行われているような、処分の乱用と脅しで教職員を支配・統制し、教育を首長のおもいのままにする、憲法に反する教育介入には断固反対します。

④ 教育の自主性が損なわれるなど、その弊害が明らかになってきている、硬直化した教育委員会制度を、教育委員を選挙で選ぶ公選制など民主的制度に刷新します。

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写真提供:しんぶん赤旗
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