日本共産党神奈川県委員会文教委員会は6月10日、『《資料》 国会議員時代―畑野君枝元参議院議員の 「子どもと教育問題」での10大質問・実績紹介』を発表しました。以下に紹介します。
《資料》
国会議員時代―畑野君枝元参議院議員の
「子どもと教育問題」での10大質問・実績紹介
日本共産党神奈川県委員会 文教委員会
畑野君枝さんは1998年7月から2004年7月までの6年間、参議院議員として一貫して文教科学委員会に所属、また国民生活・経済に関する調査会で、「子どもと教育の問題」をとりあげてきました。本会議や予算委員をはじめ127回におよぶ国政を動かす質問。そのなかで今に輝く10大質問・実績を紹介します。
■放射能から子どもを守れ、学校の耐震化を
1、原子力安全神話の一掃を―今に通ずる先駆的提案
1999年、東海村の核燃料加工施設で臨界事故がおき、700名に近い被爆者とともに2名の死亡者がでました。2000年、畑野元参議院議員は本会議代表質問にたち「原子力安全神話の一掃、規制と推進の分離、プルトニュウム循環方式から撤退」をせまったのです。今に通ずる先駆的提案―政府がまともに対応していたらと思われてならない質問です。
・ 原子力災害を国の防災計画に、米原子力艦船の監視体制強化で前進
「首都圏の玄関口横須賀に原子炉がある」。「事故がおこり得るという前提に対策を」と迫る畑野元参議院議員。アメリカの原子力艦船の監視体制の強化と防災対策をもとめ3回質問。原子力災害が国の防災計画に盛り込まれるとともに、モニタリングなどによる監視体制が強化されました。
2、神奈川―学校耐震化で全国1位に
1999年、多くの学校校舎が老朽化、日本共産党の追及で「校舎ボロボロ問題」が明るみにでました。畑野元参議院議員は神奈川の学校をこまめに調査。東海大地震がいつおきても不思議ではないといわれているなか、「防災拠点としての学校改修・耐震化」をもとめ予算委員会などで3回質問。新婦人の皆さんらと共に学校の耐震改修をもとめました。その結果、一昨年の文部科学省調査で神奈川県の小・中学校の耐震化率は、96.1%で全国1位となりました。(昨年は2位)
同時に「暗い、汚い、臭い」など子どもたちから嫌われた学校のトイレの改修基準も見直され、いまではホテルのトイレのように見違えるほど改善されました。
■ 笑顔あふれ、瞳輝く教育を
3、30人学級問題―35人学級実施に道を開く
畑野元参議院議員が大きな役割をはたしたのが少人数学級の実施を求めた質問です。1998年、国会での初質問が30人学級問題。以来その実施をもとめて13回も質問しました。
文部科学省に30人学級実施のための人員と予算規模をはじめて明らかにさせ、共産・民主・社民党の野党共同提案の「30人学級法案」提出に結びつきました。また少人数学級の方が「学力向上や子どもたちの助け合いで効果的」というアメリカ・テネシー州での検証結果をいち早く紹介。中教審が35人学級実施のための根拠として同じ検証結果をあげたのがその9年後、畑野元参議院議員の先駆性が光ります。少人数学級は全国に広がり、ようやく国は昨年度から小学校1年で35人学級を実施したのです。
日本での30人学級の実施は畑野さんの肩にかかっています。
4、 学費軽減と奨学金の充実をもとめて
「私の地元の神奈川県でも特に私立学校の中退者は深刻です」―98年、不況による倒産やリストラで家計が急変、学費が払えなく高校を中退するという生徒がふえました。畑野元参議院議員は奨学金の基準を緩和して支給の対象にすべきと追及。文部科学省も基準の緩和と周知徹底を約束しました。さらに先進国なみに給付制奨学金創設をと迫りました。こうした質問が一昨年度からの公立高校授業料の無償化へと進んだのです。
・国立大学値上げストップ
国立大学授業料も04年に国立大学が法人化されて以降値上げがストップ。法案審議の際「学費が高額になれば、学ぶこと自体あきらめなければならない、こんな残酷なことはない」と迫り、文科省も「経済状況に左右されない進学機会の提供は維持される」と答えざるをえなかったからです。
5、 教職員の多忙化解消のため
今、教職員は長時間過密労働におわれています。畑野元参議院議員は「死ぬまで働かなければ教育がなりたたないのは大間違い」という過労死で夫を亡くした妻のことばを引用、また、横浜市の教員の7カ月間に渡る長時間過密の勤務実態を紹介。勤務実態調査の実施と職場の実態の改善をせまりました。文科省も「多忙感が言われ、教職員の精神的負担が多いと承知している」と認め、2006年の文科省による「教員の勤務実態調査」につながりました。文部科学省の調査によっても長時間過密労働の実態が浮き彫りとなったのです。
また、「養護の仕事は命がけ、養護教諭の複数配置を」と養護教員の配置基準の改善をせまり、養護教員の増員もはかりました。
6、 中学校給食の実施をもとめて
「このパン、いつのパンだと思いますか。カビが生えてないんですが」。3年前に製造されたパンが中学校の自動販売機で売られている事実を示す畑野元参議院議員。中学校給食の実施が極端に遅れている神奈川の実態を示しながら、その実施をせまりました。
文科省も「設置者の市町村の判断による」としながらも「私どもとしては少しでも実施をしていただきたい」と答えざるをえませんでした。中学校の給食の本格実施を託せるのも畑野さんです。
7、 障がい児教育の充実をもとめて多岐に質問
「障がい児教育の充実を」と朝の登校時から調査をする畑野元参議院議員。120名の定員が200名近くになっているなど、超過密の実態を告発。障がい児が急増しているのに施設整備費が極端に落ちていることが要因と指摘。文科省も「知的障害者が増えていることを加味しながら対策を考えていく」と答えざるをえませんでした。
特別支援学校の教員定数の改善、LD、ADHD、高機能自閉症児などへの教育条件整備、スクールバスの配置、視覚障がい児のための拡大教科書問題、「新生児聴覚検査」による早期発見・早期治療、学童保育への障がい児受け入れの促進など、多岐にわたりとりあげました。
8、「不登校児童生徒は在籍者としない」という通知を事実上撤回させる
「1年以上通学していない児童生徒は教職員定数の算定上在籍者としない」という1985年の文科省通知―1年以上通学していない不登校の児童・生徒は在籍者としてみないという非教育的なものでした。「この事項は削除すべきだ」と追及する畑野元参議院議員に、文部科学省は「(1985年の)通知がそのまま適用するものではないむね、徹底をはかっている」と、在籍者にはいることを認めました。
■ 若者に夢と希望を
9、 雇用の確保とサービス残業の是正をもとめて
1999年にも若者の就職難が。高校生の就職内定率が76.6%、学生も78.1%と低く、女子の就職難はさらに深刻でした。「イギリスでは失業者に、資格をとるためのフルタイムの訓練や保育所での職業訓練に5万人のポストを与えている」と諸外国の取り組み事例を紹介。具体的対策を求め、政府に面接会の倍増などを約束させました。
また、畑野元参議院議員はサービス残業の是正をもとめ繰り返し質問。国会と労働者の闘いと連携して、神奈川では2002年10月から03年3月の半年間で15企業の労働者3369人に6億3200万円の残業代が支払われました。
・国立大学病院職員の労働条件の改善をもとめ―看護師の増員をはかる
大学病院の看護師不足は患者の命にかかわるもの―と自らの大学病院調査の結果を踏まえ「医療事故防止のために増員が必要」と追及。1998年から2002年の5年間で国立大学病院で約6000名の非常勤看護師が増員され、そのうち2,200人が正規採用されました。
10、 教員養成学部を守る
2001年に教員養成学部を大々的に再編・統廃合する案がしめされました。群馬大と横浜国立大学の教育学部統合案も浮上。畑野元参議院議員は「群馬大学では教育学部存続を求める署名20万」「横浜国立大学では8万5000人」と存続を求める署名数を示し「地元の声を聞くべき」とせまりました。その結果、群馬、横浜国大の統合は行われず存続されたのです。全国各地でも統合問題がおきましたが畑野元参議院議員らの奮闘で、鳥取と島根の教員養成学部の統合だけに終わりました。
この他に、競争教育の是正、教育の自主性確保や教職員の身分保障、子どもの権利条約問題など多岐にわたって質問しています。
これほど、「神奈川の子どもたちと教育」の問題が国会で取り上げられたのは、畑野君枝さんが参議院議員として活躍した時代のほかにないでしょう。―今度こそ、畑野君枝さんを衆議院へ。それが子ども・保護者と教職員・神奈川の願いを実現する確かな保障ではないでしょうか。